掃苔家とは、今は亡き文人や著名人、歴史上の人物などの墓を訪ね、苔を掃い墓に詣でその人のことやその人の時代に想いを馳せることを趣味としている人のこと、だそうです。
馴染みのない言葉に興味がそそられますが、連載を読んでいて、教え子の仲村顕さんの活躍を好ましく思いながらも連載の中で『女性』が登場しないお墓と人物紹介でしたので、途中から「ああ家父長制度の名残のお墓の紹介なのね」と興味を失っていました。現在も家父長制に変わりはなく、XX家のお墓があるのですね。個人のお墓や集団のお墓も最近はあるようですが、それにタイのようにお墓崇拝のない国々もあります。
何より、この間歴史に女性は登場しなかったかのような「お墓」と人物」紹介なのですね。人類史の中で『女性』の位置づけはこんなところにもあからさまなのだ、ため息が出ました。顕さんの海外も含めた熱心な取材は素敵に思えたけど、「はじかれてきた女たち」に想いがいきました。ご紹介された歴史上の人物の妻なり、娘なり、姉妹なりその母堂はどうだったのでしょうね。
そこまで書ききると、歴史の総体として面白くなりますね。男だけの世界、男だけのお墓ではなかったはずですよね。酸いも甘いも共有してきた関係、その綾の中にあって「同じ時空を生きてきた人々」の「群像」なり家族はどうだったのだろうか?関係性の中の人間像、とくに歴史上の人物にとっての対の女性たちはどうだったのでしょう?また妾の女性は?「ジュリ」は?琉球王家の墓の内部はかなり研究されていますね。次は墓に眠る人々を探索してもいいですね。骨の研究、墓の中の厨子甕の中の研究もされていますがー。
『女たち』の姿が見えない「眠れる先人たち」でした!履苔家の登場に拍手!でもお墓って何だろう?骨に価値を認めない文化もあって、世界中のお墓や「骨」や「魂」の「在り処」も気になります。比較文化論的に見た「墓」「死」「ジェンダー的視点」などを加味した次のステップの探索を楽しみにしています。