電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

リヒテル夫妻のグリンカ「歌曲集」を聞く

2005年12月18日 16時21分11秒 | -オペラ・声楽
何年ぶりかでグリンカの「歌曲集」を聞いた。スヴャトスラフ・リヒテルの1940年代から50年代の演奏を集めたモノラル録音のシリーズ中の一枚(ビクター MK-1014)である。実際にはどこかホールでのリサイタルのようで、最後に盛大な拍手が録音されている。歌っているのはリヒテル夫人のニーナ・ドルリアク(Sp)、伴奏をリヒテルが受け持っている。内容は、以下の12曲。

A-1 応えてよ、わが問いに
A-2 おまえのそばにいると
A-3 ヴェネツィアの夜
A-4 おお、おまえ、うるわしき処女よ
A-5 旅のうた
A-6 天上の聖女と呼ぶなかれ

B-1 子もりうた
B-2 早く判っていたら・・・いたら・・・
B-3 かわいい女
B-4 フィンランドの入り江にて
B-5 アデーリよ
B-6 忘れがたき、かのひととき

初めてこのLPを聞いたとき、ストレートに胸にひびくものがあった。プーシキンほかの歌詞がわかればなおよいのだろうが、ロシア語は皆目わからないし、大塚明氏の解説から大要を知るしかない。第二次大戦後、スターリン時代の困難な時に音楽家や録音エンジニアらが残した貴重な記録が、現代の中年おじんの胸をうつ。そうして、この演奏を愛し、ステレオ全盛期にLPとして復活しようとした、1973年当時のビクターのプロデューサーの心意気も感じられるように思う。

残念ながら、この録音のCDはまだ見たことがないため、しばらくレコードプレーヤーは手放せない。写真右下のハンカチの上にのっているのは、愛用のカートリッジ。グレースのF-8CとデンオンのDL-103。本当はモノラル録音はモノラル・カートリッジで聞くべきなのでしょうが。
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