「沖縄芝居研究会」の今回の「染屋の恋唄」に関しては思ったことを書きとめたいがー。嘉数道彦さんの三枚目が良かったね!道彦さんは芝居役者としても脚本家としても舞踊家としても演出家としても器の大きい方ですね!狂言が一番おもしろい!
真境名由康や真喜志康忠に次いで創作・演技・演出ができる才能です!真喜志康忠さんは踊り手として軽やかで見ごたえがありましたが、琉球舞踊家であり、役者のセンスも良く脚本もかける方でした。演出もできた方です。最も座長でした。
『染め屋の恋唄』の背景幕、一幕の赤瓦の家並みや塀の雰囲気はちょっとそぐわないですよね。もっと泊の雰囲気のいい背景幕が必要だね。染め屋の雰囲気は写実的でいいかとも思ったが全体的に歌と染め屋の丁稚奉公をしている仲間の雰囲気がいい。ひょうひょうとした染め屋の主人(春洋一さん)もその妻(瀬名波孝子さん)もベテランの味ですね。分ジュリのマカテーとカマダーの二人のラブストリーなんですが、主人公たちの味わいなりつりあいはちょっとだと思う。正直なところ、またマカテーの素振りの色気というところでは、期待していた色艶を感じさせる片膝立てが見られなかったことが残念だった。片膝を立てて長いキセルで煙草を吸う場面があるが分ジュリの雰囲気の感じられるところだが、そこはどうも緊張した様子が感じられたが、んん、どうもメインの主人公たちの味わいに今いちど、というのが本音だね、逆に嘉数と平敷の三枚目ぶりがとても面白かった。マカテー(伊良波さゆきさん)の歌唱はかなり聞かせるようになったが、艶があまり感じられないのはなぜだろう。
ゾクっとするような女性の色艶を感じさせる女優は誰だろう。花岡尚子さんにはどことなくはかなげなそれでも芯の座った女の魅力を感じる。上間郁子さんや上原栄子さんが若い頃のあの魅力(写真で知る若き頃の彼女たちを知るだけだが)を再現できる力量の女優は誰かな?比嘉いずみさんがジュリの扮装をしたら気品のある魅力を出せるだろうか?西村さんのジュリはどうだろう?古典女踊りは首里の士族層の女性たちではなく実は辻の分ジュリ=美妓だと考えている。歌詞を見ると、、御殿殿内の女性だと考えることはできない。歌詞は士族層の恋愛の対象だった分ジュリたちだったのだとの仮説でそれを証明したいと考えている。ジュリこそが沖縄芸能の花だったのかもしれない。琉球王府の近世においてもーー。
伊良波さゆきさんが懸命に辻の花を演じたのは確かだったし、金城真次が染まった手を隠しながら登楼する姿など笑えたが、なかなか良かった。嘘を演じることからくる笑いもそのままストレートに笑わせる。マカテーの正座は悪くはなかったが、なぜかやはり片膝たての姿態を見たかったのかもしれない。昔の沖縄の女性たちは片膝立ての姿が風俗画で結構見える。お箏の演奏にも片膝立てが見えるね。