電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響ニューイヤーコンサート~第218回定期演奏会でワーグナー、ヴェルディ等を聴く

2012年01月23日 06時03分39秒 | -オーケストラ
日曜の午後、山響ニューイヤーコンサートに出かけました。会場の入り口付近で、作曲家のうにさんこと木島由美子さん(*)にお会いしました。駐車場の入り口の車の列がすごく、たぶん確定申告の税務相談かなにかのお客様が多かったのではないかと思います。

開演前に、恒例の音楽監督・飯森範親さんのプレトークがありました。曲の合間に、仕込みの時間にまた曲目の解説をしますから、ということで、今年創立40周年を迎えた山響の新シーズンのプログラムを紹介してくれました。アニヴァーサリー・イヤーにちなみ、これまでの演奏会の中で印象に残る曲をアンケートして、プログラムの参考にしたのだそうな。なるほど、それで有名曲や大曲が目白押しになっているのですね。しかも、チャイコフスキー・コンクール優勝のダニール・トリュフォノフ(Pf)を迎えてチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」などは、全国に先駆けて山形での公演(5月)になるようですので、見どころ、聴きどころもいっぱいです。また、東日本大震災からの復興を祈念して、山響と仙台フィルとの合同による、マーラーの交響曲第2番「復活」(7月)なども計画されているようです。

舞台上では、いつもの対向配置ではなく、左から第1ヴァイオリン(10)、第2ヴァイオリン(8)、チェロ(6)、ヴィオラ(6)、そしてその後方にコントラバス(4)と配置されています。中央奥に、ホルン(4)とピッコロ、フルート(2)、オーボエ(2)、さらにその奥にはトランペット(2~4)、トロンボーン(3)とチューバが陣取ります。舞台の左奥には、ティンパニとバスドラム、シンバル、トライアングルなどのパーカッション部隊。そしてステージ後方に、合唱団が二列に勢ぞろいする、という形です。

さて、一曲目は、スッペの「軽騎兵」序曲から。トランペットが華やかに始まり、トロンボーン、ホルンと受け継がれて、気分は一気に演奏会モードが全開です(^o^)/
続いて二曲目、レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲。弦楽合奏で演奏され、第1楽章「イタリアーナ」、第2楽章「宮廷のアリア」、第3楽章「シチリアーナ」、第4楽章「パッサカリア」です。ここで、山響の弦楽セクションの繊細な魅力が展開されます。
三曲目、ベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」より「ラコッツィ行進曲」。前の曲とはがらりと変わり、楽器編成もフルに登場。いや~、派手!カラフル!まさにオーケストラを聴く醍醐味ですね~!実に楽しいものです。
前半の最後、四曲目は、エロールの歌劇「ザンパ」序曲です。ロッシーニ風のクレッシェンドが特徴的。川上さんのクラリネット・ソロがお見事でした。途中、あれ~どこかで聴いたことがあるなぁ、というメロディーが登場、たぶんNHK-FMの番組のテーマ音楽だったような気がします。

ここで、15分の休憩です。ホワイエで、オレンジジュースなどを飲んでいたら、けっこう知人に会いました。たぶん私が来ているだろうということで、「あ~、やっぱりいた!」と言われてしまいました。キタキツネかイリオモテヤマネコみたいじゃないか(^o^)/

後半は、第五曲、マーラーの交響曲第5番の第4楽章、あの「アダージェット」から。弦楽とハープによる演奏です。ハープがアルペジオ風にかき鳴らすときは、コントラバスがピツィカートでアクセントを付けているのですね。これは実演ならではの発見でした。ゆっくりしたテンポで、うねるように演奏される音楽は、山響の透明な弦楽セクションの美質を充分に発揮するものでした。

さて、ここで合唱団・山響アマデウス・コアが登場。人数を数えましたよ。男声が21人、女声が39人、合計60人の合唱です。合唱指導にあたる、岩手大学の佐々木正利先生が登場して、マエストロと話をします。佐々木先生は、ザルツブルグ音楽祭などでもエヴァンゲリスト役で歌っている実力ある先生で、この合唱団はオーディションで選ばれた40人ほどの合唱団です。今回は岩手大学と山形大学の学生さんを加えて構成しているとのこと。オーディションは厳しいけれど、山形は合唱の盛んな土地柄でもあるし、ぜひ百人規模の合唱団を育てて、全国に、世界に発信したい、との抱負を語って下さいました。

左右に三人ずつ計六人のトランペットのバンダ(*2)が並び、いよいよ第六曲、ワーグナーの楽劇「タンホイザー」より、「歌の殿堂をたたえよう」が始まります。左右のトランペットが響きわたると、弦楽とホルンと木管のオーケストラが旋律を奏で、気分は次第に高まります。合唱が入ると、うわ~、いいなあ!人の声は、本当にいいなぁ!ステージ前方には、篤志家から鉢植の花が提供されたのだそうで、カラフルな花が舞台を飾り、テルサホールの舞台が本当にぎっしりと小さく感じられます。バスドラムとティンパニが大活躍して、曲が終わります。

最後の第七曲は、ヴェルディの歌劇「アイーダ」から、「凱旋行進曲」です。左右のバンダのトランペットが、左、右、両方と音楽の始まりを告げます。お馴染みの、凱旋行進曲。本日は二階席のほぼ中央でしたので、音がよくまじりあって響きます。一階席の前方で聴くときは、合唱の出だしの子音の明瞭さが顕著に聞こえますが、この席ではずっとまろやかに聞こえます。とくに、女声の中低域のしっとりした美しさは格別。この合唱の素晴らしさは、特筆に値します!ヴェルディの音楽では、歌劇「アイーダ」に限らず、合唱、重唱が大きな魅力となりますが、山形で、こんなに素晴らしいヴェルディが聴けるとは思わなかった!

いや~、いい演奏会、いい一日でした。家に着いたら、我が家のアホ猫が「フニャ~」と迎えてくれました(^o^)/



(*):作曲家の木島由美子さんのブログ~「うにの五線ノートから...」
(*2):演奏会後のファン交流会での、Tpの佐藤さんの説明によれば、バンダとは、英語で言えば「バンド」で、演出上の必要から舞台の裏や客席などに配置する楽器のことだそうです。な~るほど!
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