普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

尖閣ビデオを投稿した人を見習え菅内閣

2010-11-11 15:08:39 | 外交・安全保障

 今朝の読売新聞に尖閣ビデオを投稿した海上保安庁の職員への読売テレビのインタビュー記事が出ていました
航海士の発言
・「あれを隠していいのか。私がこういう行為に及ばなければ、闇から闇に葬られて跡形もなくなってしまうのではないか。国民は映像を見る権利がある」
・「誰にも相談せず一人でやった」
・映像については「海上保安官なら誰でも見られる状態にあつた。機密的な扱いではなかった
・「内部告発のようなことをして覚悟はしているが、逮捕となれば職場の同僚や上司だけでなく、家族にも迷惑をかけ、仕事を失うことになる
  この発言から見ると彼は自分とその家族の犠牲をも省みず、国のために一大決心をして投稿したようです。
 私は「尖閣ビデオ流出・問われる菅内閣の姿勢」で、
・動画の流出は良いことだと思いますが、少なくともその事実は背任か犯罪行為であるし、政府の危機管理の甘さを世界に知らせた責任も負うべきでしょう。
・然も動画の流出を可能にする部署ははっきりしているので、いずれ投稿した人は見つかる可能性が大きいと思います。
 然し彼はその職を賭して、または犯罪人になるかも知れない危険を冒して、止むにやまれずやったのは間違いないような気がします。
と心ある人なら誰でも考えつくことを書きました。
 今回の彼の行為は、投稿者の発言にもあるように、果たして罪に問われるべきか言う議論があるそうですが、 (後記の仙石さんの発言にあるように)彼が何らかの形で罪に問われるのは致し方ないと思いますが、その国を思う心情は汲んでやるべきだと思います。
 テレビの街のインタビューでは多くの人達が投稿者に同情的なことを言っていますが、一部の人は投稿者の犯罪行為を指摘していました。
 その人達の何人が彼の国を思う止むにやまれぬ彼の心情を察して上げたのでしょう。
 国会では野党の追及に対して菅さんは最終的な責任は認めても、どのような責任を取るのか明らかにしていません、
 管政権は犯人の洗い出しにえらく熱心のようですが、犯人が名乗り出たいま、政権への中国への弱腰姿勢や、危機管理の甘さなど攻撃を如何にして逸らすのでしょうか。
 仙谷官房長官は記者会見で、神戸海上保安部の主任航海士が尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の映像を流出させたと明かしたことについて、「強制力を持った執行部門は、政治からの相対的な独立性を持って権限を行使する。一般論としては強い権限の代わりに重い責任(がある)ということになる」と述べ、海上保安庁の鈴木久泰長官の責任は免れないとの考えを示した。
 海保を所管する馬淵国土交通相については「政治職と執行職のトップは責任のあり方が違う」と述べるにとどめた
 今回の映像流出については、「治安職員が情報を故意に流出させたということになれば、大阪地検特捜部の(証拠品改ざん・犯人隠避)事件に匹敵する、ゆゆしき事案だ」と語った。
読売新聞
より)
 この発言を見ても、仙石さんは、責任は投稿した人と海上保安庁長官に押しつけ、内閣の維持に一生懸命のようです。
 前にも書きましたが、菅さん、仙石さん、関係閣僚はユーチューブ投稿者ほどの職を賭した決意で厳しい日本の外交問題、経済問題に取り組んで貰いたいのですが。

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TPPと農村再生への道

2010-11-09 07:36:09 | 農村問題

 菅さんがTPP加盟の話しを持ち出したためまた急に農業問題の議論が活発になりました。
 農業団体を中心とする反対集会、菅さんに反対する鳩山・小沢グループの政局に直結させようとする動き、自民党内でも賛否両論に別れているそうです。
 私は農業問題にも素人ですが、主として米中心の農業に就いて、一般の製造業の比較から考えて見ました。
農業の問題点
・農業の生産性が低い
 経営の規模が極端に小さい(自家経営が殆ど、製造業の中小企業の規模もない)
 生産資源の効率化が低い
  田んぼで遊んでいる期間が長い(高齢化。米作だけは補助金が出るため、兼業農家も田を遊ばせていても何とかやって行ける。) (昔は二毛作、菜の花栽培、蓮華による土壌改良、畦道での大豆の栽培などは普通の光景でしたが。)
   休耕田、耕作放棄地などが増えている
 農機具の使用時間が短い (一年で使うのは僅か数日)
  
製造業で言えばこのような非効率な使い方で競争に勝てる訳はありません。
・価格決定の発言力が小さく、不安定
  経営規模が小さいためため大資本のスーパーなどから価格を下げされられことが多い。
  豊作・不作による価格変動が激しい
・農協とうの農業団体の問題
  農業の技術や生産性向上に就いては一部を除いて殆ど寄与せず、圧力団体になっている
  自分達の研究所を持たず技術の向上は府県の農事試験場とう公共機関まかせ
・農家の消費者の距離が開き過ぎているは
  農業従事者は農協、仲売りなどの中間業者、スーパーなどを介してしか消費者に接しないので、消費者のニーズに応えるのが不十分
・高齢化と、若者の都会への流出で今のままでも日本農業は破綻
  東大大学院教授の生源寺さんは「今の様に昭和一桁の人で支えられ、後継者がいない日本の農業はここ10年の内に思いがけない形で急激に崩壊する可能性がある。」と言っている
・2007年の農業就業者数は総就業者数に占めるシェアは3.8%、GDP(国内総生産)515兆円の内、農業総生産は4兆4430億円で0.9% (これを見ても農業の生産効率が如何に低いか判ります。)
日本の現状
・内需拡大しろと言う話しがあるが、飽和社会の日本、勿体ない精神がまだ生きている日本(物を買うにも家が満杯状態でも捨てられぬの私の家がそうです)、そして環境問題の点から物を捨てて新しいものを買うと言う米国型の消費生活による需要増は望めない
・中国などの新興国、輸出指向の韓国企業の台頭で追い詰められている日本の輸出産業
 
民主党の農家の戸別所得保障制度
  大規模農家へ田んぼを貸し出していた人が取り返す事例の増加→生産性向上の逆コース
  農業に熱心な人達の意欲低下
  大手スーパーから強引に値引された分まで国が保障することになる
  全体から見て生産性向上に繋がらないどころか下げる方向になる

最近の農業の動き
・道の駅などの農産物取り扱いによる農家と生産者の直結による物流コストの削減→農家の収入増加、消費者とのコミュニケーション向上によるニーズの把握
  博多と北九州市のほぼ中間点にある宗像の道の駅は、午後までには殆どの農産物や魚介類が殆ど売り切れ状態となっています。
・農産物の優れた品質と安全性で海外進出の動き

私の提案
・農業の生産性向上
 田んぼ、農業機械などの生産資源を最大限に活用(全国規模の農業経営)
・農業の大型化
・農協の株式会社化、一般製造業のような経営に体質を改める
・他業種からの大手業者の参入促進
・大規模な農業会社化により大手スーパーなどとの買価交渉力強化
・製造業などの他業種の会社・工場を農村に誘致
・道の駅などのように小規模の農業団体も流通に参入
・優れた品質の農産物の輸出
・兼業農家支援を中止、大規模農家の支援に集中する
・上記の方策で若者を農村に呼び戻す
・棚田などの大規模農業不向き地は観光農業、畜産、養鶏などへ転用(少なくとも福岡県では大規模の養鶏の大部分は丘の上で行われています。)
・それも出来ない所は自然林に戻す
・上記の動きに就いて行けない高齢者や、TPP、FTAなど参加により農家への一時的(恒久的ではない)被害にたいしては特別の支援をする
・TPP・FTAなど反対する政治家や農業団体から国全体の立場で考えた対案を提出される  
 以上の提案は農業の生産性向上、農協の株式会社化、棚田の処理などを除いては、昔から言われてきた所です。
 然し農村票に頼ってきた自民党政権は過去からのしがらみに抜け出せぬ一方、農業団体は圧力団体に変貌して来ました。
 最近になってやっと農業の生産性向上のために大規模化を始めたところで、民主党政権になり農業の大規模化に逆行する農家の戸別所得保障制度を導入しました。
 農業に限りませんが、保護政策には対象の団体の弱体化が付き物です。
 日本の政治家は膨大な国債のように、面倒なことを先送りする習性がありますが、それでこれからの日本そして農村は果たして生きて行けるのでしょうか。
 政治家の責任、日本を束ねる立場の菅さんの責任は大きいと思うのですが。

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参照:カテゴリー→農村問題
 文中の数字はTPP参加のキャスティングボートを握る日本の農業はGDPの0.9%、就業者数の3.8%の極小産業
を参照しました。


尖閣ビデオ流出・問われる菅内閣の姿勢

2010-11-06 16:05:54 | 外交・安全保障

 尖閣ビデオ流出。一番良かったのは逮捕時公開ですが関係者が意図して秘かに流出したのとすれば、次善の策と思います。中国と戦略的互恵関係を目指す政府は知らなかったにして、事実を世界に知らせるのですから。
 これは私だTwitterで書いた文章です。
  然しその後の報道でビデオの提供者がセンゴク38と言うハンドルネームであることが判りました。
  38の意味はネット上では色々言われていますが、明らかに(本人自身も言うように)仙石さんに引っかけたものであるのは確かなようですので、私が想像したように政府の関係者が意図して誰かを介して流出させたものではないようです。
 昨夜の「報道ステーション」ではこの問題に関して、仙石さんたちが(恐らく官僚達の知らない内か反対を押し切って)船長の釈放を決めたときに、外務省、国交省などの関係官僚たちが怒り狂っていたと説明していました。
 私の想像ですが、今までの政府の政治主導のやり方から察すると、政府機関の官僚、検察の意見そこのけで仙石さん始め閣僚たちが船長の釈放を決定し、その結果を検察に押しつけたような気がします。
 那覇地検が、「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮すると、これ以上、身柄を拘束して捜査を続けることは相当ではないと判断した」と異例の説明をしたのは、当時のネットで言われて居たように、政府の主要メンバーがその決定を検察に押しつけた反発がその異例の説明になったとしか考えられません。
 その後は仙石さん始め閣僚たちは全て検察の所為にして頬被りをして来ました。
 当然のように那覇地検へ多くのクレームが寄せられたに間違いはないと思いますが彼らはじっと耐えるしかなかったのでしょう。
 頬被りも日中関係を考慮すれば一理あるかも知れませんが、それも関係官庁の官僚たちの了解済みが前提です。
 政府幹部が国のために頬被りするから那覇地検もじっと我慢してくれ、その埋め合わせは何とかするからと言っておれば関係者も渋々でも納得したと思うのですが。
 そして衆参両院の予算委員会理事ら30人に対する僅か7分間に編集されたビデオの公開です。
 そして尖閣ビデオの流出です。
 誰がどう考えても那覇地検、海上保安庁を含む国交省などの政府機関の関係者の中で政府のやり方に頭に来た人から流失したことは間違いないでしょう。
 何故なら、読売の社説
が指摘するように中国人船長の逮捕以降、刑事事件の捜査資料として公開が難しくなった事情は理解できる。だが、船長の釈放で捜査が事実上終結した今となっては、公開を控える理由にはならない。
 それを押さえた理由が中国を刺激したくないという無用な配慮と言う今までの政府の弱腰姿勢にうんざりし、船長開放の責任を検察に全てかぶせられたストレスが溜まりにたまった関係職員たちのが動画を流出したのかも知れません。
 私は最初に書いたようにこの動画の流出は良いことだと思いますが、少なくともその事実は背任か犯罪行為であるし、政府の危機管理の甘さを世界に知らせた責任も負うべきでしょう。
 然も動画の流出を可能にする部署ははっきりしているので、いずれ投稿した人は見つかる可能性が大きいと思います。
 然し彼はその職を賭して、または犯罪人になるかも知れない危険を冒して、止むにやまれずやったのは間違いないような気がします。
 マスコミは尖閣、北方領土問題に政府の姿勢が問われていると批判しています。
 私はそれ以上に、菅さん、投稿者が名指しした仙石さん始め関係閣僚は彼ほどの職を賭してこの厳しい領土問題に対処しているのしょうか。
 まさか彼らが国の為でなく、またはそれも少しはあるかも知れませんが、我が地位や面目を護ったり、菅政権の維持を図ることにより重心を置いて事に当たっているとは思いたくありませんが。

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怪しくなった菅内閣の公務員経費削減

2010-11-05 11:44:54 | 公務員制度

 11月3日の朝日が公務員人件費―縮み志向でない削減策をと言う概要次のような社説を出しています。 黒字は私の意見です。)
 準備も覚悟もないまま公約に掲げ、空手形に終わったというほかない。
 ・政府が今年度の国家公務員の給与について、人事院勧告通り平均1.5%減とすることを決めたが、菅さんは民主党代表選で言った「勧告を超えた削減を目指す」の公約違反だ。
・民主党マニフェストの問題点
 民主党はマニフェストで「総人件費2割削減」といったが、それにはよほど周到な準備と知恵が要る。 
 
この公約は何度か書きましたが、地方分権→公務員の地方自治体の派遣→公務員人件費の削減→その経費を国が負担する。つまり国全体としての経費は削減できないと言う胡散臭い公約です。
 それには、優秀な人材がの確保、政策立案能力が低下の防止、新規採用を絞った結果、若い世代にしわ寄せなど考える必要がある。
 公務員は、スト権などの労働基本権を制限されている代わり人事院が民間企業の動向を調べ、その勧告に沿って給与水準を決めてきた。
 基本権を制限したまま、勧告を超えて「深掘り」するのは、憲法に抵触する。
 政府は基本権の回復を図り、労使交渉を通じて給与を決める仕組みに変えるため、来年の通常国会に関連法案を提出するというが、 (民主党政権を支えている)労組が簡単に賃下げに応じるだろうか新たな仕組みのもとでは、どう公務員の理解を得るかがなおさら重要になる。
 
その為には下記のように政権と公務員の国の経費削減への共通理解が必要です。
  勿論朝日が指摘したように、民主党の今までの自治労への対応から見て団体交渉で彼らを押し切って給与削減できるでしょうか。
・今後の対策
 経営者である国会議員の歳費の削減せねば、社員である公務員の給与削減は出来ない。
 参院選では共産・社民を除く民主党を含む各党が定数削減を公約にしていますが、見送りになる可能性は非常に高いと思あます。
 
菅さんが思い切ってこの関連法案を提出すればその支持率は一気に回復するのは間違いないと思いますが、果たしてどうでしょう。
  しかし民主党を含む各党から何かといちゃもんがついて結果的には見送りになる可能性が非常に高いような気がします。
加えて、業務の合理化を進めるべきだ。
朝日の提唱する業務の合理化:二重行政を解消、補助金の一括交付金化とともに補助金関連業務を削減、国会議員が早めに質問内容を政府に通告し、霞が関の残業を減らすと言う「業務仕分け」が必要だ。 
  その為には「業務仕分け」などのデモンストレーシヲンでは不十分で、金融庁の査察をもっと強化して、首相直結の独力機関か、日本能率協会などにより十数日もかけて省庁に入りこんでの徹底的な査察と合理化が必要と思います。
 そして私の意見としては合理化の進んだ外部機関への「天下り」を認めねば、官僚達の未来はないし、民主党マニフェストによる公務員組織の台形化により経費の増大は防げないと思います。
 そのうえで人件費をどう減らすか。
 片山善博総務相は鳥取県知事時代、給与削減で生んだ財源で官民の雇用増を図った。若い世代へのしわ寄せを避けるためにも参考になる発想だ。
 片山さんは鳥取県と言う小さい組織だから職員たちの意識の共通化ができたのだと思います。
  政府の公務員と言う膨大な組織での意識の共通化の基本は、石原都知事のやったように会計制度の改革で人件費と言う固定費を表にだして、国会審議の場に上げ、公務員にも原価意識を持たせることが必要だと思います
 若い公務員を民間企業や介護や教育の現場へ出すのも一案かもしれない。その間の給与を民間が負担すれば費用は減り、経験を政策立案に生かせる。
 官僚からもアイデアを募ればいい。発想まで縮んでは人件費は削れない

  私の意見ではこの提案こそ合理化の一番の問題だと思います。
  実務に疎い政務三役が自分で頑張るより、実務に詳しい多くの公務員に頑張ってて貰い、彼らから長い経験に基づく改善提案を出させるほうが遥かに効果的であり、合理化という名の官僚の過重負担の増加への抵抗を無くすことになります。
 そのためには彼らのやる気を引き出さねばならないのに、民主党政権の政務三役は政治主導と言って彼らを頭から押さえ付けてきました。
 それが朝日の提案とは逆に公務員達の「発想が縮んで」それなら政務三役のやることを見てやろうか態度を取らせてきました。
 これで一般企業で見れるように巧く行く筈がありません。

  民主党は政権奪還のために衆院選、参院選の時、連合、自治労、果ては悪名高い日教組の大会で首脳部が組合員を前にして奇麗事を言って来ました。
  そして政権党となった今、どう言う形でも公務員たちになんらかの痛みを伴う問題だらけ公務員経費削減のマニフェストを実行しなければなりません。
  経費削減のマニフェストにある、「地方分権→公務員の地方自治体の派遣→公務員人件費の削減→その経費を国が負担」など国会に持ち出したら、野党やマスコミが改めてそのインチキ性に気付いて、猛烈に攻撃して来るのは間違いないと思います。
 やはり一般企業が戦後以来取り組んできた手法を地道にそして確実に一歩づつやるしかないような気がします。
 まずそのために政権と公務員が経費削減に就いて共通認識をもち、彼らにやる気をもたせて、朝日の言うよう公務員たちからの意見を聞く必要があると思います。
  そのためには、文字通りの政治主導で政務三役が官僚を押さえ付けて何もかも自分でやってしまうというアホな経営者のやり方から、麻生さんの言うように「巧く官僚を使う」手法に切り替えない限り公務員の経費削減はできないような気がするのですが。

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国のこと考えているの小沢さん

2010-11-04 10:10:14 | 菅内閣

小沢氏の会談拒否、岡田氏面目丸つぶれ
 民主党の小沢一郎元代表が3日、自らの資金管理団体の政治資金規正法違反事件を説明する国会招致を拒む考えを表明した。
 国会説明が必要だとしてきた岡田幹事長との対立は、いよいよ深まることになった。
 小沢氏は、岡田氏からの会談要請に対し、会談の趣旨が不明確であることを理由に拒んだことを明らかにした。その後、「国会の中で(説明を)やるのは、司法と立法の関係で妥当ではない」と返答したという。
 岡田氏が衆院政治倫理審査会への出席を要請する考えであることを踏まえ、「政倫審に出るべきだという議論が前提では、ちょっと違うのではないか」と述べ、否定的な考えを示した。
 政倫審出席に関しては「岡田君1人で決める話ではない。国会として、党としてどういう結論を出すか、ということをまずやらなくてはいけない」と語った。小沢氏に近い輿石東参院議員会長は政倫審に否定的な考えを示しており、執行部がまとまっていないことを理由に拒否する考えを示したものだが、幹事長ポストにある岡田氏の威信にかかわる発言ともいえる。
 小沢氏は10月7日、国会内で記者団に「国会で決めた決定に私はいつでも従う」と述べていた。
 小沢氏の発言に対し、民主党の幹部は「野党にどんどん追及してもらって、小沢氏が追い込まれて離党でもしてくれればいいが」と語った。

「私の意見」
 永続性のある政権交代を希望する私の立場から見た感想です。
・小沢さんが自分の政治的地位を護ろうとするのは当然です。
・そのために小沢さん支持グループ200人の力を背景にして、野党時代に参議院の民主党多数の力をかりて、福田・麻生内閣を手練手管で揺すったのと同じ手法を用いているような気がします。
日本は今政治・経済・安全保障の色々な面で危機的な状況にあります
 そしてそれに対処しなければならない民主党政権も難しい立場にあります。
 おまけに、民主党のマニフェストも穴ダラケ、野党の追及に対して苦しい答弁を繰り返しています。
 残った唯一の売り物の行事仕分けも薄っぺらなもので、これから約束した十数億円の財源を産み出す当てはなくなりました。
・今、問題になっているTPPも鳩山・小沢グループは反対の表明をしました。
 この参加に遅れれば、日本に取って都合の悪いルールが決められてしまうの言うので、困った管政権は、加入の表明をしないで、その表明をしていると米国と事前協議をしようとしている報道がありますが、外交では何枚もの上手米国、しかも米国自身も悪い経済環境にあるなかで、日本の言い分を盛り込むことはまず不可能のような気がします。
 そうすれで経済界の言うように日本が世界から取り残されてしまうかも知れません
 政権与党の多数派を占めているのですから、鳩山・小沢グループは反対なら反対でその対案(多分具体的なものはない筈ですが)を執行部に出すべきです。
・それらの日本の危機的状況にあって、野党もかっての民主党のように何でも反対では世論の反発を恐れて、民主党内閣に是々非々の立場で協力しようとしています。
・この儘で行けば日本はどうなるか?
 多分全ての面で悪化の方向に進むのは間違いないと思います。
・一つはっきりしていることがあります。小沢さんがことをこじらせればこじらせるほど、小沢さん支持グループの中でも、良心的な政治家が離れて行くのは間違いないと思います。
 極端に言えば最後まで小沢さんについて行く人は今までの自民党時代からの成り行きからみてせいぜい数十人、然も(今でもそうですが)政界の重要な地位を占める主だった腹心は一人もいないと言う事態に成りかねないような気がします。(やや軽薄な面も匂う前原さんでさえ、そのグループと比べて見て下さい。)
・過去の民主党は「政治と金」の問題でマスコミの協力を得て自民党内閣の閣僚を何人も入れ換えさせましたし、民主党もこの問題に就いてはクリーンさ世に訴えてきました。
 自民党が政権党の時の民主党の攻撃の例を取り上げて民主党を攻撃するのは当然です。
・小沢さん支持の何人かの識者は国会で証言をすることになっても「公判を受ける身だからこれ以上は言えない」と言えば良いと示唆しています。 (世論調査での小沢さん批判の大多数は法に引っ掛からないから無罪と主張している小沢さんの、法の精神に反した行為に対する政治家としての道義的責任を問題にしているのですが。)
 私の想像ですが、この儀式を終了すれば野党の殆どは補助予算案の審議に取りかかるのは間違いないような気がします。
・それでも国会の説明を拒否するのは、やはり外野が見ているよにう、自分の立場を利用して小沢さん得意の、それも党内での「政局化」を図っているとしか思えません。
・小沢さんが権力を再び握るか、ボロボロになるまで戦うか、それとも政治家として有終の美を飾るか自分自身が判断することですが、そのために少なくとも(鳩山さんの普天間問題発言のように)国の方向だけは誤らせないで下さい。

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民主党政権の通信簿

2010-11-03 14:46:41 | 菅内閣

*日本国民の期待する変化を裏切った民主党政権*
 日曜日の読売テレビの「たかじんのそこまで言って委員会」、月曜日のテレビ朝日の「ビートたけしのTVタックル」ではどちらも同じ三宅久之さん、勝谷誠彦さん、岸博幸さんなどが出ていたせいもあったかも知れませんが、さながら民主党政権の吊るし上げ大会のように同政権の人事から政策までコテンパンに言われていました。
 それで何時もの詮索癖がでて、民主党政権の今までの成果について考えて見ました。
 そしてなるべく公平を期するために自民党政権、特に麻生政権の成果を5としたときの民主党の成果を10点満点で評価して見ました。
 麻生政権に絞ったのは、民主党政権が僅か一年の成果しかないので、評価のレベルを併せるためです。
・外交・安全保障:2(麻生さんのときは余りこの問題が出なかったので小泉さん以来の自民党政権の成果を5とした場合としました。)鳩山発言で日米関係をぎくしゃくさせ、その隙間を中国から尖閣問題、ロシヤから北方領土問題を突かれることになった。
 尖閣問題の処理に就いては自民党政権の今までの慎重姿勢から考えると菅内閣のやり方と余り変わらないような気がします。
 問題は民主党政権が自民党政権に比して安全保障に対する脇の甘さを諸外国にさらけ出したことです。
・経済政策:1~2 公約を見ても中小企業対策ばかりで肝心の発注元の大企業への支援策が全くと言う程ないことです。 (麻生さんの場合「国立マンガ喫茶」以外はエコポイント制度など専門家から可なりの評価を得ています。)
 野党側からの経済無策だとの追及で子ども手当て、農家の戸別所得保障制度などがそうだと言いましたが、子ども手当てはの約60~70%が貯金に消え、後者では自民党が推進してきた大規模農業政策で必要な田んぼの貸し剥がしが始まっているそうです。
 自民党の農業政策の一部の転換までの、農家への保護政策は農業の弱体化を招いている教訓が全く活かされていないようです。
 今回のTPPの問題で農業政策の基本的な見直しが叫ばれていますが、鳩山・小沢グループの反対で、日本だけは置いていかれそうな状況です。 (自民党にも反対論が根強いそうです。)
 もう一つの問題は麻生さん時代のリーマンショックや中国の台頭に伴う大きな経済環境の変化に対して、公約だからと言って即効性のある公共工事を一気に中止または廃止、経済の冷え込みに一役買ったことです。
 唯一のプラスになるのはベトナムからの原発受注とレアアースの開発を確実にしたことです。
・「政治と金」の問題 2~3 自民党政権の場合はこの問題が起こると野党やマスコミの追及に逢って、問題の閣僚は直ぐに交代させましたし、野党時代の民主党もそうしていました。
 然し政権を取ってから問題党員の処理の遅さ、鳩山さん、小沢さんの同問題への開き直りはどうしたのでしょう。
・政治主導の行政改革・公務員制度改革 2 麻生さんの時は出先官庁の統合、公務員制度改革への人事院総裁は反対で頓挫して、政権陥落への大きな原因となりました。
 民主党が政権となって公約の天下り禁止の公約のために行く先を失った人達のために省内に新しいポストを設けて、却って人件費の増加を来し、その解決のために「天下り」を「出向」と言い換え、それに乗じて出向先を増加して野党やマスコミからの追及を受けています。
 最近では人事院勧告の、1.5%以上下げると言っていたのにそのまま受け入れと腰砕け、片山さんが賞与の削減を考えるとコメント、また公務員に団体交渉権を与える代わりに、給与削減をすると言っていますが、菅内閣の腰砕けの姿勢から殆ど信用する人はいないでしょう。  (この民主党の腰の引けた態度に自民党がみんな党と共同提案で公務員制度改革法案を提出されています。)
 政治主導の行政改革も省内に多数の政務三役を送り込んだのは判りますが、何もかも自分でやろうとして、公務員の人達の士気をすっかり落としてしまいました。
 人事の基本は部下のモチベセーションを如何に上げて、自分たちから如何に自発的に仕事をさせ、改善意見をださせるかにあるのにそれをすっかり忘れているのです。
 実務には素人の数人の政務三役が実務に手をだすよりは、遥かに実務経験のある官僚のやる気を引き出して、仕事を思う存分にさせ、改善提案をさせた方が遥かに効果的だと思います。
 唯一のポイントは事業仕分けですが、法的根拠もなく後のフォローや、首相の後押しもなければ何も出来ません。
 そして無駄の排除で十数億円も生れるといったのも掛け声倒れになりそうです。
 先の番組で、基本的には金融庁の査察のような独立の機関が関係機関にら何日も張りついて査察しなければ、本当の無駄の排除はできないと誰かが言っていました。
 私も同意見ですが、査察で合理化させ、癒着防止などの制度を見直し済みの機関には天下りでも出向でもさせれば良いと思います。
 然も近頃の仕分けでは民主党の副大臣や政務官が仕分け反対をする始末で、その行先は知れているような気がします。

[民主党政権の失敗の原因]
 以上を見ると麻生さんは激しい批判を浴びましたし、幾ら贔屓目で見ても5以上は上げられませんが、その成果は民主党政権より可なり上のような気がします。
  その原因は、
・政権交代後いきなり自党の公約を実行に移したことです。
 一般企業の場合、外部から来た新しい経営者がせ社内の改革を取り組む時は、先ず社内の各部署を周り、部下の意見をじっくり聞いて始めて改革に取りかかるのが普通です。
・然も民主党のマニフェストは野党の公約で政権政党の政策の穴を埋めるから補完するには十分から知れませんが、政権与党では通じないのもので、民主党政権のやることのボロ次々に出る原因の一つだと思います。 (民主党政権に優しい国民は世論調査で公約の修正をしても良いと言っていました。)
・国の場合は政策や外交・安全保障の継続性が必要なことは常識の様です。
 それをいきなり普天間基地反対だからと言っていきなり「国外・少なくも県外」と言って米国との関係をぎくしゃくさせたり、省内に乗り込んで国民との約束だからと言って、その政策を官僚に押しつけたりするのは、外交は勿論経営者としては完全に素人と言われても仕方がありません。
 菅さんも現実を見て考え直しているようですが、党内事情もあり今後どれだけ改善できるのでしょう。

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耳かき店員殺害事件・改めて裁判員制度を考える

2010-11-02 15:12:17 | 政策、社会情勢

*裁判員に過大な精神的負担をかけることで事実上の死刑廃止を狙う人達?*

 耳かき店員殺害事件で無期懲役の判決がでました。
 これに就いて各メディアは判決に加わった裁判員の精神的負担が如何に重たかったか、そしてそれが彼らの後の人生まで影響するだろうと報道しています。
 私は実はそこに裁判員制度の目的、つまり素人の裁判員に重い精神的負担を掛けることで国民の大多数が支持している死刑制度を事実上なくそうと言う目的を事実上達成しかかっているのだと思います。
 つまりこの制度は始めから胡散臭い制度なのです。
 それで私が8年5月に書いたこれで良いのか裁判員制度
の概要を聞いて下さい。
 「たかじんのそこまで言って委員会」で採り上げられた裁判員制度で、珍しい展開があった。
・Wikipediaによる裁判員制度の説明
導入の背景:裁判員制度は、「司法制度改革」の一環として、死刑制度に反対する公明党主導で導入された[要出典]。 (現在この記述は消えています。)
目的:国民が刑事裁判に参加することにより、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民の信頼向上につながる
対象事件:死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件
 法定合議事件(法律上合議体で裁判することが必要とされている重大事件)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの(暴力団関連事件を除く)
・有識者さえ知らない同制度の提案の経緯
 三宅久之、宮崎哲弥、勝谷誠彦の各氏などの論客に加えてこの種の問題に良く出てくる有田芳生さんまでが、ゲスト解説者の元最高検察庁検事の土本武司さんと、谷澤忠彦弁護士へ裁判員制度の話はどこから出てきたのかとの質問が出た。
 土本さんはそれに対して弁護士会からだと答え、弁護士の谷澤さんはそれに対して(反対せず)裁判官に変な人がいるからだ(と提案の理由として)と答えた。
 谷澤さんの話しとWikipediaの解説から総合すると死刑廃止論者に牛耳られている?弁護士会の提案に同じ考えの公明党が乗ったのかも知れない。
  そして後期高齢者医療制度のように、ろくに論議されないまま、あれよあれよと言う間もなく法律が出来たのかもしれない
・国民の世論と公明党、弁護士会の考え方の背離
 国民の大多数が裁判員になりたくないと考えている背景の一つには、何故国民が裁判に参加しなくてはならないかの理由がいま一つ判っていないこともあるようだ。
 何故なら、裁判員参加の対象と考えられている今までの刑事事件の大きな裁判で、いわゆる不当判決を受けた例は地裁から最高裁までの裁判制度のお蔭で、ごく一部を除いて、国民の大部分は不当と思われる判決などないことを知っている からだ。  (その他のエントリーでも触れていますが、何故米国の陪審員の様に有罪・無罪の判決でないのか、専門知識も経験もない裁判員が何故量刑まで出さねばならないかも、殆ど説明されてないままでした。)
・裁判員制度提唱者の本音
  弁護士会と公明党の提案の目的ははっきりしている。
 与党の公明党は死刑制度廃止を考えているかも知れないが、国民の70~80%は同制度を支持している。だからいくら民意に訴えても、死刑制度廃止は出来ない。然し、素人が判決に参加すれば、たとえ極悪人でも死刑宣告に二の足を踏むだろう、それが死刑賛成の国民の世論に関わらず実質的の死刑廃止に繋がるだろうと言う事だ。
・谷澤さんの意見の問題点
 谷澤さんの意見が弁護士の総意を代表しているとすれば、彼の言う「おかしい裁判官」には、首を捻ること幾つかある。
 彼が言う様に裁判官にもおかしな人がいるとだろう。
 然し死刑か無期か決定するのに余程の変わった人が人がいても前述のような現行制度で充分にカバー出来ている。
 一方、裁判の結果で世の中の批判を良く浴びるのは、特に政治絡みの民事裁判の判決だ。
 原発訴訟、薬害や公害訴訟などだ。
(その後の報道で裁判員制度の案が出てきた時の対象は民事事件だったことが判りました。そしてそれが刑事事件に変わったのはその方が国民の関心を引きやすいという変な理屈からだそうです。)
 「あれよあれよと言う間もなく法律が出来たのかもしれない」の疑問に就いては次のエントリーを見て下さい。
問題だらけの裁判員制度スタート 

<裁判員制度が提出されたときの国と国会の状況>
 このような問題ダラケの法案が碌に審議もされず、マスコミも碌に報道せず、(前述のように三宅さん、宮崎さん、勝谷さん、有田さんも知らなかったのですから) (私のように)一般国民も当然知らないままあれらあれよと言う間に法案が通過しました。(その理由は当時の国や国会の審議の状況を見れば判ります。
  2003年(平成15年):イラク戦争勃発。自衛隊イラク派遣が始まる。
  2004年(平成16年):イラク日本人人質事件。年金未納問題。新潟県中越地震。
                   同年5月 裁判員制度成立
 この様な時期だから、国民やマスコミの関心は他の方に向いていたのでしょう。
 こう言う機会を捉えて公明党が提案したなどの謀略とまでは考えたくありませんが、不幸な偶然で、国民生活に重大な影響を与える
(当初予定の民事でなく刑事事件にたいする)法案が成立したのでしょう。
 私は裁判へ市民参加するならその対象を民事裁判に切り換えるべき、刑事裁判なら米国なみの有罪・無罪の判決に限るべきと思いますが、今後どう言う展開になるのでしょうか。
 そして事実は法
に定められている、「死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件」や「重大事件」でなくて、中にはと言うか殆どがマスコミにえ取り上げない軽い刑事事件で国民への裁判員制度に対するアレルギーを和らげたところで、耳かき店員殺害事件からいよいよ公明党や弁護士会の目的とする死刑・無期に相当する事件の裁判を素人の市民が担当させ、彼らに大きな精神的な重荷を負わせることになるのでしょう。

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TPPが日本の政治に突きつけるもの

2010-11-01 14:15:50 | 外交・安全保障

 今までのように政治の農業問題先送りでは日本沈没??
  仮想敵国”は韓国 TPPで一気追撃促す産業界では概略次のように報じています。
・環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり賛否両論が渦巻いている。
・2国の自由貿易協定(FTA)などので韓国から電子機器輸出に遅れをとり、更にEUとのFTA締結で自動車でも遅れを取る可能性が出てきた。
・日本の産業界はTPPで遅れを一気に取り戻したいとしているが、韓国のTPP参加は時間の問題とされている。
・それに対して農業関係者から反対論が相次いでいる
・アジア通貨危機で窮地に陥った韓国は政府主導の経済立て直しを推進。これに対し、日本は「国を開く」ことができるのか。

 この報道を見てFTA、PTT推進の一番の障害となる農業問題に就いて韓国はどのように処理しているのか、ネットで調べた所、「大西良雄ニュースの背後を読む」の「TPPというバスに乗り遅れ、韓国に負ける?」 と言う記事を見つけました。
 非常に的を得た意見と思いますので、是非最後までご覧下さい。
「1.5%の第一次産業のために98.5%のかなりの部分が犠牲に」
 日本のFTA比率は、すでに韓国より大きく劣っています。将来もその差が広がりそうです。なぜ日本のFTA比率が高まらないのか。その理由は、ひとえに日本の農業問題の深刻さと農業保護を叫ぶ政治家にあります
 TPPの交渉役をまかされた前原誠司外相は、そのことを見事な表現で言い当てています。「第1次産業のGDPに占める割合は1.5%に過ぎない。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっている」と。
 正確に言いますと、農林水産業の総生産は5兆6295億円で08年度のGDP494兆円の1.14%です。前原氏の数字よりさらに小さくなります。この1.14%に足をすくわれ、日本は自由貿易の輪の中に入れず、産業の競争力をどんどん劣化させているのです。
 農水産業が自由貿易交渉の阻害要因になるのは韓国も同様でした。しかし、韓国には「自由貿易で生きる」という政府の決断、政治家のリーダーシップがありました。韓国企業は1997年のアジア通貨危機の後、大胆な経済構造と経営改革に踏み切り今日の競争力基盤を築きました。韓国政府はこれに歩調を合わせて輸出立国へ大きく舵を切ったのです。その武器がFTAでした。
 そして韓国はFTA締結を進めるために、国内農業に対する体系的な構造改善策を採用しました。FTA締結に備え農業・農村総合対策として総額119兆ウォンにのぼる中長期の投融資計画を打ち出ししたのです。国内農業に大きな影響が予想される韓米FTAの締結に際しては総額20.4兆ウォン(当時100ウォン=12円)の投融資計画(2008年~2017年)を追加しました。
「小沢・鳩山連合の妨害で日本の産業も日本の農業も共倒れの危機に」
 誤解がないように述べておきますが、韓国の農業・農村対策は、日本の民主党が実行している小規模な兼業農家、日曜農家にも小遣いをばら撒くような選挙目当ての戸別所得保障制度とは大いに異なります
 2007年に韓国政府が発表した「韓米FTAに対する農業部門への支援策」によりますと、
「農業人のうち、趣味で農業を営むものや農業以外の所得が高い兼業農家は農業政策支援の対象から除外する」
農業を主業とする農家と農業法人を韓国農業の中枢として育成していく」
「高齢農業人の経営移譲を誘導する政策を拡大し、農地など生産要素が専業農業者に集中できる環境を整えていく
とうたっています。
 韓国の農業対策の主眼は、専業農業者の育成や規模の拡大による農業生産性の引き上げ、ひいては農産物の輸出競争力の引き上げにあることは明白です。韓米FTA締結で追加された投融資支援20.4兆ウォンのうち94%に当たる19.2兆ウォンは競争力強化に当てられます。
 日本は韓国に倣って、日本経済の衰退を招かないために「98.5%」の産業のためにFTA締結を推し進め、その犠牲になるとされる「1.5%」の第一次産業のための抜本策を採用すべき時に来ているというほかありません。
 財源はあります。現在でも、上述した5.6兆円の農林水産業の総生産を維持するために国と地方自治体あわせて毎年3.9兆円もの農業予算が投じられているのです。農家への戸別所得保障を含むこの農業予算のすべてを抜本的に組み替え、FTA締結に備える農業対策費用に回せばよいのです
 そうしなければ今後も農業後継者は現れません。現在65.8歳に達する農業就業者の平均年齢は10年後には75歳になり、日本の農業は崩壊しかねません。小沢・鳩山連合の言うまま、TPPというバスに乗り遅れ、後継者が出てこない農業を現状のまま放置すれば、日本産業も日本農業も共倒れになってしまうでしょうね。とても残念ですが......。
[私の意見]
 私は大西さんの意見に賛成なので重要と思われる部分にアンダーラインを引いた以外特記することはありませんが、表題のように政治と農業問題に就いて書いて見たいと思います。
 日本の政治の大きな特徴の一つは少子化の様にややこしいこと、800兆を越す国債のように票にならぬことは先送りする一方、票になることは一生懸命にすることです。
 正に農業問題がそうでした。
 自民党政権は生産力の乏しいコメに778%もの輸入関税が示すように、農業に徹底した保護政策を取りました。
 これで農業団体からの票の獲得の役にたちましたが、消費者は米国などに対して遥かに高い米を食べさせられているのですが、消費者の農業従事者に対する同情もあり、これが消費者の票の減少には余り繋がりませんでした。
 それで起きたのは農業団体の政府依存体質と圧力団体化です。 (例えば農協で農業技術研究機関を持っているなど聞いたことがありません。)
 最近になって自民党政府もやっと農業の生産性向上策を取り始めましたが、幸か不幸か、民主党に政権を奪われ、農家の戸別所得保障制度という、大規模農業に逆行する政策を進めています。
 もう一つ日本にとって不幸なことは、大きな経済環境の変動な当たって、攻撃的な経済政策で対応しなければならないときに、韓国は人権派弁護士だった盧武鉉さんから実業家出身(現代グループ)の李明博さんと大統領が変わったのに、日本では実業家出身の麻生さんから、博愛の鳩山さん、社会運動家の菅さん、権力闘争のためには手段を選ばない小沢さんの率いる民主党政権になったことです。
 大西さんは「農家への戸別所得保障を含むこの農業予算のすべてを抜本的に組み替え、FTA締結に備える農業対策費用に回せばよい」と言っていますが、農家の戸別所得保障は民主党の目玉政策で、それを引っ込める可能性は少なそうですし、TPPに反対する鳩山・小沢グループは党内の半数を占めています。
 そして最大野党の自民党内にも農林族などがTPP反対に廻っています。
 テレビでは経済の専門家が、日本企業は中国どころかFTAでEUへの関税ゼロの韓国へ工場を持って行くか知れないと言っています。
 私が最初に書いた様に、面倒なこと票にならぬことを今までのように先送りすれば、日本沈没まで行かずとも浸水位になりそうです。
 菅さんや谷垣さんのリーダーシップを期待したいのですが、果たしてどうなるのでしょう。

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参照:TPPへの参加促進を-政府は農業を含む大胆な構造改革を推進せよ-