ぽかぽか暖かな陽気、一斉に花開く山形の春です。11日の土曜日、山形弦楽四重奏団第31回定期演奏会を聴くために、文翔館ヘ向かいました。プライベートでの課題に一歩前進が見られた後ですので、気分も爽やかです。
プレコンサートは、アンサンブル・ともズ(Ensemble Tomo's)のお2人。ヴァイオリンの茂木智子さんと、ヴィオラの田中知子さんです。ハイドンの「6つのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ」から、第6番。春らしく、暖かな音楽です。
続いてプレ・コンサート・トークは、中島光之さん。さすがは元国語の先生ですね。簡潔に的確に曲目を紹介するトークは、一語の無駄もありません。ハイドン、シュターミッツ、服部公一、ベートーヴェンの四人の作曲家の、ほぼ30代の作品を取り上げたプログラムは、カルテットの四人のメンバーも同世代の親近感を持って演奏できるもの、とのことです。
さて、ステージ左から右へ、第1ヴァイオリンに中島さん、第2ヴァイオリンに駒込さん、ヴィオラが倉田さんでチェロが茂木さんと、楽器の配置も少々変更がありましたし、そもそも第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの交代を行わず、役割を固定しての試みです。駒込さんは黒のロングドレス、男性三名は同じく黒の略式服でしょうか、それともダークスーツなのでしょうか、蝶ネクタイではなくふつうのネクタイです。髪を切ったらしい茂木さんの黄色いネクタイがよく似合います。中島さんと倉田さんは紺系のネクタイなのでしょうか、照明の関係でネクタイも黒に見えてしまい、一瞬、喪服スタイルかと錯覚(^o^)/
最初の曲目、ハイドンの弦楽四重奏曲ト長調、Op.17-5「レスタティーヴォ」、第1楽章、モデラート。出だしから素敵なアンサンブルに、なんだか一皮むけたみたいな感じがします。第2楽章、メヌエット:アレグレット。第1ヴァイオリンの後ろで、第2ヴァイオリンとヴィオラとチェロが奏する響きのすてきなこと!第3楽章、アダージョ。ほんとにオペラのレシタティーヴォのように、声と言葉の代わりに、弦楽で表現しようとしたかのような音楽です。第4楽章、フィナーレ:プレスト。なかなかいい曲、そしていい演奏!春の日らしい、前向きな音楽でした。
続いてシュターミッツのクラリネット四重奏曲です。ステージ左から、ヴァイオリンの中島さん、ヴィオラの倉田さん、チェロの茂木さんに、右側にクラリネットの郷津隆幸さんが座ります。第1楽章、アレグロ。弦楽三重奏にクラリネットが加わったような編成で、ヴァイオリンとヴィオラが組んでクラリネットと掛け合い、チェロがピツィカートを交えつつ低音を支えるような感じです。流れるように歌う、楽しい曲です。チェロの茂木さんが調弦を確かめ、第2楽章、ラルゴ。クラリネットが、甘い高音と、意外なほど低い低音との間を行き来しながら。第3楽章、Allemande これはアルマンドと読むのかな?くるりくるり回り踊る、陽気な舞曲のようです。
三人目は、服部公一さんの「弦楽四重奏のための二楽章」。作曲者37歳の、1970年の作品だそうです。郷津さんが退き、駒込さんが加わって、オリジナルメンバー4人に戻ります。第1楽章、モデラート・エスプレッシーヴォ。ずらしのテクニックなどを多用し、ピツィカートが四人の奏者の間を行き来します。この楽章は、やや不安気な要素がありますが、第2楽章も同じモデラート・エスプレッシーヴォの指示にもかかわらず、時折日本の伝統音楽あるいは民謡風の節回しも登場し、なかなかかっこいい音楽です。エネルギッシュなフィナーレに、聴衆から大きな拍手が送られ、作曲者の服部公一さんがステージに近づき、中島さんと握手を交わします。なかなか気合の入った音楽で、当方もたいへん気に入りました。
15分の休憩時に、次回、第32回定期演奏会の前売券を購入しました。客席を見渡すと、地味な曲目のわりにお客さんの入りも多く、90人は越えていそうです。人口20万人規模の地方都市、周辺人口を入れても40万人規模の地域で、コアな室内楽の定期演奏会にこの聴衆というのは、けっこう多いのではないかと感じます。もともと、厳本真理弦楽四重奏団の時代から室内楽の素地のあった地域とはいえ、山形弦楽四重奏団の活動の成果であることは疑いのない事実でしょう。当方のような一音楽ファンにとっては、実にありがたいことです。
さて、後半はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番、ヘ長調Op.18-1。当方のお気に入りの曲目でもあり、今回のプログラム中、もっとも期待を持っているものでもあります。第1楽章、いかにもベートーヴェンらしいアレグロ・コン・ブリオ。ヴィオラの刻みが、いつも聴いているCDよりずっといい音に聞こえます!たいへんに緊密なアンサンブルです。第2楽章、アダージョ・アフェットゥオーソ・エ・アパッショナート。開演前の中島さんの解説によれば、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」にインスピレーションを受けて作曲されたという、緊張感に満ちた緩徐楽章です。悲痛な表情の中にも甘美さがあります。第3楽章、スケルツォ:アレグロ・モルト。ふっくらとした柔らかさのあるスケルツォです。第4楽章、アレグロ。すでに貴族のアマチュアが演奏して楽しむための音楽ではなくなっているようです。飛ぶような速さのパッセージがあるかと思えば四者の緊密なバランスも求められ、しかもフィナーレの解放感も必要になってきます。気力、体力ともに要求される音楽を、山形弦楽四重奏団は十分に表現していたと思います。
なんだかエラそうな物言いですが、今回の定期演奏会は、一段と成長し、一皮むけたような印象を受けました。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの固定も成功しているのではないかと思います。もう次の定期演奏会が楽しみです。第32回は、7月26日(日)、夕方18時の開演、ハイドンの「皇帝」やメンデルスゾーンの6番など、これも楽しみな曲目です!
プレコンサートは、アンサンブル・ともズ(Ensemble Tomo's)のお2人。ヴァイオリンの茂木智子さんと、ヴィオラの田中知子さんです。ハイドンの「6つのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ」から、第6番。春らしく、暖かな音楽です。
続いてプレ・コンサート・トークは、中島光之さん。さすがは元国語の先生ですね。簡潔に的確に曲目を紹介するトークは、一語の無駄もありません。ハイドン、シュターミッツ、服部公一、ベートーヴェンの四人の作曲家の、ほぼ30代の作品を取り上げたプログラムは、カルテットの四人のメンバーも同世代の親近感を持って演奏できるもの、とのことです。
さて、ステージ左から右へ、第1ヴァイオリンに中島さん、第2ヴァイオリンに駒込さん、ヴィオラが倉田さんでチェロが茂木さんと、楽器の配置も少々変更がありましたし、そもそも第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの交代を行わず、役割を固定しての試みです。駒込さんは黒のロングドレス、男性三名は同じく黒の略式服でしょうか、それともダークスーツなのでしょうか、蝶ネクタイではなくふつうのネクタイです。髪を切ったらしい茂木さんの黄色いネクタイがよく似合います。中島さんと倉田さんは紺系のネクタイなのでしょうか、照明の関係でネクタイも黒に見えてしまい、一瞬、喪服スタイルかと錯覚(^o^)/
最初の曲目、ハイドンの弦楽四重奏曲ト長調、Op.17-5「レスタティーヴォ」、第1楽章、モデラート。出だしから素敵なアンサンブルに、なんだか一皮むけたみたいな感じがします。第2楽章、メヌエット:アレグレット。第1ヴァイオリンの後ろで、第2ヴァイオリンとヴィオラとチェロが奏する響きのすてきなこと!第3楽章、アダージョ。ほんとにオペラのレシタティーヴォのように、声と言葉の代わりに、弦楽で表現しようとしたかのような音楽です。第4楽章、フィナーレ:プレスト。なかなかいい曲、そしていい演奏!春の日らしい、前向きな音楽でした。
続いてシュターミッツのクラリネット四重奏曲です。ステージ左から、ヴァイオリンの中島さん、ヴィオラの倉田さん、チェロの茂木さんに、右側にクラリネットの郷津隆幸さんが座ります。第1楽章、アレグロ。弦楽三重奏にクラリネットが加わったような編成で、ヴァイオリンとヴィオラが組んでクラリネットと掛け合い、チェロがピツィカートを交えつつ低音を支えるような感じです。流れるように歌う、楽しい曲です。チェロの茂木さんが調弦を確かめ、第2楽章、ラルゴ。クラリネットが、甘い高音と、意外なほど低い低音との間を行き来しながら。第3楽章、Allemande これはアルマンドと読むのかな?くるりくるり回り踊る、陽気な舞曲のようです。
三人目は、服部公一さんの「弦楽四重奏のための二楽章」。作曲者37歳の、1970年の作品だそうです。郷津さんが退き、駒込さんが加わって、オリジナルメンバー4人に戻ります。第1楽章、モデラート・エスプレッシーヴォ。ずらしのテクニックなどを多用し、ピツィカートが四人の奏者の間を行き来します。この楽章は、やや不安気な要素がありますが、第2楽章も同じモデラート・エスプレッシーヴォの指示にもかかわらず、時折日本の伝統音楽あるいは民謡風の節回しも登場し、なかなかかっこいい音楽です。エネルギッシュなフィナーレに、聴衆から大きな拍手が送られ、作曲者の服部公一さんがステージに近づき、中島さんと握手を交わします。なかなか気合の入った音楽で、当方もたいへん気に入りました。
15分の休憩時に、次回、第32回定期演奏会の前売券を購入しました。客席を見渡すと、地味な曲目のわりにお客さんの入りも多く、90人は越えていそうです。人口20万人規模の地方都市、周辺人口を入れても40万人規模の地域で、コアな室内楽の定期演奏会にこの聴衆というのは、けっこう多いのではないかと感じます。もともと、厳本真理弦楽四重奏団の時代から室内楽の素地のあった地域とはいえ、山形弦楽四重奏団の活動の成果であることは疑いのない事実でしょう。当方のような一音楽ファンにとっては、実にありがたいことです。
さて、後半はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番、ヘ長調Op.18-1。当方のお気に入りの曲目でもあり、今回のプログラム中、もっとも期待を持っているものでもあります。第1楽章、いかにもベートーヴェンらしいアレグロ・コン・ブリオ。ヴィオラの刻みが、いつも聴いているCDよりずっといい音に聞こえます!たいへんに緊密なアンサンブルです。第2楽章、アダージョ・アフェットゥオーソ・エ・アパッショナート。開演前の中島さんの解説によれば、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」にインスピレーションを受けて作曲されたという、緊張感に満ちた緩徐楽章です。悲痛な表情の中にも甘美さがあります。第3楽章、スケルツォ:アレグロ・モルト。ふっくらとした柔らかさのあるスケルツォです。第4楽章、アレグロ。すでに貴族のアマチュアが演奏して楽しむための音楽ではなくなっているようです。飛ぶような速さのパッセージがあるかと思えば四者の緊密なバランスも求められ、しかもフィナーレの解放感も必要になってきます。気力、体力ともに要求される音楽を、山形弦楽四重奏団は十分に表現していたと思います。
なんだかエラそうな物言いですが、今回の定期演奏会は、一段と成長し、一皮むけたような印象を受けました。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの固定も成功しているのではないかと思います。もう次の定期演奏会が楽しみです。第32回は、7月26日(日)、夕方18時の開演、ハイドンの「皇帝」やメンデルスゾーンの6番など、これも楽しみな曲目です!