ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

エヴァ・ガードナー

2016年05月17日 | ハリウッド

 「エヴァ・ガードナー-美しすぎた女の一生」(講談社)という本がある。
 内容ははっきり言ってゴシップの洪水。恋多き女として知られた大女優ガードナーの華麗な男性関係が余すところなく書き記されている。
しかし著者はガードナーをだらしない悪女と決めつけているわけではなく、むしろその行動に肯定的で、行間からは好意と理解・暖かさが感じられる。読後感がすっきりとしているのもそのためだ。
 二千円というお手頃価格が嬉しかった。原著にはあった巻頭の8ページに渡るイントロダクションと巻末のフィルモグラフィーがカットされているのはちょっといただけないが。



 南部の貧農の娘として生まれたガードナーはカメラマンだった姉の夫の撮った写真がスカウトの目にとまりハリウッド入りする。
翌42年、ミッキー・ルーニー(人気子役スター)の熱烈プロポーズに屈して結婚。18ケ月で離婚し、44年にプレイボーイとして名高かったジャズ・ミュージシャンのアーティ・ショーと再婚する。
有名人の妻としてひんぱんに新聞・雑誌へ登場するようになっていた彼女は新人バート・ランカスターと共演した「殺人者」(46)がヒットし、女優としても昇り調子になる。
 ショーと離婚したあと、彼女はハワード・ヒューズをソデにし、フランク・シナトラと結婚(51年)、世界中の話題をさらった。
 あとは順風満帆、「キリマンジャロの雪」(52)、オスカーにノミネートされたジョン・フォード監督の「モガンボ」(53)、「裸足の伯爵夫人」(54)、三たびヘミングウエイ原作の「陽はまた昇る」(57)、スタンリー・クレイマー監督の近未来SF大作「渚にて」(59)と大作・傑作・話題作揃い。公私両面に渡って50年代を代表した華麗な大スターであった。
 「バンドワゴン」(53)には本人役でゲスト出演している。主人公の落ち目のミュージカル・スター(フレッド・アステア)と同じ列車に乗り合わせ、彼から記者・レポーターを残らずかっさらう人気女優。しゃれた趣向のシーンである。




90年1月死去。59年に正式離婚したあとも彼女を愛し続け、なにかと世話を焼いてきたシナトラはショックでボケてしまったとささやかれた。

 この本の終章に、ガードナーの生まれ故郷(ノースカロライナ州スミスフィールド)の熱烈なファンが彼女の住んでいた家を買い取り私財で「ジ・エヴァ・ガードナー・ミュージアム」を設立した、という記述がある。たぶんたいしたものじゃないのだろうけれど、これを読んで以来、どこか行ってみたいところはあるかと尋ねられるたび僕はこの地名を挙げている。

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