電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「山響クロニクル〜50年の軌跡」(20)縁をつないで(21)新たな指揮者

2022年10月03日 06時00分14秒 | クラシック音楽
地元紙・山形新聞に毎週火曜日に連載されている、山形交響楽団創立50年を追う「山響クロニクル〜50年の軌跡」のシリーズは、毎回たいへん懐かしくまた興味深いものですが、9月6日付けの第20回の記事を切り抜くのをうっかり忘れていたら、当の新聞が見えなくなってしまいました。なんともくやしく、某図書館で過去綴を調べてなんとか読むことができました。



それによれば、第20回は山響と地域との、音楽だけでないさまざまな結びつきを紹介したもので、サッカーのモンテディオ山形のホーム戦で金管五重奏がチームのアンセムを演奏したり、山辺町大蕨地区の棚田再生を目指した動きの中で、山響有志が演奏をするだけでなく、例えば田植えや稲刈りなどにも参加して「山響棚田米」として定期演奏会等で販売したりしています。農業、スポーツ、音楽を通じた取り組みの背景として、「互いに手を取り合って何かができる距離感」があるとしていますが、たしかに大都会ではなかなか難しいだろうなあ。




9月13日付けの第21回は、新たに常任指揮者に就任した阪哲朗さんの登場を取り上げています。2019年春のことでした。阪さんは京都っ子だと思いましたが、お父さんは新庄市、お母さんは山形市の出身と、ともに山形にルーツを持つ指揮者です。ずっとスイスやドイツの歌劇場で指揮者や音楽総監督をつとめて来たキャリアを持ち、オペラ公演も可能な新県民ホールのオープンもあって、山響にオペラやバレエの軸を加えることが期待されます。私も阪さんの登場の印象はかなり強く、シェーンベルクの「浄夜」とベートーヴェンの「田園」を振った演奏会や、サン=サーンスの「オンファールの糸車」、ミヨーの「屋根の上の牛」にデュカスの「交響曲ハ長調」を指揮した回(*1)など、強い印象を残して〜しなやかで柔軟な指揮ぶりを「踊るメフィスト」などと失礼な形容をしたり(*2)して〜いますが、要求する水準は高いようで、さらなるレベルアップが図られていくことが期待されます。

(*1): 山形交響楽団第191回定期演奏会を聴く〜「電網郊外散歩道」2008年8月
(*2): 山響第244回定期演奏会で広瀬量平、チャイコフスキー、シューマンを聴く〜「電網郊外散歩道」2015年4月


コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 某テレビ番組で紹介していた... | トップ | 晴天続きの一週間、よく働いた。 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (azumino)
2022-10-03 08:01:53
こんにちは

山形交響楽団の定期演奏会に登場する指揮者陣は充実していますね。阪さんは、常任ですが、オペラからフランスのものまで、幅広いレパートリーが素晴らしい。

私は群馬交響楽団の定期会員ですが、ここのところ、レパートリーがドイツ、ロシアものに偏り、声楽もオペラではなく、ミサ曲のようなものばかりで、山響のように、フランス、イタリアの曲も取り上げてほしいと思い、アンケートなどにはその旨書いています。

山形交響楽団の指揮者陣や事務局には感心しています。
返信する
azumino さん、 (narkejp)
2022-10-03 19:21:41
コメントありがとうございます。山響のレパートリーも、以前はやはりドイツ古典派が中心でしたが、飯森さんの登場でがらりと変わりました。なにせ、常任指揮者就任の定期がバルトークの「管弦楽のための協奏曲」でしたから、オーケストラ・メンバーの皆さんも顔色が変わって練習したと思います。事務局に西濱専務理事・事務局長の参加もあり、山響の年間プログラムは本当に嬉しい内容です。山形には県民オペラの実績もありますが、阪さんが登場してオペラ公演を含むプログラムが組まれるようになり、楽しみが増しました。
群響さんも今は多少マンネリの時期なのかもしれませんが、コロナ禍が収まってくると、また意欲的に活動し始めるのかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿

クラシック音楽」カテゴリの最新記事