【東アジア共同体研究所(EACI) News Weekly Vol.0020「やんばるから平和の発信を!」】
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EACI News Weekly 第20号(5月22日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
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【目次】
【1】《今週のニュース 5/16-5/22》
政治(2)、経済(2)、国際(2)、社会(3)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.104》
5月25日(月)20時 鳩山友紀夫×孫崎享対談
http://live.nicovideo.jp/watch/lv221769497
【3】《EACIレポート》
6月6日(日)東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催シンポジウム
「やんばるから平和の発信を」開催
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「沖縄は奴隷制か」
【5】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第3部 揺らぐ「承認」 vol.20 「強気の裏側」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【1】《今週のニュース 5/16-5/22》
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【政治】
■辺野古反対、米に伝える=翁長沖縄知事
(時事通信 2015.5.20)
http://www.jiji.com/jc/movie?p=mov414-movie03
■保関連法案:26日に審議入り
(毎日新聞 2015.5.22)
http://mainichi.jp/select/news/20150522k0000m010046000c.html
【経済】
■アジア支援、5年で13兆円…アジア投銀に対抗
(読売新聞 2015.5.22)
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150521-OYT1T50104.html
■ 首相「5年3割増」 アジアに13兆円投資へ 中国主導の投資銀に対抗
(毎日新聞 2015.5.22)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015052202000119.html
【国際】
■シンガポール前首相「共同体、2050年までに」
(日経新聞 2015.5.21)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK21H0W_R20C15A5000000/
■TPP閣僚会合、月内の開催見送りへ 全体合意に影響も
(朝日新聞 2015.5.21)
http://www.asahi.com/articles/ASH5P2H0JH5PUHBI00J.html
■米“TPP法案” 上院採決へ動議提出
(NHK 2015.5.20)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150520/k10010085351000.html
【社会】
■新基地建設断念を 県民大会、3万5000人が結集
(琉球新報 2015.5.18)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-243058-storytopic-3.html
■(天声人語)ポツダム宣言と安倍首相
(朝日新聞 2015.5.22)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11767179.html
■辺野古基金2億5355万円 2団体に支援金決定
(沖縄タイムス 2015.5.21)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=116429
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【2】《UIチャンネル放送予告 No.104》
5月25日(月)20時 鳩山友紀夫×孫崎享対談
http://live.nicovideo.jp/watch/lv221769497
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第104回目となります、5月25日(月)20時からのUIチャンネル放送は元外務省国際情報局長で東アジア共同体研究所所長の孫崎享氏をお迎えして、鳩山友紀夫×孫崎享対談をお送り致します。
■5月25日(月)20時 鳩山友紀夫×孫崎享氏
http://live.nicovideo.jp/watch/lv221769497
孫崎享氏プロフィール
1943年旧満州国鞍山生まれ。1966年東京大学法学部中退、外務省入省。英国、ソ連、米国(ハーバード大学国際問題研究所研究員)、イラク、カナダ、勤務を経て、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。2002~2009年まで防衛大学教授(公共政策学科長、人文社会学群長)を経て、2009年に退官。
2012年7月に上梓した『戦後史の正体』(創元社)が話題になり20万部超のベストセラーに。ツイッター(@magosaki_ukeru)では約7万人を超えるフォロワーを持つ。 2013年3月、一般財団法人東アジア共同体研究所、理事・所長に就任。
著書:
『日米開戦の正体――なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだのか』『小説 外務省-尖閣問題の正体-』(現代書館) 『戦後史の正体』(創元社)等多数
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【3】《EACIレポート》
6月6日(日)名護市民会館にて東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催シンポジウム「やんばるから平和の発信を」開催!
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6月6日(土)15時より名護市民会館にて東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催シンポジウム「やんばるから平和の発信を」を開催致します。
日時:2015年6月6日 (金) 15:00~17:15(開場:14:30)
出演者:鳩山友紀夫(東アジア共同体研究所理事長)
安次富浩(ヘリ基地反対協共同代表)
岸本洋平(名護市議会議員)
高野孟(ジャーナリスト)
※特別ゲスト出演予定
場所:名護市民会館(大ホール)http://www.city.nago.okinawa.jp/8/7141.html
主催:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
共催:「やんばるから平和の発信を!」実行委員会
後援:名護市
沖縄建白書の実現をめざす「島ぐるみ会議名護支部」
辺野古基金運営会議
問合わ先:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
TEL:098-963-8885 E-mail:info-oki@eaci.or.jp
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【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「沖縄は奴隷制か」
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「辺野古NO」に3万5千人が集まる
鳩山さんがアルプススタンドの階段を上がってゆくと大きな拍手が湧いた。5月17日(日)12時45分、「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!県民大会」が始まろうとしている。
元首相をねらうテレビカメラが何台も行く手を防ぎ、なかなか前へ進めない。
会場のセルラースタジアム内野席は既に満員、入口からスタンドへ上る階段は人があふれ、途中で止まっている。通路にまで2列、3列に人が座っている。芝生の外野席に人が入り始めている。鳩山さんが着席すると、後ろの席の婦人が扇子で風を送る。元首相はあわててお礼を言ってお断りしている。
上空にはジェット機が一機大きく旋回し、ヘリコプターが3機、下にドローンが2機。右翼の街宣車からの声が場内にノイズとして響いてくる。
*後で投稿された動画で見ると彼ら(エセ右翼100人と解説あり)は日の丸と星条旗(?!)を掲げ罵声を浴びせている。これに対して大会参加者はカチャーシー(沖縄のお祝いの時の踊り)と音楽で応えている。日米両政府の強行政治と沖縄の文化の対決の象徴的シーンだ。
今年の1月末の出来事を思い出す。オスプレイ反対の建白書を持って沖縄の全首長(41市町村)が上京した。前代未聞のことだ。集会後のデモは沿道からの激しいヘイトスピーチにさらされた。「売国奴、日本から出て行け」。
東京行動に同行した学生は「震える思いだった」とショックを語っていた。沖縄人は売国奴なのか、沖縄は日本ではないのか・・。
**県民大会の翌日、日本時間の18日午前6時40分頃、米海兵隊のオスプレイがハワイで墜落し乗員二人が死亡。2012年から普天間に配備されているオスプレイと同型機。
県民大会の模様は琉球新報、沖縄タイムスの両紙に詳しい。そこでここでは印象のみ記す。
佐藤優氏のスピーチ。
「私のアイデンティティは沖縄系日本人と思っていたが、だんだん日本系沖縄人と感じるようになった。(注・母親が久米島生まれ)ここに集まったのは目の前にいる人だけではない。過去の人もいる。(我々は)未来の沖縄人に対しても責任を持つ。沖縄は既に勝っている。みなさんおもろさうしを読みましょう。沖縄の大事な時期には皆にセジ(霊力)が備わる。ニフェーデービル(ありがとうございました)。」
檀上には沖縄戦の生き残りの女性がいる。白梅同窓会会長の中山きくさん。
「お国のために県民総動員で軍事基地造りをした。しかしそれは抑止力にはならず、むしろ沖縄戦に直結した。多くの命を失い、大切な郷土の自然も文化遺産もすべて失った。」
80歳後半のはずだが、驚くほど若い声だった。戦争を経験した世代からの声は重い。
鳥越俊太郎氏は終戦の年、5歳だった。
「沖縄戦が長引いたおかげで米軍は九州を通り過ぎた。私の家は幹線道路沿いにあった。もし米軍が九州に上陸し地上戦が行われていれば、私は今ここにはいない。(沖縄の抵抗のおかげで私の命がある)常にその思いがある。」
最後の翁長知事のスピーチにもっとも大きな拍手が集まった。
「日本の安全保障を沖縄1県にほとんど負担させておいて、仮想敵国から日本の覚悟のほどが見透かされる。日米同盟はもっと品格のある、世界に冠たる誇れるものであってほしいと思っている。沖縄をこのままにしておくのは政治の堕落だ。」
・・・最後には「安倍首相、頑張って下さい」と意表をつく終わり方だった。
翁長知事は27日から訪米。ハワイで沖縄系アメリカ人のイゲ知事などに会った後、ワシントンへ。新基地建設反対の沖縄の民意を伝える。
主催者から、今日の大会決議を米政府に伝える、と発表された。これもメディアを通じて周知のことと思うので一部のみご紹介する。
「私たち沖縄県民は2013年1月に安倍総理に提出した建白書を総意として「オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念」を強く求めている。保革を超えて私たち県民がつくり上げた、この新たな海鳴りは、沖縄と日本の未来を拓く大きな潮流へと発展しつつある。道理と正義は私たちにあり、辺野古に基地を造ることは不可能である。」
沖縄の新基地反対の動きが「新たな海鳴り」と表現された。まだこの音は東京には届いていないようだ。24日予定の国会包囲行動で少しは政府に伝わるのだろうか。
被統治者の同意を得ない政治=奴隷制
GWに本棚から数冊、未読の本を選んで読んだ。丸谷才一の「笹まくら」「裏声で歌へ君が代」ほか。「笹まくら」は主人公が徴兵忌避者、「裏声~」は台湾独立主義者だ。国家とはなんぞや、と問うた作品では井上ひさしの「吉里吉里人」が抜群、池澤夏樹の「マシアス・ギリの失脚」も面白い。丸谷の「裏声で歌へ君が代」の一節を引用する。
「ここで思ひ出されるのは十八世紀アイルランドの政治―言ふまでもなくイギリスの植民地支配―を評して、小説家スウィフトが『奴隷制とは被統治者の同意を得ない政治のことである』と述べたことであります。台湾の政治は久しきにわたり、スウィフトのいはゆる奴隷制であったため、われわれ台湾人はとかく奴隷制に甘んじ、長いものには巻かれろの態度でその日その日を過ごしがちになってゐる。心の中では蒋政権を徹底的に嫌ひながら、しかし身の安全を願ふため、積極的な行動に出ることをためらってゐる。あるいはそういう行動を蔑視してゐる。今日、台湾人が為さなければならないのは、この安逸と臆病とをかなぐり捨てて、果敢な抵抗をおこなふことなのであります。」
「被統治者の同意を得ない政治」とはまさに安倍政権のやり方。文中の台湾を沖縄に置き換えれば、まったく沖縄の現状そのもの。しかし違うのは沖縄では新基地反対の意思が選挙で示され、「果敢な抵抗をおこなふ」集会やデモや座り込みが繰り返されていることだ。
スコットランドのようにイギリスの第三政党の位置を占めれば状況は変わる。(沖縄では自民党4人が全敗したが、不思議なことに比例で全員復活している)
反自民で沖縄党を作り、さらに各地の愛郷心あふれる人々が○○党を名乗って連帯すれば、日本はよほど変わるだろう。日本は隅から隅まで利権に侵されているように感じるが、同意していない人々が沢山いることも事実だ。
ギリシャの軍事奴隷と同じ?
日本のサラリーマンは、ギリシャの軍事奴隷に似ている。これは西洋史研究家の故・木村尚三郎氏が指摘していた。鎖につながれ、ガレー船を漕いだり、ピラミッドの石運びやサトウキビ刈りをしたり、闘技場でライオンと闘ったり(これは騎士か?)・・なにかギリシャもローマも黒人奴隷もごちゃまぜにして考えているが・・ともあれ奴隷とは主人がいて命令にひたすら従い何の自由もない、自分も卑屈になってしまい、抵抗することを諦めた情けない「人間」だ。
ギリシャの軍事奴隷と言っても妻帯が許され、なかには大臣まで務めた者もいた。日本もそうじゃないか。家庭を持ち、そこそこ出世も可能だ。しかし満員電車にぎゅう詰めで通い、残業は断れず、上司の言うことには逆らえず・・つまり自由がない。これを「奴隷」と言うのではないか?
いまどきそんな贅沢は言ってられない、仕事があるだけ幸せ。戦争に行かなくて良い自衛隊のお仕事などはベストチョイス、と考えている人・・はい、それが「奴隷」。
と考えてゆくと、日本人のほとんど全員が「奴隷」ということになる。
さらに飛躍。
県民大会で鳥越俊太郎氏が安倍首相をアドルフ・ヒットラーになぞらえ、安倍ドルフという言葉が聞かれる、と語っていた。だとすればガス室に送られるユダヤ人は、この場合ウチナーンチュということか?アウシュビッツならぬヘノコビッツで全員虐殺?海猿が人間の皮を剥いで電気スタンドの笠にしたり、髪の毛をふとんの綿にしたり・・ああ恐ろしい。
隣のビルケナウ収容所と合わせて殺されたユダヤ人は約150万人。おいおい沖縄県民とほぼ同数じゃないか。安倍ドルフは沖縄民族絶滅作戦を進めているんじゃないだろうね。
ネオコンのおっちゃんのぼやき
(初めてこのコラムを読む人に一言説明―ネオコンとはネタニエフ・オコンネルという人物の略称。父がユダヤ系、母はアイルランド系。生まれは日本、父は宣教師で関西にいたため関西弁(というかヤクザのような日本語)に巧み。母はIRA(アイルランド共和軍)のシンパ、といってもカンパを毎年送るだけ。じゃがいも料理は不得意。じゃがいも飢饉のトラウマか。葡萄を見ると腹が立つ。怒りの葡萄?・・本題に入ろう。)
ネオコン「あかんな安倍ちゃんも―これが口癖―。ジャパニーズはみんなアメちゃんの奴隷みたいなもんやて。沖縄だけやろ。訳分からん抵抗しくさるんは。言うたかて沖縄も一応日本やからな。これこそアメちゃんの奴隷の日本の、そのまた奴隷や。言うとくけどな、ずーっと、あこに基地置いとかなあかんて。ほんまの不沈空母や、ええこと言うたな、昔の総理大臣も。
沖縄は70年我慢してきた。せやけどな、ベース(基地)のおかげで金もろとる奴もようけおる。このまま放っとけばええんや。どもならんて。安倍ちゃんも「(沖縄に)ていねいに説明」するいうけど、おのれが一番無理なこと分かっとるやろ。菅のあほたれが「粛々と」言いよるけど、なんや粛々て。あの、うろこ貼ったような眼えはなんとかならんかい。
はよ辺野古埋め立てて、新しゅう基地造ったらんと、中国攻めて来よるで、ほんまに。どないすんや。宮古島や石垣島に自衛隊置いたかて、そんなもんスカや。戦争の時に役に立つんかいな。ちゃんとアメちゃんにリーダーシップとってもろて、サイバーなんやらスペースなんやらのシステムみんな買(こ)うてあんじょう整備したれ。日本国憲法なんか無視や。あたりまえやろ。日本中にレーダーとミサイル基地張り巡らすんや。わしの出番やでー。」
龍源亭ダショー「むちゃくちゃでござりまするがな、このギャグちょっと古いか。でもってあたしの寄席の出番はどうなっちゃってんでしょうかね。」
ネオコン「おのれの出番なんぞ知るかいなアホ。末廣亭の前の、道の掃除でもしくされ。」
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【5】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第3部 揺らぐ「承認」 vol.20 「強気の裏側」
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1月19日午後9時50分すぎ。那覇市寄宮の知事公舎玄関で記者団の取材に応じた県知事の仲井真弘多は、前もって態度を決めていたかのように強気の姿勢を前面に出した。米軍普天間飛行場の移設問題を最大の争点に同日投開票された名護市長選で、仲井真が強く推した移設推進の新人候補が、移設阻止を掲げる現職稲嶺進に敗れることが確実な情勢となっていた。
記者「民意が示されたが、受け止めは」
仲井真「これは優れて名護市の有権者の方々の投票結果だ。まだ(投票差の)数字が出ていないから、生煮えの答えしかできない」
記者「これまでの姿勢を変えることはないのか」
仲井真「有権者の意向は、これはこれとして無論、大きなものがある。だが、それを受けて私が何か今までの(埋め立ての)承認を変えることはできないのではないか。もう、承認しましたからね。今からどうこうというのは」
普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けて既に下した埋め立て承認の判断は、市長選の結果に影響されないー。のらりくらりと矛先を交わす仲井真の受け答えからは、そのような意図がありありとうかがえた。
安倍政権は市長選で自民党幹部を大量に現地投入。幹事長の石破茂が500億円の「名護振興基金」創設の意向を表明するなど露骨に介入していたが、移設推進派の敗北後は結果を過小評価することに懸命だ。「埋め立て権限は県にあり、知事から承認を頂いた。支障は生じない」(官房長官・菅義偉)などと選挙結果が移設作業に与える影響はないと強気の姿勢を示す。
だが、普天間問題が再び争点になるであろう今年秋の知事選で、辺野古移設に反対する候補が勝利すればどうなるのか。いったん決定した承認が取り消せないかのごとき言説が流布するが、専門家らは次期知事による埋め立て承認取り消しの可能性を、事もなげに説く。
沖縄大副学長で行政法専門の仲地博はこう説明する。
「次の知事が、前の知事の承認を違法と判断した場合や、承認時には公益に合致すると判断されたが、その後の社会変化などで公益に合わなくなったと判断した場合は、承認の取り消しや撤回ができる」
例えば公有水面埋立法に基づき辺野古沿岸部の埋め立てを認めた今回の場合、「適合」することが承認の絶対条件となる複数の項目のうち、県の担当部署が最終段階まで適、不適の両方の判断が成り立つとみていた「環境保全」の項目について、次期知事が「不適」と判断すれば承認を取り消せるということだ。ただそうなれば、国が県を相手に取り消し処分自体の取り消しを求める訴訟を起こすことも想定されるという。
埋め立て承認の取り消しが可能か否か。質問に対し、国土交通省水政課は「そのような事例は聞いたことがない」と言及するにとどめ、否定はしない。
昨年末の仲井真の埋め立て承認に対しては、辞任要求に踏み込んだ県議会や北中城村議会をはじめ、市町村議会で承認に抗議し、撤回を求める意見書などの可決が相次ぐなど、反発は収まる気配がない。
秋の知事選では「承認の取り消し」が争点化する公算が大きい。知事承認後、移設作業進展のアピールに躍起となっている政府が最も恐れるのは、知事選で移設反対派候補が当選し、承認が取り消されることだ。(敬称略)
(「日米廻り舞台」取材班)琉球新報提供
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【目次】
【1】《今週のニュース 5/16-5/22》
政治(2)、経済(2)、国際(2)、社会(3)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.104》
5月25日(月)20時 鳩山友紀夫×孫崎享対談
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【3】《EACIレポート》
6月6日(日)東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催シンポジウム
「やんばるから平和の発信を」開催
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「沖縄は奴隷制か」
【5】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第3部 揺らぐ「承認」 vol.20 「強気の裏側」
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【1】《今週のニュース 5/16-5/22》
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【政治】
■辺野古反対、米に伝える=翁長沖縄知事
(時事通信 2015.5.20)
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■保関連法案:26日に審議入り
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■アジア支援、5年で13兆円…アジア投銀に対抗
(読売新聞 2015.5.22)
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■ 首相「5年3割増」 アジアに13兆円投資へ 中国主導の投資銀に対抗
(毎日新聞 2015.5.22)
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【国際】
■シンガポール前首相「共同体、2050年までに」
(日経新聞 2015.5.21)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK21H0W_R20C15A5000000/
■TPP閣僚会合、月内の開催見送りへ 全体合意に影響も
(朝日新聞 2015.5.21)
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■米“TPP法案” 上院採決へ動議提出
(NHK 2015.5.20)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150520/k10010085351000.html
【社会】
■新基地建設断念を 県民大会、3万5000人が結集
(琉球新報 2015.5.18)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-243058-storytopic-3.html
■(天声人語)ポツダム宣言と安倍首相
(朝日新聞 2015.5.22)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11767179.html
■辺野古基金2億5355万円 2団体に支援金決定
(沖縄タイムス 2015.5.21)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=116429
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【2】《UIチャンネル放送予告 No.104》
5月25日(月)20時 鳩山友紀夫×孫崎享対談
http://live.nicovideo.jp/watch/lv221769497
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第104回目となります、5月25日(月)20時からのUIチャンネル放送は元外務省国際情報局長で東アジア共同体研究所所長の孫崎享氏をお迎えして、鳩山友紀夫×孫崎享対談をお送り致します。
■5月25日(月)20時 鳩山友紀夫×孫崎享氏
http://live.nicovideo.jp/watch/lv221769497
孫崎享氏プロフィール
1943年旧満州国鞍山生まれ。1966年東京大学法学部中退、外務省入省。英国、ソ連、米国(ハーバード大学国際問題研究所研究員)、イラク、カナダ、勤務を経て、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。2002~2009年まで防衛大学教授(公共政策学科長、人文社会学群長)を経て、2009年に退官。
2012年7月に上梓した『戦後史の正体』(創元社)が話題になり20万部超のベストセラーに。ツイッター(@magosaki_ukeru)では約7万人を超えるフォロワーを持つ。 2013年3月、一般財団法人東アジア共同体研究所、理事・所長に就任。
著書:
『日米開戦の正体――なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだのか』『小説 外務省-尖閣問題の正体-』(現代書館) 『戦後史の正体』(創元社)等多数
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【3】《EACIレポート》
6月6日(日)名護市民会館にて東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催シンポジウム「やんばるから平和の発信を」開催!
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6月6日(土)15時より名護市民会館にて東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター主催シンポジウム「やんばるから平和の発信を」を開催致します。
日時:2015年6月6日 (金) 15:00~17:15(開場:14:30)
出演者:鳩山友紀夫(東アジア共同体研究所理事長)
安次富浩(ヘリ基地反対協共同代表)
岸本洋平(名護市議会議員)
高野孟(ジャーナリスト)
※特別ゲスト出演予定
場所:名護市民会館(大ホール)http://www.city.nago.okinawa.jp/8/7141.html
主催:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
共催:「やんばるから平和の発信を!」実行委員会
後援:名護市
沖縄建白書の実現をめざす「島ぐるみ会議名護支部」
辺野古基金運営会議
問合わ先:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
TEL:098-963-8885 E-mail:info-oki@eaci.or.jp
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【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
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「辺野古NO」に3万5千人が集まる
鳩山さんがアルプススタンドの階段を上がってゆくと大きな拍手が湧いた。5月17日(日)12時45分、「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!県民大会」が始まろうとしている。
元首相をねらうテレビカメラが何台も行く手を防ぎ、なかなか前へ進めない。
会場のセルラースタジアム内野席は既に満員、入口からスタンドへ上る階段は人があふれ、途中で止まっている。通路にまで2列、3列に人が座っている。芝生の外野席に人が入り始めている。鳩山さんが着席すると、後ろの席の婦人が扇子で風を送る。元首相はあわててお礼を言ってお断りしている。
上空にはジェット機が一機大きく旋回し、ヘリコプターが3機、下にドローンが2機。右翼の街宣車からの声が場内にノイズとして響いてくる。
*後で投稿された動画で見ると彼ら(エセ右翼100人と解説あり)は日の丸と星条旗(?!)を掲げ罵声を浴びせている。これに対して大会参加者はカチャーシー(沖縄のお祝いの時の踊り)と音楽で応えている。日米両政府の強行政治と沖縄の文化の対決の象徴的シーンだ。
今年の1月末の出来事を思い出す。オスプレイ反対の建白書を持って沖縄の全首長(41市町村)が上京した。前代未聞のことだ。集会後のデモは沿道からの激しいヘイトスピーチにさらされた。「売国奴、日本から出て行け」。
東京行動に同行した学生は「震える思いだった」とショックを語っていた。沖縄人は売国奴なのか、沖縄は日本ではないのか・・。
**県民大会の翌日、日本時間の18日午前6時40分頃、米海兵隊のオスプレイがハワイで墜落し乗員二人が死亡。2012年から普天間に配備されているオスプレイと同型機。
県民大会の模様は琉球新報、沖縄タイムスの両紙に詳しい。そこでここでは印象のみ記す。
佐藤優氏のスピーチ。
「私のアイデンティティは沖縄系日本人と思っていたが、だんだん日本系沖縄人と感じるようになった。(注・母親が久米島生まれ)ここに集まったのは目の前にいる人だけではない。過去の人もいる。(我々は)未来の沖縄人に対しても責任を持つ。沖縄は既に勝っている。みなさんおもろさうしを読みましょう。沖縄の大事な時期には皆にセジ(霊力)が備わる。ニフェーデービル(ありがとうございました)。」
檀上には沖縄戦の生き残りの女性がいる。白梅同窓会会長の中山きくさん。
「お国のために県民総動員で軍事基地造りをした。しかしそれは抑止力にはならず、むしろ沖縄戦に直結した。多くの命を失い、大切な郷土の自然も文化遺産もすべて失った。」
80歳後半のはずだが、驚くほど若い声だった。戦争を経験した世代からの声は重い。
鳥越俊太郎氏は終戦の年、5歳だった。
「沖縄戦が長引いたおかげで米軍は九州を通り過ぎた。私の家は幹線道路沿いにあった。もし米軍が九州に上陸し地上戦が行われていれば、私は今ここにはいない。(沖縄の抵抗のおかげで私の命がある)常にその思いがある。」
最後の翁長知事のスピーチにもっとも大きな拍手が集まった。
「日本の安全保障を沖縄1県にほとんど負担させておいて、仮想敵国から日本の覚悟のほどが見透かされる。日米同盟はもっと品格のある、世界に冠たる誇れるものであってほしいと思っている。沖縄をこのままにしておくのは政治の堕落だ。」
・・・最後には「安倍首相、頑張って下さい」と意表をつく終わり方だった。
翁長知事は27日から訪米。ハワイで沖縄系アメリカ人のイゲ知事などに会った後、ワシントンへ。新基地建設反対の沖縄の民意を伝える。
主催者から、今日の大会決議を米政府に伝える、と発表された。これもメディアを通じて周知のことと思うので一部のみご紹介する。
「私たち沖縄県民は2013年1月に安倍総理に提出した建白書を総意として「オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念」を強く求めている。保革を超えて私たち県民がつくり上げた、この新たな海鳴りは、沖縄と日本の未来を拓く大きな潮流へと発展しつつある。道理と正義は私たちにあり、辺野古に基地を造ることは不可能である。」
沖縄の新基地反対の動きが「新たな海鳴り」と表現された。まだこの音は東京には届いていないようだ。24日予定の国会包囲行動で少しは政府に伝わるのだろうか。
被統治者の同意を得ない政治=奴隷制
GWに本棚から数冊、未読の本を選んで読んだ。丸谷才一の「笹まくら」「裏声で歌へ君が代」ほか。「笹まくら」は主人公が徴兵忌避者、「裏声~」は台湾独立主義者だ。国家とはなんぞや、と問うた作品では井上ひさしの「吉里吉里人」が抜群、池澤夏樹の「マシアス・ギリの失脚」も面白い。丸谷の「裏声で歌へ君が代」の一節を引用する。
「ここで思ひ出されるのは十八世紀アイルランドの政治―言ふまでもなくイギリスの植民地支配―を評して、小説家スウィフトが『奴隷制とは被統治者の同意を得ない政治のことである』と述べたことであります。台湾の政治は久しきにわたり、スウィフトのいはゆる奴隷制であったため、われわれ台湾人はとかく奴隷制に甘んじ、長いものには巻かれろの態度でその日その日を過ごしがちになってゐる。心の中では蒋政権を徹底的に嫌ひながら、しかし身の安全を願ふため、積極的な行動に出ることをためらってゐる。あるいはそういう行動を蔑視してゐる。今日、台湾人が為さなければならないのは、この安逸と臆病とをかなぐり捨てて、果敢な抵抗をおこなふことなのであります。」
「被統治者の同意を得ない政治」とはまさに安倍政権のやり方。文中の台湾を沖縄に置き換えれば、まったく沖縄の現状そのもの。しかし違うのは沖縄では新基地反対の意思が選挙で示され、「果敢な抵抗をおこなふ」集会やデモや座り込みが繰り返されていることだ。
スコットランドのようにイギリスの第三政党の位置を占めれば状況は変わる。(沖縄では自民党4人が全敗したが、不思議なことに比例で全員復活している)
反自民で沖縄党を作り、さらに各地の愛郷心あふれる人々が○○党を名乗って連帯すれば、日本はよほど変わるだろう。日本は隅から隅まで利権に侵されているように感じるが、同意していない人々が沢山いることも事実だ。
ギリシャの軍事奴隷と同じ?
日本のサラリーマンは、ギリシャの軍事奴隷に似ている。これは西洋史研究家の故・木村尚三郎氏が指摘していた。鎖につながれ、ガレー船を漕いだり、ピラミッドの石運びやサトウキビ刈りをしたり、闘技場でライオンと闘ったり(これは騎士か?)・・なにかギリシャもローマも黒人奴隷もごちゃまぜにして考えているが・・ともあれ奴隷とは主人がいて命令にひたすら従い何の自由もない、自分も卑屈になってしまい、抵抗することを諦めた情けない「人間」だ。
ギリシャの軍事奴隷と言っても妻帯が許され、なかには大臣まで務めた者もいた。日本もそうじゃないか。家庭を持ち、そこそこ出世も可能だ。しかし満員電車にぎゅう詰めで通い、残業は断れず、上司の言うことには逆らえず・・つまり自由がない。これを「奴隷」と言うのではないか?
いまどきそんな贅沢は言ってられない、仕事があるだけ幸せ。戦争に行かなくて良い自衛隊のお仕事などはベストチョイス、と考えている人・・はい、それが「奴隷」。
と考えてゆくと、日本人のほとんど全員が「奴隷」ということになる。
さらに飛躍。
県民大会で鳥越俊太郎氏が安倍首相をアドルフ・ヒットラーになぞらえ、安倍ドルフという言葉が聞かれる、と語っていた。だとすればガス室に送られるユダヤ人は、この場合ウチナーンチュということか?アウシュビッツならぬヘノコビッツで全員虐殺?海猿が人間の皮を剥いで電気スタンドの笠にしたり、髪の毛をふとんの綿にしたり・・ああ恐ろしい。
隣のビルケナウ収容所と合わせて殺されたユダヤ人は約150万人。おいおい沖縄県民とほぼ同数じゃないか。安倍ドルフは沖縄民族絶滅作戦を進めているんじゃないだろうね。
ネオコンのおっちゃんのぼやき
(初めてこのコラムを読む人に一言説明―ネオコンとはネタニエフ・オコンネルという人物の略称。父がユダヤ系、母はアイルランド系。生まれは日本、父は宣教師で関西にいたため関西弁(というかヤクザのような日本語)に巧み。母はIRA(アイルランド共和軍)のシンパ、といってもカンパを毎年送るだけ。じゃがいも料理は不得意。じゃがいも飢饉のトラウマか。葡萄を見ると腹が立つ。怒りの葡萄?・・本題に入ろう。)
ネオコン「あかんな安倍ちゃんも―これが口癖―。ジャパニーズはみんなアメちゃんの奴隷みたいなもんやて。沖縄だけやろ。訳分からん抵抗しくさるんは。言うたかて沖縄も一応日本やからな。これこそアメちゃんの奴隷の日本の、そのまた奴隷や。言うとくけどな、ずーっと、あこに基地置いとかなあかんて。ほんまの不沈空母や、ええこと言うたな、昔の総理大臣も。
沖縄は70年我慢してきた。せやけどな、ベース(基地)のおかげで金もろとる奴もようけおる。このまま放っとけばええんや。どもならんて。安倍ちゃんも「(沖縄に)ていねいに説明」するいうけど、おのれが一番無理なこと分かっとるやろ。菅のあほたれが「粛々と」言いよるけど、なんや粛々て。あの、うろこ貼ったような眼えはなんとかならんかい。
はよ辺野古埋め立てて、新しゅう基地造ったらんと、中国攻めて来よるで、ほんまに。どないすんや。宮古島や石垣島に自衛隊置いたかて、そんなもんスカや。戦争の時に役に立つんかいな。ちゃんとアメちゃんにリーダーシップとってもろて、サイバーなんやらスペースなんやらのシステムみんな買(こ)うてあんじょう整備したれ。日本国憲法なんか無視や。あたりまえやろ。日本中にレーダーとミサイル基地張り巡らすんや。わしの出番やでー。」
龍源亭ダショー「むちゃくちゃでござりまするがな、このギャグちょっと古いか。でもってあたしの寄席の出番はどうなっちゃってんでしょうかね。」
ネオコン「おのれの出番なんぞ知るかいなアホ。末廣亭の前の、道の掃除でもしくされ。」
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【5】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第3部 揺らぐ「承認」 vol.20 「強気の裏側」
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1月19日午後9時50分すぎ。那覇市寄宮の知事公舎玄関で記者団の取材に応じた県知事の仲井真弘多は、前もって態度を決めていたかのように強気の姿勢を前面に出した。米軍普天間飛行場の移設問題を最大の争点に同日投開票された名護市長選で、仲井真が強く推した移設推進の新人候補が、移設阻止を掲げる現職稲嶺進に敗れることが確実な情勢となっていた。
記者「民意が示されたが、受け止めは」
仲井真「これは優れて名護市の有権者の方々の投票結果だ。まだ(投票差の)数字が出ていないから、生煮えの答えしかできない」
記者「これまでの姿勢を変えることはないのか」
仲井真「有権者の意向は、これはこれとして無論、大きなものがある。だが、それを受けて私が何か今までの(埋め立ての)承認を変えることはできないのではないか。もう、承認しましたからね。今からどうこうというのは」
普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けて既に下した埋め立て承認の判断は、市長選の結果に影響されないー。のらりくらりと矛先を交わす仲井真の受け答えからは、そのような意図がありありとうかがえた。
安倍政権は市長選で自民党幹部を大量に現地投入。幹事長の石破茂が500億円の「名護振興基金」創設の意向を表明するなど露骨に介入していたが、移設推進派の敗北後は結果を過小評価することに懸命だ。「埋め立て権限は県にあり、知事から承認を頂いた。支障は生じない」(官房長官・菅義偉)などと選挙結果が移設作業に与える影響はないと強気の姿勢を示す。
だが、普天間問題が再び争点になるであろう今年秋の知事選で、辺野古移設に反対する候補が勝利すればどうなるのか。いったん決定した承認が取り消せないかのごとき言説が流布するが、専門家らは次期知事による埋め立て承認取り消しの可能性を、事もなげに説く。
沖縄大副学長で行政法専門の仲地博はこう説明する。
「次の知事が、前の知事の承認を違法と判断した場合や、承認時には公益に合致すると判断されたが、その後の社会変化などで公益に合わなくなったと判断した場合は、承認の取り消しや撤回ができる」
例えば公有水面埋立法に基づき辺野古沿岸部の埋め立てを認めた今回の場合、「適合」することが承認の絶対条件となる複数の項目のうち、県の担当部署が最終段階まで適、不適の両方の判断が成り立つとみていた「環境保全」の項目について、次期知事が「不適」と判断すれば承認を取り消せるということだ。ただそうなれば、国が県を相手に取り消し処分自体の取り消しを求める訴訟を起こすことも想定されるという。
埋め立て承認の取り消しが可能か否か。質問に対し、国土交通省水政課は「そのような事例は聞いたことがない」と言及するにとどめ、否定はしない。
昨年末の仲井真の埋め立て承認に対しては、辞任要求に踏み込んだ県議会や北中城村議会をはじめ、市町村議会で承認に抗議し、撤回を求める意見書などの可決が相次ぐなど、反発は収まる気配がない。
秋の知事選では「承認の取り消し」が争点化する公算が大きい。知事承認後、移設作業進展のアピールに躍起となっている政府が最も恐れるのは、知事選で移設反対派候補が当選し、承認が取り消されることだ。(敬称略)
(「日米廻り舞台」取材班)琉球新報提供
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