あなたはとても優しいけれど、相手に対してどんな時に怒るの?と藪から棒に尋ねられた。
「そうだねえ、きみは『ブレードランナー』(1982年)って映画を観たことある?
あるのか。それなら話が早い。
知ってのとおり、あの映画はカルト的な人気が高く、セリフを暗記しているひとにも何人か会ったくらいなんだけど、特にラスト近くの、寿命が切れるレプリカント(奴隷労働用の人造人間)役のルトガー・ハウアーのセリフはまるで一編の詩のように美しいんだ。
「オレはお前たち人間がとても信じられないような光景を見てきた。
オリオン星雲の縁で炎上する攻撃用宇宙船、
タンホイザーゲート付近できらめくCビーム、
そんな記憶もやがてすべて消えて行く、、、雨の中の涙のように。
、、、死ぬ時が来たようだ。」
それがある時、このセリフと似たような気持ちになったのね。
それ以来思ってるんだ、僕のところへやってきて、昔このへんで地震と津波があったんですってね、こちらには何か被害はありました?なんて軽々しく言わないでね、たとえ外国人でも、と。」
元旦、年賀状とともに人間ドックの結果表が送られてきた。
例年通りセンダード市のクリニックで12月中旬に受検したもので、過去3年分のデータが併記されている。体重、BMI、胴回り、体脂肪、マーカー検査など全体の数値は目に見えて良くなっているものの、耳、目、胆石など、パーツ悪し。
やはり加齢には勝てないのか、とややあきらめムードになり、帰省した子供たちが持参した土産の洋菓子を交互に食べていると、石川県での大地震のニュースが報じられた。
昨年特に後半思い切り働き、心残りなく一年を終えて、2024年はかつてないほど穏やかな年になるかもな、と思っていたのが、今や胸のざわめきが止まらずにいる。
たまたまチャンネルを回したテレビ局の解説委員が「東日本大震災当日の、けせもい市での大火災のように」と触れているのを観た。
今年も、長寿や健康とは別のところで摂生し、体力を維持して、有事に備える。まずは軽トラックのバッテリーをチェックしよう。