日本農業新聞e農ネットに[MA米輸入の闇 米国産シェア保証疑惑]という記事があり、それの「上」は「圧力 口約束がきっかけに (2015/3/31)」であった。
内容は以下の通り
日本政府はミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米の輸入量のうち過去20年間、ほぼ一貫して米国産米を毎年47%買い入れてきた。
その安定した数値から、米国産を優遇する密約の存在が疑われる。
さまざまな関係者の証言や文書、データなどで密約疑惑をひもとく。
・WTO横目に“暗黙”貫く
「米と政治が深く結びついているのは日本に限らず、米国も同じだ。イラク向けの米輸出をめぐり今起きていることを見れば分かる」
2月に来日した米アーカンソー大学のエリック・ウェイルズ教授が、こう明かした。
それを裏付けるのが、30人を超す上下院議員が署名し1月22日にケリー国務長官に送りつけた書簡だ。
そこには最近、米国産米を輸入していないイラク政府に対し、圧力を掛けるよう求める内容が書き込まれていた。
ちょうど15年前の2000年3月30日。
同じように米輸出をめぐって23人の議員らが米政府に送ったとされる書簡がある。
そこで名指しされたのは日本政府だ。
「MA米輸入の50%は米国から買うと口頭で約束したが、果たしていない」と非難する書簡で、当時のバシェフスキー通商代表に強い態度で日本政府との交渉に臨むよう求めたものだ。
その書簡はA4判でわずか3ページ。
そこに4回も日本政府の「50%の約束」が出てくる。
MA米輸入に占める米国産のシェアが47%にとどまり、3%分が約束違反だから「何としても日本に買い上げさせろ」という内容だ。
50%は米国がぶんどるという密約の存在が前提になっている。
ただし米政府は不思議なほど、MA米のシェア保証について語らない。
日本農業新聞が今年3月、あらためて米国大使館農務部にシェア保証について確認を求めた。
しかし、報道部を通じ「この件はコメントしない」との返事だった。
米通商代表部は、毎年外国の貿易障壁を指摘する報告書をまとめている。
14年3月末の報告書でも、日本に関して「極めて規制的で不透明な米の輸入・流通制度が日本の消費者の輸入米への意味あるアクセスを制限している」と指摘するだけ。
過去の報告書を見ても、米のシェア保証には何も触れていない。
なぜ米政府は沈黙を守るのか。
それは、MA米のシェア保証が世界貿易機関(WTO)のルールに違反する恐れが強いからだ。
WTOは「国家貿易は商業的考慮だけに従って売買を行う」ことを求めている。
ある政府が一国だけを優遇するシェア保証は、明らかにルールから逸脱する行為だ。
3月5日に野党議員が国会で政府を追及したが、林芳正農相は「MA米の国別購入数量は公正な入札を経て決まるもので、違反ではない」と突っぱねた。
日本政府が「実は米国産米のシェアに配慮してきた」と認めたら、その時点でWTOルール違反を認めることになる。
米国政府も、日本政府のシェア保証を表に出せば、米国だけが享受してきた特権を失うだろう。
両国政府は約束を表に出さないという暗黙の合意によって、20年間に及ぶ異常な米輸入の関係を続けてきた。
環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐり、浮上したとされる数万トンの新たな米国産米枠。
まさにこれまでの延長線にあるあだ花だ。(山田優特別編集委員)
というもの。
日本政府の発言は、2転3転。
その場その場の対応で、何時も返答はグレー。
だから、解釈によっては日本側が不利になることが多い。
そんな交渉を、ずっと繰り返しているのだから、NOとは言えるはずがない。
時間がかかればかかるほど、NOではなくYESとなってしまう。