沖縄芝居(歌劇、史劇など)は俳優協会、琉球歌劇保存会もあり、また芝居一座もありますが、昨今はほとんどがプロデュース公演に近い形態ですね。劇団や一座だけの構成ではなく、組踊や琉球舞踊にも長けて人気のある面々が歌劇の主役を演じています。つまり近代の名優たちの何でも演じるオールマイティーな技量ですね。つまり沖縄芝居の命運は主に芸大出身の琉球舞踊家や組踊伝承者たちがきらびやかに担っていく未来になりそうですね。
琉球舞踊や歌三線(古典音楽、民謡)、太鼓、胡弓、筝とそれらの戦後枝分かれした芸能の流れがあるのですが、それらを土台にした総合芸術が組踊や沖縄芝居なのですが、沖縄芝居の役者の皆さんも琉球舞踊の師範級の方々が多く、ただ組踊を嗜んでいるかいなかが違うのですね。
狭い沖縄内です。組踊や新作組踊、名作琉球歌劇や琉球史劇の主役級は、組踊の伝承者が担っていますね。つまり組踊の主役〈立役〉は沖縄芝居の主役〈立役〉になるのです。その模範が真喜志康忠さんですね。その前に真境名由康さんや、親泊興照さん、宮城能造さん、玉城盛義さん、島袋光裕さんがいましたね。宮城さんを除いてみなさん、作劇も盛んになされた方々ですね。
つまり現代から未来の沖縄芝居の粋を継承していく方々は組踊や琉球舞踊を土台に花開くのですね。ということは、男性だけではなく、女性陣も大いに組踊を独自に上演し、古典を習得するのは芸を豊かにすることになりますね。
このチラシを見ると伊良波冴子さんの「母の日」公演「仲里節由来記」「中城j情話」「貞女小」はプロデュース公演で出演者は冴子さんの甥の伊良波輝人や一部の役者を除いて組踊の今人気のある面々が出演ですね。佐辺良和、嘉数道彦、金城真次、天顔雄一、そして古典音楽も堪能な当銘由亮、女性陣は地花小百合、知念亜希とひっぱりだこの女優さんたちですね。他伊良波さんを除いては舞踊家の女性たち、沖縄芝居界からは赤嶺啓子さんですね。
つまり、この事例が示すのは、おそらく女性だけの劇団「うない」を除いては、ほとんどがこのようなチャンプルーのプロデュース公演になっていく可能性が高いですね。その点、女性だけの劇団「うない」のパワーアップをもっと期待したいところです。
「沖縄俳優協会」は社団法人化しているのですが、組踊伝承者の綺羅星たちの人気を凌ぐことができない状態です。それが組踊が復帰の1972年以降、国、そして2009年にはユネスコによる無形文化財の価値が高まり、その舞台の若い立役に芸能のヒエラルキーが高まっている仕組みもあるのですね。彼らは舞踊に長け、芸大でしっかり学んで鍛えられてきたのですね。その沖縄芸能のヒエラルキーがそのまま継承されていくのでしょうか。
現在の沖縄芸能の各場面で芸大出身者がやはり抜きん出てリードしているのは事実ですね。彼らがその文化シーンのエリート層になるのですね。そのヒエラルキーの内部の競争も厳しいかと思います。芸が好きで好きで持続しているうちにプロ級になる方もいるでしょう。レッスンプロがメインな沖縄で、それでも多様な公演が繰り広げられています。彼らが人気を得るのはその芸と人柄、美意識の粋でしょうか?
組踊研修生や伝統組踊保存会の伝承者、玉城盛重流派の舞踊家など、すでに沖縄芸能のヒエラルキーが明確になってきているのですが、その厳しい芸の修練や果てのない芸の極地を目指す心意気が高い者ほど、多くの大衆の賞賛を受け、沖縄芸能のリーダーになっていき、それに見合った褒章が与えられる仕組みでしょうか。
何れにしても、狂言役者や歌舞伎役者が現代劇でも時代劇でも優れた技芸を見せているのも事実ですね。とすると、沖縄芝居のみならず、現代劇やドラマでも組踊や琉球舞踊の優れた舞踊家、そして優れた古典音楽や民謡の歌い手はまた現代演劇の舞台でも花になりえることを意味します。←ただ現代劇の場合、出演者は少ないですね。作品にもよりますね。
可能性は大きいですね。女性達の可能性も大きいですね。ナン・バーバル舞台(舞踊や演劇)も一つの方向性(娯楽・観光の目玉)ですが、伝統芸能の粋こそ、最も継承され鑑賞されてほしいですね。そして新しい詩劇(新作組踊)の可能性はちょうど弁証法のように、未来への矢印ですね。