3月最後の日曜日、今シーズン最後の定期演奏会となる山響第259回定期に出かけました。充分に余裕を持って出かけたはずが、駅西の駐車場事情が原因(*1)で、残念ながらプレコンサートには間に合わず、西濱事務局長と音楽監督の飯森範親さんのプレトークの途中で入場することになってしまいました。
それによれば、今シーズンの最後を締めくくるにふさわしい曲として、若いベートーヴェンの魅力あふれる「第1番」を持ってきたこと、モーツァルトのピアノ協奏曲のソリストの田部京子さんが素晴らしいこと、「アマデウスへの旅」で全曲演奏したモーツァルトの交響曲全集の編集が完成し、4月19日に発売されることになったこと、山形では4月15・16日の定期演奏会で先行販売が決定したこと、またトロンボーンの五十嵐達也さんが定年退職されることとなり、今回が最後の演奏会となることなどが紹介されました。
今回のプログラムは、次のとおりです。
ベートーヴェンの交響曲第1番は、「若いベートーヴェン」が好きなワタクシのお気に入りの曲ですし、モーツァルトのピアノ協奏曲第25番は、同じくハ長調の魅力的な音楽。最後のジョン・ラターの「マニフィカト」だけは、たぶん初めて聴く音楽だと思います。どんな音楽なのだろう? とワクワクです。
ステージ上は、合唱団の配置もあり、オーケストラは全体に横長に広がる形で並びます。正面左から、第1ヴァイオリン(8)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、第2ヴァイオリン(7)、コントラバス(3)は左端に並びます。正面奥にフルート(2)、オーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)が位置し、木管楽器の左側にホルン(2)、右側にトランペット(2)とティンパニが陣取ります。もちろん、ホルンとトランペットはナチュラルタイプ、ティンパニはバロックティンパニです。
現代のオーケストラで、こうした古楽器を採用する意味はどこにあるのか? その疑問は、ベートーヴェンの交響曲第1番の冒頭の和音を聴くだけで氷解します。あの独特の和音による開始。音の強さ・大きさと輝かしさとのバランスが取れていなければ、なんだかヘンな音による始まりになってしまいますが、ナチュラルタイプの金管楽器は炸裂するような輝かしさであっても、弦楽器をマスクしてしまうような音量感にはなりません。第2ヴァイオリンやヴィオラが開始する第2楽章の音楽も、実にチャーミングな魅力があります。
続いてモーツァルトのピアノ協奏曲第25番。田部京子さんは、少し緑がかった空色のドレスで登場します。ターコイズブルーと言うのでしょうか、上品な明るい色です。第1楽章:カデンツァにしびれました。第2楽章:木管とピアノのかけ合いのところなど、互いにアイコンタクトをとっているみたいにオーケストラとの呼吸が自然です。この録音はぜひCDで欲しいなあ!
休憩の後、楽器配置も少し変更され、ホルンの右にハープ、トランペットの後方にトロンボーンとチューバ、右端にはティンパニとパーカッションという形になります。また、ホルン等の楽器もモダン楽器に持ち替えられ、ティンパニも現代のものに変えられています。
合唱団は、女声54に男声26の合計80名。三段に並ぶと、実に壮観です。独唱者の鷲尾麻衣さんは、なんでも五月にご出産の予定だそうで、椅子に座っているとお腹が大きいのがわかりますが、歌うために立ち上がると、ぜんぜんわかりません。ジョン・ラターのオーケストラ版「マニフィカト」は、聖母マリアがイエス・キリストをみごもったときに、同じく洗礼者ヨハネを身ごもっていたエリザベツを訪問して歌う讃歌なのだそうです。どことなく中南米風の味のある音楽は、楽器編成の中にボンゴがあるという点でも特徴的です。ジョン・ラターは、1945年生まれの英国の作曲家だそうで、初めて聴きましたが、とても親しみやすい幸福な音楽で、感銘を受けました。なんといってもアマデウスコアのコーラスがすごい! 素晴らしいです! 鷲尾麻衣さんの独唱は、第4曲:「その憐れみは」、第6曲:「飢えた人々」で堪能しましたが、第7曲:「父に栄光」での賛美も、良かった~。
以下は、ファン交流会でのスナップです。
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今回のプログラムを聴いて、隠れたテーマとして「幸福な音楽」というのを感じました。もちろん、それぞれに苦悩がないわけではない。でも、様々な苦悩を隠しながら、颯爽と(ベートーヴェン)、カッコよく(モーツァルト)、喜びをあふれさせる(ラター)様子は、まさしく春の到来を喜ぶ私たちの気分でもあります。飯森+山響の新録音、モーツァルトの「レ・プティ・リアン」全曲を収録したCDをさっそく購入して、うきうきと帰途につきました。
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(*1):テルサ北側の駐車場はほぼ満車状態で、某ホテルわきの駐車場はガラガラに空いているのに機械は「満車」表示で入れません。たぶん入庫管理システムに不具合が発生したのでしょう。
それによれば、今シーズンの最後を締めくくるにふさわしい曲として、若いベートーヴェンの魅力あふれる「第1番」を持ってきたこと、モーツァルトのピアノ協奏曲のソリストの田部京子さんが素晴らしいこと、「アマデウスへの旅」で全曲演奏したモーツァルトの交響曲全集の編集が完成し、4月19日に発売されることになったこと、山形では4月15・16日の定期演奏会で先行販売が決定したこと、またトロンボーンの五十嵐達也さんが定年退職されることとなり、今回が最後の演奏会となることなどが紹介されました。
今回のプログラムは、次のとおりです。
- L.v.ベートーヴェン 交響曲第1番 ハ長調 Op.21
- W.A.モーツァルト ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K.503 Pf:田部京子
- J.ラター マニフィカト (管弦楽版) Sop.鷲尾麻衣、合唱:アマデウスコア
指揮:飯森範親、 演奏:山形交響楽団
ベートーヴェンの交響曲第1番は、「若いベートーヴェン」が好きなワタクシのお気に入りの曲ですし、モーツァルトのピアノ協奏曲第25番は、同じくハ長調の魅力的な音楽。最後のジョン・ラターの「マニフィカト」だけは、たぶん初めて聴く音楽だと思います。どんな音楽なのだろう? とワクワクです。
ステージ上は、合唱団の配置もあり、オーケストラは全体に横長に広がる形で並びます。正面左から、第1ヴァイオリン(8)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、第2ヴァイオリン(7)、コントラバス(3)は左端に並びます。正面奥にフルート(2)、オーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)が位置し、木管楽器の左側にホルン(2)、右側にトランペット(2)とティンパニが陣取ります。もちろん、ホルンとトランペットはナチュラルタイプ、ティンパニはバロックティンパニです。
現代のオーケストラで、こうした古楽器を採用する意味はどこにあるのか? その疑問は、ベートーヴェンの交響曲第1番の冒頭の和音を聴くだけで氷解します。あの独特の和音による開始。音の強さ・大きさと輝かしさとのバランスが取れていなければ、なんだかヘンな音による始まりになってしまいますが、ナチュラルタイプの金管楽器は炸裂するような輝かしさであっても、弦楽器をマスクしてしまうような音量感にはなりません。第2ヴァイオリンやヴィオラが開始する第2楽章の音楽も、実にチャーミングな魅力があります。
続いてモーツァルトのピアノ協奏曲第25番。田部京子さんは、少し緑がかった空色のドレスで登場します。ターコイズブルーと言うのでしょうか、上品な明るい色です。第1楽章:カデンツァにしびれました。第2楽章:木管とピアノのかけ合いのところなど、互いにアイコンタクトをとっているみたいにオーケストラとの呼吸が自然です。この録音はぜひCDで欲しいなあ!
休憩の後、楽器配置も少し変更され、ホルンの右にハープ、トランペットの後方にトロンボーンとチューバ、右端にはティンパニとパーカッションという形になります。また、ホルン等の楽器もモダン楽器に持ち替えられ、ティンパニも現代のものに変えられています。
合唱団は、女声54に男声26の合計80名。三段に並ぶと、実に壮観です。独唱者の鷲尾麻衣さんは、なんでも五月にご出産の予定だそうで、椅子に座っているとお腹が大きいのがわかりますが、歌うために立ち上がると、ぜんぜんわかりません。ジョン・ラターのオーケストラ版「マニフィカト」は、聖母マリアがイエス・キリストをみごもったときに、同じく洗礼者ヨハネを身ごもっていたエリザベツを訪問して歌う讃歌なのだそうです。どことなく中南米風の味のある音楽は、楽器編成の中にボンゴがあるという点でも特徴的です。ジョン・ラターは、1945年生まれの英国の作曲家だそうで、初めて聴きましたが、とても親しみやすい幸福な音楽で、感銘を受けました。なんといってもアマデウスコアのコーラスがすごい! 素晴らしいです! 鷲尾麻衣さんの独唱は、第4曲:「その憐れみは」、第6曲:「飢えた人々」で堪能しましたが、第7曲:「父に栄光」での賛美も、良かった~。
以下は、ファン交流会でのスナップです。
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今回のプログラムを聴いて、隠れたテーマとして「幸福な音楽」というのを感じました。もちろん、それぞれに苦悩がないわけではない。でも、様々な苦悩を隠しながら、颯爽と(ベートーヴェン)、カッコよく(モーツァルト)、喜びをあふれさせる(ラター)様子は、まさしく春の到来を喜ぶ私たちの気分でもあります。飯森+山響の新録音、モーツァルトの「レ・プティ・リアン」全曲を収録したCDをさっそく購入して、うきうきと帰途につきました。
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(*1):テルサ北側の駐車場はほぼ満車状態で、某ホテルわきの駐車場はガラガラに空いているのに機械は「満車」表示で入れません。たぶん入庫管理システムに不具合が発生したのでしょう。