「炎の人 ゴッホ」とは、どなたが言い始められたのか知らないけれど、ゴッホのことを、これほど適格に表現する言葉はない!と、私は思います。
全身全霊で、人を愛し、全身全霊で、愛を希求した人!
その愛の強さゆえに、我が身をも焼かざるを得なかった人!
ゴッホは、私が最も尊敬し、愛する画家です。
ゴッホを含む印象派&後期印象派の作品を紹介する、「ワシントンナショナルギャラリー展」(京都市立美術館)に、今週の水曜日(9日)、やっと行
ってきました。
でも、まずは、朝の中津公園の様子から。
公園のけやきの木立は、徐々に葉っぱを落として、すっと伸びた黒い幹の線が、だんだんあらわになってきていました。
そして花壇では、(いつも花壇の世話を欠かされない)Hさんが植えられた、≪皇帝ダリア≫が、美しい花を咲かせていました。
11時10分発の阪急電車で梅田を出発、四条河原町で降りて、鴨川べりを歩いて美術館に向かいました。
美術館まではかなりの距離ですが、鴨川を眺めながら歩くのは、なんとも心地いいものでした。
川べりで私の目を特に引いたのは、色づいた木の実でした。
鴨川の風景を存分に楽しんだ後、美術館に到着。
いよいよゴッホとの対面です!
今回、ゴッホの絵は3点来ていました。
一つは、1888年に描かれた「プロウ゛ァンスの農園」。 この絵はあたたかな感じのする、比較的穏やかな絵でした。
二つ目は、ゴッホが自らの命を絶った1990年に描かれた‥「薔薇」
この絵の前で、私はしばらく息を飲んで、たたずみました。
薔薇の花は、多くの画家が描いていますが、これは、ゴッホにしか描けない「薔薇」!
まさしく、ゴッホだけの「薔薇」でした!
花も背景もうねっている。 それは、ゴッホの、生きることへの強い熱情!高みをめざす飽くなき希求!
でもゴッホはこの絵を描いた年に…自ら命を絶ってしまった。
私はゴッホの崇高な情熱と、それを実現できなかった悲しみとを感じ、胸があつくなりました。
そして、最後は‥死ぬ前年に描かれた「自画像」
ゴッホの自画像は今までに何点か見てき、そのどれもが素晴らしかったけれど、今回の自画像は、死の前年に描かれただけあって、頬がいっそう痩
せこけ、哀しみをたたえた表情にも見えます。
でも、その哀しみの中で、やはりゴッホは、毅然として、そして気高い!
この絵の前でも、私はしばらく動くことができませんでした。
ゴッホへの想いを心の底に深く沈めたまま、私は美術館を後にしました。
その私の目に、美術館近くの疎水の風景が、やさしく映りました。