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志情(しなさき)の海へ

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「組踊」ユネスコが世界無形文化遺産に登録!新作組踊は沖縄の粋を極めた現代演劇!

2010-11-17 08:42:00 | グローカルな文化現象
地元の新聞によると、11月16日、1719年に初めて玉城朝薫によって創作され、清王朝時代の冊封使歓待の席で上演された「組踊」が、国連機関の一つ、ユネスコにより、無形文化遺産に登録が確定された。2006年に始まった制度で、無形文化遺産の保護や国内外で無形文化遺産への相互理解を深めることを目的とする。2010年10月までに世界で178件、日本では16件が登録されていた、と紙面が伝える。新聞のトップを飾る広報である。そこで、沖縄の熱狂がどれほどのものか?紙面は一面だけではなく、20・28・29面と多彩!

すでに日本からは、能楽、浄瑠璃、歌舞伎が無形遺産に登録されている。組踊がそれらの日本の伝統演劇・芸能に続く指定で、特異な琉球/沖縄の芸能・演劇への関心はさらに膨らむに違いない。それと同時に世界へ発信できる総合芸術としての中身の深化、継承、保存、新たな創作が問われていくのだろう。そして島国の偏狭性を乗り越えて、中身の充実が求められている。伝統芸の型や感性を踏襲しながら、どう継承していくか、常に問われていくことになる。ユネスコのお墨付きで財政的支援が降りてくるわけではない。あくまで日本の中にあって独自にその伝統芸能を保存・継承・創造発展させることが問われているのである。

というところで、新報の芸能担当記者古堅一樹が「芸能インサイド」上・下で面白い特集を組んでいる。「新作組踊」11月10日、11月17日である。この新作組踊については、大城立裕氏や他の若い方々の作品を含め、来夏大阪大学で開催されるIFTR/FIRT(国際演劇学会)で、できればパネルを組んで研究発表ができないか、模索している段階である。テーマはTradition, Innovation, Community(伝統、革新、共同体)である。2011年8月7~12日に開催される。基本言語は英語である。通訳はない。

それからアメリカのアジア演劇研究もかなり充実してきていて、すでにAmerica Asian Theatreの権威あるジャーナル編集長は「新作組踊」に関心を示してメールを送ってきた。同じ国際学会のアジア演劇研究会のメンバーである。アメリカの研究者だけではなく世界のPerforming Arts 研究者や実演家はアジアに、熱い視線を注いでいるのが現実!

日本の伝統演劇だけではなく、今秋、文化勲章を授与された演出家蜷川幸雄についても、また彼が世界で上演している蜷川シェイクスピアについても博士論文が書かれているし、鈴木忠志や寺山修司の研究も盛んで、アメリカの研究者が著書として刊行している。沖縄の組踊が英文で上梓される時代になったのである。組踊だけではなく沖縄芝居も沖縄の多様な民俗芸能も世界に発信する時代である。その対応が遅れている。

さて大城立裕作「新作組踊」はすでに書かれた18作の内(氏は20作を完成させる決意とお聴きした)、9作品が舞台化された。『花の幻』の琉球組踊十番の内、残された作品は「サシバの契り」だけである。可能な限り来春までには上演してほしいと願っている。そうなると、しっかり大城新作組踊十番を映像でも世界の研究者にご紹介できるからである。できれば英文冊子を上梓したい。写真も含めて一部英語に翻訳し、無料で配布も考えている。翻訳と写真による紹介である。

なぜ大城立裕の新作組踊を応援するか?それは現在3年のプログラムで【「組踊の系譜」-朝薫の五番から沖縄芝居、そして「人類館」へ】のテーマで文科省から助成を受けた研究に取り組んでいるが、多様な批判や賛同の声がある中で、私なりの評価をしっかりまとめたいと考えているゆえでもある。

一言で言えば、大城新作組踊は琉球/沖縄芸能の歴史の現在の最を極めた表象ということになる。

なぜ?その辺は一冊の本にでもまとめなければーー。大城立裕氏の凄さは、小説、沖縄芝居、そして詩劇(新作組踊)と、沖縄の魂の粋(エキス)を必死に、氏の沖縄男の魂の闘いの形として焙りだされたものである。それを理解しないとね。

<写真は伊良波尹吉作品「思案矼」、墓もまた大きな位置をしめる沖縄芝居>

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