すごい本に出くわしてしまいました
50数年生きてきて読んだ本の中で
10本の指に入るであろう本です
七帝柔道記 増田俊也 著
戦前行われていた寝技中心の高専柔道を受け継いで、
北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の
旧帝国大学7大学で現在も行われている七帝柔道を題材に、描かれた
自伝的小説であります
高校時代名古屋の進学校で柔道部に在籍してた増田は
名古屋大学の柔道の試合を見たとき、柔道部員から
井上靖の「北の海」を教えられ、七帝柔道の存在を知ります。
どうしても北海道大学で七帝柔道をやりたいと思った増田は
2浪し北大に入ります
そして念願であった、北大柔道部に入るのですが
寝技中心の七帝柔道というのは想像を絶する柔道だったのです
引き込みあり、間接技あり、締め落としあり・・
現代のスマートな講道館柔道とは一線を画するものなのでした
同期入部の、九州の柔道部で鳴らし、3浪で入ってきた沢田や
2年後、主力選手となる竜澤とともに
七帝柔道に日夜奮闘するのであるが・・・
過去北大柔道部は、優勝経験もある、名門であったが
最近は、重量級の選手に恵まれず
超弩級といわれる、有力選手を有する他の大学の後塵を拝していた
その汚名を晴らすべく、主将は
「練習量がすべてを決める」の合言葉とともに
過酷な練習量を部員に強いるのであった
とまあこんな感じですが
練習シーンの描写が半端ない
絞められて、参ったしても絞め続けられる
落ちていくのは、死ぬのと同じ
それを毎日繰り返していくのです
ぐいぐい引き込まれる
自分が畳の上で戦っているような錯覚におちいるのです
電車の中で読んでいて、腕や体に力が入り
駅について読み終わったら、すごい疲労感に襲われます
それくらいのめりこむ、恐ろしいパワーを持った本です
わしの好きな本に
「柔道部物語」っていう小林まこと著の漫画があるんですけど
似たテイストをもった小説です
強靭な練習シーンの合間には
体育会系の活動をした人なら心覚えがある、
あるあるネタが豊富にちりばめられているのもいいですね
カンノヨウセイとよばれる恐ろしい新歓行事
学園祭での資金稼ぎの焼きそばや
放課後先輩に連れて行ってもらった、飯屋
そんなことあったよなあって
当時を知る、おっさん連中がいることでしょう
時代は変わって、こんなバンカラなことをやる
クラブはもうないかもしれませんが
こういった空気感は大事にしたい
高校生の諸君に是非読んでほしい小説です
こんな世界があるんだぞって
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