このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
Yさんは私が担任を務めていたクラスの隣りに赴任してきた産休代替教員だった。
私たちは年が近いこともあってすぐに仲良くなった。
休み時間にはお互いの仕事に対する夢を語り合い、休日は二人して出かけて美味しいものを食べ歩いたりした。
そのうちに彼女の任期満了の日が近づいてきた。
私も今年度限りでこの学校を離れ、県南への転出の内示を受けていた。
Yさんはとても清々しい、一服の涼風のようなひとで、別れたあとなどは、それまで本当に一緒にいたのだろうか、気のせいだったのではないかとの錯覚をいだくほどだった。
私は卒業式が終わるとYさんが跡形もなく消えてしまい、自分がひどくがっかりするのが怖くて、ほんの少しずつ彼女との距離を取り始めた。
一種の自己防衛だった。
彼女がそれに気づいていたかどうかはわからない。
そして当日、私たちはありきたりな挨拶を交して別れた。
私は必死に涙をこらえながら、彼女の後ろ姿に向かって心の中で頭を下げた。
翌日、引越しの荷造りを終えた私は、足しげく通いお世話になった喫茶店を離任の挨拶に訪ねた。
すると、なんとしたことだろう、入り口でYさんとばったり顔を合わせた。
彼女もまた同じ思いでここへやってきたのだ。
私は思わずYさんの手を取り、詫びた。
「離れ離れになる私たちの物語はこれで終わるのだとさびしく思っていたのだけれど、こんな風にあと数行、数ページ残っていたなんて。本当にごめんなさい。」
アルファヴィルのオーナーがドアから顔を出した。
「あなたたち、立ち話などしていないで、早く入って。二人の第二章は暖かい当店内でお始めなさい。」