普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

怪しくなった菅内閣の公務員経費削減

2010-11-05 11:44:54 | 公務員制度

 11月3日の朝日が公務員人件費―縮み志向でない削減策をと言う概要次のような社説を出しています。 黒字は私の意見です。)
 準備も覚悟もないまま公約に掲げ、空手形に終わったというほかない。
 ・政府が今年度の国家公務員の給与について、人事院勧告通り平均1.5%減とすることを決めたが、菅さんは民主党代表選で言った「勧告を超えた削減を目指す」の公約違反だ。
・民主党マニフェストの問題点
 民主党はマニフェストで「総人件費2割削減」といったが、それにはよほど周到な準備と知恵が要る。 
 
この公約は何度か書きましたが、地方分権→公務員の地方自治体の派遣→公務員人件費の削減→その経費を国が負担する。つまり国全体としての経費は削減できないと言う胡散臭い公約です。
 それには、優秀な人材がの確保、政策立案能力が低下の防止、新規採用を絞った結果、若い世代にしわ寄せなど考える必要がある。
 公務員は、スト権などの労働基本権を制限されている代わり人事院が民間企業の動向を調べ、その勧告に沿って給与水準を決めてきた。
 基本権を制限したまま、勧告を超えて「深掘り」するのは、憲法に抵触する。
 政府は基本権の回復を図り、労使交渉を通じて給与を決める仕組みに変えるため、来年の通常国会に関連法案を提出するというが、 (民主党政権を支えている)労組が簡単に賃下げに応じるだろうか新たな仕組みのもとでは、どう公務員の理解を得るかがなおさら重要になる。
 
その為には下記のように政権と公務員の国の経費削減への共通理解が必要です。
  勿論朝日が指摘したように、民主党の今までの自治労への対応から見て団体交渉で彼らを押し切って給与削減できるでしょうか。
・今後の対策
 経営者である国会議員の歳費の削減せねば、社員である公務員の給与削減は出来ない。
 参院選では共産・社民を除く民主党を含む各党が定数削減を公約にしていますが、見送りになる可能性は非常に高いと思あます。
 
菅さんが思い切ってこの関連法案を提出すればその支持率は一気に回復するのは間違いないと思いますが、果たしてどうでしょう。
  しかし民主党を含む各党から何かといちゃもんがついて結果的には見送りになる可能性が非常に高いような気がします。
加えて、業務の合理化を進めるべきだ。
朝日の提唱する業務の合理化:二重行政を解消、補助金の一括交付金化とともに補助金関連業務を削減、国会議員が早めに質問内容を政府に通告し、霞が関の残業を減らすと言う「業務仕分け」が必要だ。 
  その為には「業務仕分け」などのデモンストレーシヲンでは不十分で、金融庁の査察をもっと強化して、首相直結の独力機関か、日本能率協会などにより十数日もかけて省庁に入りこんでの徹底的な査察と合理化が必要と思います。
 そして私の意見としては合理化の進んだ外部機関への「天下り」を認めねば、官僚達の未来はないし、民主党マニフェストによる公務員組織の台形化により経費の増大は防げないと思います。
 そのうえで人件費をどう減らすか。
 片山善博総務相は鳥取県知事時代、給与削減で生んだ財源で官民の雇用増を図った。若い世代へのしわ寄せを避けるためにも参考になる発想だ。
 片山さんは鳥取県と言う小さい組織だから職員たちの意識の共通化ができたのだと思います。
  政府の公務員と言う膨大な組織での意識の共通化の基本は、石原都知事のやったように会計制度の改革で人件費と言う固定費を表にだして、国会審議の場に上げ、公務員にも原価意識を持たせることが必要だと思います
 若い公務員を民間企業や介護や教育の現場へ出すのも一案かもしれない。その間の給与を民間が負担すれば費用は減り、経験を政策立案に生かせる。
 官僚からもアイデアを募ればいい。発想まで縮んでは人件費は削れない

  私の意見ではこの提案こそ合理化の一番の問題だと思います。
  実務に疎い政務三役が自分で頑張るより、実務に詳しい多くの公務員に頑張ってて貰い、彼らから長い経験に基づく改善提案を出させるほうが遥かに効果的であり、合理化という名の官僚の過重負担の増加への抵抗を無くすことになります。
 そのためには彼らのやる気を引き出さねばならないのに、民主党政権の政務三役は政治主導と言って彼らを頭から押さえ付けてきました。
 それが朝日の提案とは逆に公務員達の「発想が縮んで」それなら政務三役のやることを見てやろうか態度を取らせてきました。
 これで一般企業で見れるように巧く行く筈がありません。

  民主党は政権奪還のために衆院選、参院選の時、連合、自治労、果ては悪名高い日教組の大会で首脳部が組合員を前にして奇麗事を言って来ました。
  そして政権党となった今、どう言う形でも公務員たちになんらかの痛みを伴う問題だらけ公務員経費削減のマニフェストを実行しなければなりません。
  経費削減のマニフェストにある、「地方分権→公務員の地方自治体の派遣→公務員人件費の削減→その経費を国が負担」など国会に持ち出したら、野党やマスコミが改めてそのインチキ性に気付いて、猛烈に攻撃して来るのは間違いないと思います。
 やはり一般企業が戦後以来取り組んできた手法を地道にそして確実に一歩づつやるしかないような気がします。
 まずそのために政権と公務員が経費削減に就いて共通認識をもち、彼らにやる気をもたせて、朝日の言うよう公務員たちからの意見を聞く必要があると思います。
  そのためには、文字通りの政治主導で政務三役が官僚を押さえ付けて何もかも自分でやってしまうというアホな経営者のやり方から、麻生さんの言うように「巧く官僚を使う」手法に切り替えない限り公務員の経費削減はできないような気がするのですが。

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