光文社の古典新訳文庫で、C.ダーウィン著『ミミズによる腐植土の形成』を読んでいます。図書館で肥料に関する入門的な本を探していた時にたまたま見つけたものですが、同じ著者による『種の起源』や『ビーグル号航海記』などは読んだけれど、まさかミミズの働きを詳しく調べていたとは知りませんでした。東北大学の特任教授でもあるサイエンスライターの渡辺政隆氏による訳で、その内容は;
というものです。

土中に混ぜてやると、ミミズはさまざまな植物を食べますが、嗅覚やある種の知的能力に関する観察などは興味深いものです。しかし本書の白眉は、糞の排泄量の測定でしょう。腐植土がミミズの排泄によって形成されるというのは、「生産者ー消費者ー分解者」という生態系における役割が理科の内容として中学生にも理解されている現代においては、ごく当然の知識です。それが、当時の知識人には必ずしも理解されなかった。あの膨大な土が、たかがミミズによってできるわけがない、という思い込みによるものです。『種の起源』は進化に関連する宗教的な反対論も根強かったようですが、『ミミズ』のほうはかなり大きな反響があったそうです。なかなか興味深い翻訳で、従来であれば岩波文庫に入ったところでしょうが、現実には光文社の古典新訳文庫というところが、現代の出版事情を表しているのかもしれません。
第1章 ミミズの習性
第2章 ミミズの習性(承前)
第3章 ミミズが地表に運ぶ細かい土の量
第4章 古代建造物の埋設に果たしているミミズの役割
第5章 土地の削剥におけるミミズの役割
第6章 土地の削剥(承前)
第7章 結論
というものです。

土中に混ぜてやると、ミミズはさまざまな植物を食べますが、嗅覚やある種の知的能力に関する観察などは興味深いものです。しかし本書の白眉は、糞の排泄量の測定でしょう。腐植土がミミズの排泄によって形成されるというのは、「生産者ー消費者ー分解者」という生態系における役割が理科の内容として中学生にも理解されている現代においては、ごく当然の知識です。それが、当時の知識人には必ずしも理解されなかった。あの膨大な土が、たかがミミズによってできるわけがない、という思い込みによるものです。『種の起源』は進化に関連する宗教的な反対論も根強かったようですが、『ミミズ』のほうはかなり大きな反響があったそうです。なかなか興味深い翻訳で、従来であれば岩波文庫に入ったところでしょうが、現実には光文社の古典新訳文庫というところが、現代の出版事情を表しているのかもしれません。