30年前以上前、日曜午前は喫茶店で漫画週刊誌を読んでいた。少年ジャンプとビックコミック・スピリッツは買っていた。「漫画ノート」(いしかわじゅん著:バジリコ株式会社)で、その時の記憶が鼻先にふあっと香った。
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波風立男氏はデッサンが確かな絵が好き。だから、こうの史代より松本大洋が好き。細野不二彦が好きだから、展開の似ている「ママ」が「めぞん一刻」より好き。アクの強い独特な絵柄だが、畑中純「まんだら屋の良太」(漫画サンデー)の世界観、青木雄二「ナニワ金融道」(モーニング)の人間観は漫画だから可能な表現で強引に読まされる感じだが文句なく面白かった。本書で分析される中川まさみ、みなもと太郎、古谷実、業田良家、本宮ひろ志、さそうあきら、いがらしみきお…みんな面白かった。
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いしかわじゅん(昭和26年生、66歳)の漫画への愛と知識量、批評力に驚く。漫画表現を的確に分析し巧みな言葉使いで新たな見方を教えてくれる。平凡パンチ末期に切り札的に登場し、ギャグ風の3等身の登場人物(但し、主人公の女性だけ強調する時に等身大的)にも関わらず、都会的な知性や哀愁を漂わせ他に類を見なかった。「限界芸術論」(鶴見俊輔)にある漫画の大衆的芸術性を、実作者が展開する感。こういう漫画評論は夏目漱石の孫ぐらいしか知らない。本書の起点になる「漫画の時間」(古本定価100円)を思わす発注してしまった)。
波風ブログの裏表を久しぶりに同時更新さてさて、今月から荷物引っ越し・整理整頓に入る。この助走を上手くやれれば中級老人生活の主要課題の整理整頓作業にも弾みがつく新聞切り抜き帳【生活編】が見当たらない。【仕事編】はもういいのに。