良い季節になった。
歩いても汗をかかない。
虫にも刺されない。
日焼けもしない。
10月はまだ、外を歩くと暑く感じる日もあるけれど、さすがに11月に入るとそういう事は少なくなる。
そんな11月始めの日曜、遠出をしようと大原を目指した。同居人は東京へ出張中、晩御飯の支度を気にしなくても良いので。
京都、出町柳駅に到着。土砂降り。
うーん、雨なのはわかっていたから仕方がないが…しとしと降る中の大原三千院もいいかと思って出てきたが、土砂降り…
バスでここから大原まで30分位だが、ありがたい事に途中で天気は変わった。ちょうど雨が通り過ぎたところ、と言う風情、どんよりした空ではあるが、日差しが強すぎるよりはましかも。
嵯峨菊をきれいに咲かせたお土産屋さん、名物の柚子を商う店などの前を通り過ぎて三千院へ。
ここは、おそらく15年以上前に一度来ているのだが、写真は残っていない。カメラを忘れたのか? にぎやかなお土産屋さんが多すぎて俗っぽい、という印象ばかりが残っており、三千院の庭も、放火で焼ける前の寂光院の様子も、ほとんど覚えていないのだ。
お土産屋さんも、今はむしろ静かなたたずまいのものが多い。
さすがに日曜の三千院、雨模様とは言え人が多いが、まだ清水寺などの足場の良い所よりましな感じ。雨の後なので、有名な庭の苔も生き生きしている。
空気もきれいで、すがすがしい。
体内の毒素(があるのか?)が抜けていく気がする。
今年はあまり暑くない夏だったせいか、紅葉は当たり年とは言えないはず。
どちらにせよまだ、緑の方が勝っているのだが、紅葉している葉もあまり色が良くない気がするが、そこは写真も撮りよう。
こういった雨上りは「雫写真」に限る。水滴の残った葉は三割増しできれいに写る。
写真撮影のプチ旅行、リュックにはカメラ、替えのレンズ、メガネに本1冊、夏なら日焼け止め、虫除けスプレー、ムヒ、等入れていくが、たまに田舎歩きなどをしているとおなかが空いても食べる場所がない、という羽目になる事もあり、その上長々とバスを待ったりすることもあるので、必ず水とソイジョイも入れておくことにしている。
この日は夜までゆっくり歩くつもりだったので、ちょっと贅沢に「地元野菜と湯豆腐」の店で食べることにする。
最近はこの手の、野菜中心の料理の店が増え、ありがたい。
しかしこういう店にありがちなのが、メニューにすべての野菜を料理の仕方(ナントカのゼリー寄せ、とかナントカの柚子味噌和えとか)から全部載せているので、結構な量が出てくるかと思ったら一口ずつだった、というもの。
私は小食なのでこれでちょうど良いのだが、男性が見たら「やられた…」と思うかも。
バス停に戻って反対側の寂光院への道のりは結構あったという記憶だったが、やはり田舎道、家々の合間を縫って歩く道が長く続く。と言っても15分位か。
ここではまだコスモスも咲いている。
7年まえに全焼してしまった寂光院は、本堂や建礼門院の像、本尊などはぴかぴかだけれど、他は特に変わっていないのか、鯉が紅葉を背中に載せて泳ぎ回る池も風情があり、こぢんまりとした良い庭には私の好きな秋海棠の花があちこちに。
後白河法皇がお忍びで訪ねてこられ、昔は中宮として栄えた建礼門院がうら寂れた田舎に暮らす様子に落涙した、という「大原御幸」は有名だけれど、案外、女院はこの空気のきれいな山里でのんびりくつろいで暮らしておられたのでは、などと私は思ってしまう。
デジブック 『京都大原の里散策』
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