電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

鬼塚忠『カルテット!』を読む

2012年01月17日 06時05分32秒 | 読書
昨年の暮れに書店に平積みされていた河出文庫、鬼塚忠著『カルテット!』を読みました。著者は、陳昌鉉著『海峡を渡るヴァイオリン』の共著者で、そういえばどこかに記憶があるような気がします。この『カルテット!』は、2012年に映画が公開されるそうで、「のだめカンタービレ」同様に、私が知らないだけで、世の中では大いに話題になっている作品なのでしょう。

中学生ながら、そのヴァイオリン演奏で将来が期待されている、弟の開。弟の才能に押され、やや不良少女方面に逸脱ぎみの目立ちたがり姉さんの美咲。そして音楽大学で恋愛結婚をしたはずなのに、今や離婚寸前の妻ひろみと夫の直樹。この四人の家族からなる永江家の再生を図るため、家族でカルテットを組むのです。脇役としては、開がひそかに憧れるヴァイオリンの千尋先生や、レストラン<かのん>のオーナー、直樹の音大時代の同級生でライバルだった北原、実力者の指揮者・重松悟など、多彩な顔ぶれです。

ちなみに、カルテットの編成は、父・直樹(ピアノ,編曲)、母・ひろみ(チェロ)、姉・美咲(フルート)、弟・開(ヴァイオリン)という編成です。こういう編成で演奏できるように編曲する、父・直樹の才能と力は、あんがいスゴイのかもしれない、などと思いました。

たぶん、これはヤングアダルト向けの小説なのだろうなぁ。物事はこんなに都合よく簡単には進まないよ、などと思うのは、ヲジサンの余計なお世話なのでしょう。映画になったら、若々しい出演者たちや活力ある音楽などを楽しむことができるはず。実際に音楽が聴けるのは、映画ならではの特権です。映画が公開されたら、ぜひ観てみたいものです。

(*):陳昌鉉『海峡を渡るヴァイオリン』を読む~「電網郊外散歩道」2008年2月

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