日産自動車が経営不振に苦しみ、フランスのルノーから社長を迎えるというニュースには、ずいぶん驚かされました。Japan as No.1 の時代に書かれた『覇者の驕り』でも、日産自動車の経営の問題点が指摘されてはいましたが、それにしても新しい社長がフランス生まれでなく、レバノン生まれのブラジル育ちという経歴を持ち、コストカッターというあだ名で知られているという事前の報道は、日産自動車の将来を危ぶませるものでした。
しかし、あれよあれよという間に急速な業績回復。どんなマジックを使ったのだろうと誰でも不思議に思います。何か、他の人には気づかない独自の指標を用いて経営を分析し、専制君主のようにリストラを断行し、負債を他に押しつけて見掛けの業績回復を演出したのではないか、とさえ疑いました。しかし、徐々にそうではないことが明らかになるにつれて、カルロス・ゴーンという個人に対する関心が高まりました。
この本の前半では、カルロス・ゴーンというレバノン生まれの少年が家族とともにブラジルに渡り、中等教育をレバノンで受け、フランスで高等教育を受け、多文化経験を重ねて行く過程が描かれます。特定の文化を絶対視して押しつけることをしないコミュニケーションの秘密が明かされます。そして後半では、タイヤメーカーのミシュランに入り、ブラジルの会社再建を経験します。続いてアメリカに渡り、北米ミシュランで腕をふるいます。やがて、ルノーからスカウトされ、シュヴァイツァー会長の懐刀として日本に派遣されます。
日本における会社再建は、きわめて合理的なもので、現場とのコミュニケーションを重視し、老害ともいえる不合理な点を改め、企業活動のバランスを日産の日本人社員グループが自己組織化できる段階まで微妙に調整するやり方でした。セブン・イレブンと呼ばれたほどの猛烈な働きぶりが、巨大な会社のあらゆるところで、社員との会話に費されたという事実は、何か特別なマジックではなかったことを物語っています。
たいへん興味深く読みました。
しかし、あれよあれよという間に急速な業績回復。どんなマジックを使ったのだろうと誰でも不思議に思います。何か、他の人には気づかない独自の指標を用いて経営を分析し、専制君主のようにリストラを断行し、負債を他に押しつけて見掛けの業績回復を演出したのではないか、とさえ疑いました。しかし、徐々にそうではないことが明らかになるにつれて、カルロス・ゴーンという個人に対する関心が高まりました。
この本の前半では、カルロス・ゴーンというレバノン生まれの少年が家族とともにブラジルに渡り、中等教育をレバノンで受け、フランスで高等教育を受け、多文化経験を重ねて行く過程が描かれます。特定の文化を絶対視して押しつけることをしないコミュニケーションの秘密が明かされます。そして後半では、タイヤメーカーのミシュランに入り、ブラジルの会社再建を経験します。続いてアメリカに渡り、北米ミシュランで腕をふるいます。やがて、ルノーからスカウトされ、シュヴァイツァー会長の懐刀として日本に派遣されます。
日本における会社再建は、きわめて合理的なもので、現場とのコミュニケーションを重視し、老害ともいえる不合理な点を改め、企業活動のバランスを日産の日本人社員グループが自己組織化できる段階まで微妙に調整するやり方でした。セブン・イレブンと呼ばれたほどの猛烈な働きぶりが、巨大な会社のあらゆるところで、社員との会話に費されたという事実は、何か特別なマジックではなかったことを物語っています。
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