昨年末から今年5月にかけてNHKで何度か放映された「映像詩 宮沢賢治 銀河への旅 ~慟哭の愛と祈り~」という番組の中に、宮沢賢治と親友保坂嘉内との出会いと別れについての再現ドラマが組み込まれていた。
そしてこのドラマ部分で賢治先生を演じていた中川光男という俳優が、これまでの伝記映画等と大きく異なり、のっぺりとした、いかにも東北人という風貌だったことに驚いた。
興行成績や視聴率のこともあるだろうけれど、これまで宮沢賢治を緒形直人や三上博史、鈴木亮平といった目鼻立ちのくっきりした男優たちが演じていることに、かなり強い違和感を抱いてきたので。
中川の演じる独特の風貌の賢治先生は、保坂の言動に息をのんだり、どぎまぎしたり、目を細めたりと、とても表情豊かだった。
なんだかひどく納得した。
その後、中川がNHK特集「全貌二.二六事件」の中の再現ドラマ部分で陸軍近衛師団の士官(大尉)を演じているのを見かけた。そういう顔なのだな。
思い切って仕事用のノートPCをメイン機、(出張用の)サブ機ともに買い替えた。
底面のラベルによれば、サブ機は大震災前の2010年4月製造、メイン機は2012年6月製造、だった。どちらもつい最近までまったくトラブルなく、よく働いてくれた。
そう話すと担当の営業マンからは、上位機種を買っていただいたからですよ、とそつのない答えが返って来た。確かに、メイン機はここ数週間OSが立ち上がらない症状がたびたび続いていたが、2台ともこれまで彼の手をわずらわせたことは一度もない。
結果として彼の言う通りで、僕はPCに恵まれたということだ。
このあともう少し環境を整備して、自分がより仕事をしやすくして行く。
まだやるつもりか、と言われそうだが。
(ロック画面の背景はいつも通り、ネット上から拾った「華麗なるギャツビー」のスチール写真のスライドショーに設定した。)
事業所が休みの日曜日、私は喫茶店アルファヴィルの手伝いに出かけた。着いてみると、週末アルバイトのIさんがもうすでに来ていて、モーニングセット用にと小ぶりのオムレツを焼きながら、オーナーへ郷里弘前のねぷた祭りについて話していた。
「父の知人のねぷた絵師の方に尋ねたことがあるんです、女性を山車に描くとき、きれいに描くのか、それとも、色っぽく描くのか。その答えがとても面白くて、『絵師が描く女性は、恋人や奥さんに似てくる、若いころは特にそう。今、還暦が近くなった自分は、孫に似てるって言われるんだ、そしてそう言われるのが嬉しくてね』と話されました。」
いいお話ね。オーナーが頷いた。
「大きな山車に描かれた女性像が自分をモデルにしたもの、面影を映したものだったら、どれほど嬉しく、誇らしいことか。ああ、ねぷた祭りが見てみたくなったなあ。」
Honest I do
Don't cha know that I love you?
Honest I do
I'd never placed, no one above you
Please tell me you love me
Stop drivin' me mad
You the sweetest little woman
That I ever had
I told ya I love you
Stop drivin' me mad
When I woke up this mo'nin'
I never felt so bad
こんなに愛しているのに
わからないの
お前の代わりなんて
いるわけない
愛してるって言ってくれ
オレを狂わせないで
これまで出会った誰よりも
お前は可愛いコだ
愛してるって言っただろ
オレを狂わせないで
今朝目が覚めると
こんなにひどい気分ははじめてだった
ローリングストーンズがデビューアルバム(1964年)でカバーした、ジミー・リードのブルースナンバー。
リードはこのほかにも「ビッグ・ボス・マン」や「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」、「シェイム・シェイム・シェイム」などのヒット曲があり、カバーも多い。
オリジナル(1957年)、ストーンズ、ルースターズ(1980年)の順に3バージョン並べておこう。
ルースターズはオリジナル・アルバムへの収録はなかったが、初期のデモテープやスタジオ・セッション、ライブ録音がいくつも残っている。
そういえば、20代のころ時々ライブを高円寺や吉祥寺へ観に行ったブルースマンが「ビッグ・ボス・マン」をアルバムタイトル曲にしていたな、と久しぶりに懐かしく思い出した。
NPO法人なごやか理事長の事務机の上には小ぶりのペーパーウエイトがいくつか並んでいるのだが、その中でもとりわけ目を引くのが、事業所から誕生日のプレゼントにと贈られたというブルーのクリスタルガラス製の地球儀だ。
とてもきれいですね、と私が口に出すと、彼は相好を崩し、男は地球儀が好きだからね、と答えた。
ちょっと手を貸してごらん、と言われて差し出した手のひらに、理事長はその球体を置いた。
意外と重かった。
重いでしょ、自分の手の中のそれを見ていると、世界征服したくならない?
いいえ、女の私にはわかりません。机の上にそっと戻した。
「そういえば、先日、県南の方へ研修に行った際、理事長が集めているナンバーの車に何台もすれ違った時は、こちらまで魔の手が伸びているんだ、と思いました。」
「あははは、ひとをショッカー※①か死ね死ね団※②みたいに言うものじゃない。」
私の冗談に対して、彼はまんざらでもない表情を浮かべて笑いながら抗議した。
「チャップリンの独裁者」(1940年)より
※①「仮面ライダー」の登場する悪の秘密結社。
※②「レインボーマン」に登場する悪の秘密結社。太平洋戦争中の旧日本軍による残虐行為を恨む東南アジア人で構成されていて、日本人のせん滅を企んでいる。