日本農業新聞e農netに「米国産米 やっぱり優遇? MA比率47%で固定 政府は密約否定 (2015/3/20)」という記事が出ていた。
内容は以下の通り
2014年度最後のミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米の入札の結果、年度を通じた米国産の比率が47%となったことが分かった。
現在の輸入数量76万7000トンになった2000年度以降、国際価格が高騰した07、08年度を除き、全て米国産シェアは47%前後で固定されてきた。
日本政府は、米輸入の半分を米国産とする密約を否定する。
しかし過去の入札結果や米輸入業者の証言からも、米国だけを優遇してきた疑いは限りなく濃厚だ。
林芳正農相は5日の衆院予算委員会で「シェア保証の密約があるのでは」との野党の質問に「国別輸入数量は公正な入札の結果決まったもの。密約はない」と否定した。
だが、直後の13日に行われた今年度最後のMA米入札の結果を見ると、この説明は疑わしい。
農水省は、最後の入札で、1万3000トンの米国産「うるち精米中粒種」を契約予定数量として指定。
全量落札された。
その他の「うるち精米長粒種」5万1368トンは、全量がタイ産で落札。
その結果、今年度の米国産シェアもこれまで通り47%になった。
今月3日の前回入札を終えた時点の米国産の累計シェアは50%だった。
最後の入札で47%に調節するには、米国産を1万3000トンぴったり買い入れる以外に選択肢がなかった。
米国産の契約予定数量は、まさに絶妙な数字というわけだ。
過去15年間の入札結果を見ても、年度初めの米国産のシェアはばらばらだが、年度末にかけて米国産の輸入割合が都合良く上下し、最終回で47%に落ち着く。
同省は「MA米は需要に応じて買い入れる。国ごとのシェアは意識していない」(貿易業務課)というのが公式見解。
米国産が毎年47%になったのは、あくまでも偶然という立場だ。
同省は国別のMA米の用途を公開していない。
最後に入札した1万3000トンの米国産がどのような需要に応じて落札されたのかは検証できないが、シェア調整が主な目的だったとみるのが自然だ。
過去の入札結果がそれを物語る。
・米国産だけ変動なし 他国は大きなばらつき
過去15年間の米入札を日本農業新聞が調べたところ、米国産だけが年度末に輸入量の半分を占めるよう、毎年度途中で調整されている不自然な姿が浮かび上がった。
年間76万7000トンのミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米輸入は、農水省が毎年十数回行う入札で何を買い入れるかが決まる。
価格は、各国の作柄や需給などに応じて国ごとに変動する。
為替も変わるため、輸入米の調達コストは産地で毎年度異なるはずだが、同省が価格や用途を重視したようには見えない。
ひたすら米国産シェアの帳尻合わせをしているようだ。
2000年代前半には、年度序盤までは米国産の割合が半分を大きく下回り、終盤にかけて急激にシェアを回復させるケースが多かった。
近年はその逆に、半分を上回っていた米国産の割合を年度途中で減らしたり、年度当初からほぼ半分に固定したりしているケースもある。
14年度もこれに当たる。
国別の落札数量の累計割合の推移を見ると、こうした輸入シェアの不自然さが米国だけに限られているのが分かる。
MA米輸入が始まった1995年以降、タイ産が大きく増えた一方で中国産やオーストラリア産は減るなど米国産以外のシェアは年度ごとに大きくばらつく。
しかし米国産だけはほとんど変動はない。(山田優特別編集委員、水澤潤也)
<解説> シェア操作は確信的
「年度末までに米国のMA米落札シェアが47%前後に調整されるのは、業界の常識だ。今年も例外ではなかったということだ」
19日までに話を聞いた複数の米輸入関係者は口をそろえる。
14年度のMA米は、日本産米価格の大幅な下落で毎年10万トンの主食用SBS(売買同時入札)米落札が激減。
その分、加工用や飼料用に振り向けられる一般輸入米が増えるなど大きな変化があった。
しかし、入札を終えてみれば、例年通り米国産は半分近くのシェアを保った。
それだけに「需要に応じて買い入れる」という農水省の言い分は説得力を持たない。
同省は、操作をしにくいSBS取引方式ではなく、産地や種類を指定できる一般入札を年度末に回す手法で、国別のシェア操作を行ってきた。
日本政府が過去20年間、米輸入の半分を米国に差し出してきたことは事実だ。
国会で密約の存在を追及された翌週の最終入札で、こっそりとシェア操作をする辺りはよほどの確信犯だ。
環太平洋連携協定(TPP)交渉に関連し、日米政府間で新たな米国産米の輸入枠を設ける案が取り沙汰されている。
不明朗でコストの高い米国産米の優遇策を放置したまま新たな譲歩をすることは許されないだろう。 (山田優特別編集委員)
というもの。
これは今に始まったことではなく、ずっと繰り返されていた。
当然TPP交渉についても同じと考えてよいだろう。
なのに、生産者や産地には、まったく説明がされていない。
協力を求めてきたりするのは、選挙の時だけ。
どこまで、馬鹿にされ続けるのだろう。
内容は以下の通り
2014年度最後のミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米の入札の結果、年度を通じた米国産の比率が47%となったことが分かった。
現在の輸入数量76万7000トンになった2000年度以降、国際価格が高騰した07、08年度を除き、全て米国産シェアは47%前後で固定されてきた。
日本政府は、米輸入の半分を米国産とする密約を否定する。
しかし過去の入札結果や米輸入業者の証言からも、米国だけを優遇してきた疑いは限りなく濃厚だ。
林芳正農相は5日の衆院予算委員会で「シェア保証の密約があるのでは」との野党の質問に「国別輸入数量は公正な入札の結果決まったもの。密約はない」と否定した。
だが、直後の13日に行われた今年度最後のMA米入札の結果を見ると、この説明は疑わしい。
農水省は、最後の入札で、1万3000トンの米国産「うるち精米中粒種」を契約予定数量として指定。
全量落札された。
その他の「うるち精米長粒種」5万1368トンは、全量がタイ産で落札。
その結果、今年度の米国産シェアもこれまで通り47%になった。
今月3日の前回入札を終えた時点の米国産の累計シェアは50%だった。
最後の入札で47%に調節するには、米国産を1万3000トンぴったり買い入れる以外に選択肢がなかった。
米国産の契約予定数量は、まさに絶妙な数字というわけだ。
過去15年間の入札結果を見ても、年度初めの米国産のシェアはばらばらだが、年度末にかけて米国産の輸入割合が都合良く上下し、最終回で47%に落ち着く。
同省は「MA米は需要に応じて買い入れる。国ごとのシェアは意識していない」(貿易業務課)というのが公式見解。
米国産が毎年47%になったのは、あくまでも偶然という立場だ。
同省は国別のMA米の用途を公開していない。
最後に入札した1万3000トンの米国産がどのような需要に応じて落札されたのかは検証できないが、シェア調整が主な目的だったとみるのが自然だ。
過去の入札結果がそれを物語る。
・米国産だけ変動なし 他国は大きなばらつき
過去15年間の米入札を日本農業新聞が調べたところ、米国産だけが年度末に輸入量の半分を占めるよう、毎年度途中で調整されている不自然な姿が浮かび上がった。
年間76万7000トンのミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米輸入は、農水省が毎年十数回行う入札で何を買い入れるかが決まる。
価格は、各国の作柄や需給などに応じて国ごとに変動する。
為替も変わるため、輸入米の調達コストは産地で毎年度異なるはずだが、同省が価格や用途を重視したようには見えない。
ひたすら米国産シェアの帳尻合わせをしているようだ。
2000年代前半には、年度序盤までは米国産の割合が半分を大きく下回り、終盤にかけて急激にシェアを回復させるケースが多かった。
近年はその逆に、半分を上回っていた米国産の割合を年度途中で減らしたり、年度当初からほぼ半分に固定したりしているケースもある。
14年度もこれに当たる。
国別の落札数量の累計割合の推移を見ると、こうした輸入シェアの不自然さが米国だけに限られているのが分かる。
MA米輸入が始まった1995年以降、タイ産が大きく増えた一方で中国産やオーストラリア産は減るなど米国産以外のシェアは年度ごとに大きくばらつく。
しかし米国産だけはほとんど変動はない。(山田優特別編集委員、水澤潤也)
<解説> シェア操作は確信的
「年度末までに米国のMA米落札シェアが47%前後に調整されるのは、業界の常識だ。今年も例外ではなかったということだ」
19日までに話を聞いた複数の米輸入関係者は口をそろえる。
14年度のMA米は、日本産米価格の大幅な下落で毎年10万トンの主食用SBS(売買同時入札)米落札が激減。
その分、加工用や飼料用に振り向けられる一般輸入米が増えるなど大きな変化があった。
しかし、入札を終えてみれば、例年通り米国産は半分近くのシェアを保った。
それだけに「需要に応じて買い入れる」という農水省の言い分は説得力を持たない。
同省は、操作をしにくいSBS取引方式ではなく、産地や種類を指定できる一般入札を年度末に回す手法で、国別のシェア操作を行ってきた。
日本政府が過去20年間、米輸入の半分を米国に差し出してきたことは事実だ。
国会で密約の存在を追及された翌週の最終入札で、こっそりとシェア操作をする辺りはよほどの確信犯だ。
環太平洋連携協定(TPP)交渉に関連し、日米政府間で新たな米国産米の輸入枠を設ける案が取り沙汰されている。
不明朗でコストの高い米国産米の優遇策を放置したまま新たな譲歩をすることは許されないだろう。 (山田優特別編集委員)
というもの。
これは今に始まったことではなく、ずっと繰り返されていた。
当然TPP交渉についても同じと考えてよいだろう。
なのに、生産者や産地には、まったく説明がされていない。
協力を求めてきたりするのは、選挙の時だけ。
どこまで、馬鹿にされ続けるのだろう。