琉球漆の研究から新しい作品が誕生したり、同じく古い紅型衣装から新たな衣装や小物が作られる。伝統工芸を現在に活かす活動があり、それを応援する企業メセナもいいね。
あらたな創造が意外と温故知新の古くて新しい概念で、繰り返されていく事例は多いのだろう。
それは工芸だけではなく文芸でも起こっている。詩人のT.Sエリオットが詩論として論じていた。
春になるとエリオットの詩の一遍が浮かんでくる。
4月は一番残酷な月だ から始まる。「荒地」である。
以下の紹介は
【鞠二月二日堂 詩と芸術のブログ】から転載だが、エリオットの詩についてうまく解説している。大学生の時、英米の現代詩はエリオットまでだった。このサイトでは詩の翻訳とオリジナルが並んでいる。
『荒地』は、当時最先端の実験的手法、モダニズムのスタイルで描かれる。エリオットは、それぞれのパーツ(要素)を知的な手際でクールにコラージュしてゆく。自在なイメージの展開、多彩な語りの技術、けっして野暮にならない奥行きのある描写、その手腕はさすがだと思う。古典からの引用、料理の仕方も上手い(それらが難解に終わらない表現の「おいしさ」がある)。
神話や伝説の枠組みを巧みに使い、モダニズムの技術と感性が、近代的な都市生活者のありさまと第一次世界大戦を通過した時代の心象風景(荒廃、不安、幻滅、孤独など)をシャッフルして再構築する。するとそこに奇妙な破れ目(ほころび)が見えてくる。でも、その正体は分からない。破れ目の奥(闇)に光は届かない(どう繕えばいい?)。モダニズムの詩的世界は、その「破れ目」を際立たせるための装置だったのだろう」
S.K.ランガー「芸術とは何か」付<岩波新書>
S.K.ランガーの本は大学院の授業で一冊買った。
自然界の多様な形態およびパターン形式