マティスが遭遇された困難の一つが、前回のブログに書いた<戦争>によるものだったとすれば、二つ目は<病によって
絵が描けなくなったこと>だった。
しかし彼の絵(造形と色彩)に対する愛は、その困難を軽々と飛び越えた。
筆を持てなくなったマティスは、筆に代わってハサミを持ち、いろんな色の紙を(下書きもなく)切っては貼り付けて、絵画に
勝るとも劣らない、新しい切り絵の世界を創り上げられたのだ。
ハサミで色紙をジャキジャキ切っていかれるマティス
そうして作られたマティスの切り絵の作品。
このマティスの切り絵作品に、強く共感を寄せられる方がおられた。
それは、“葉っぱ切り絵アーティスト”の、<リトさん>。
発達障害のあった<リトさん>は、子ども時代から落ち着いて物事に取り組むことができず、ずっと自分のことをダメな
人間だと否定的に考え、苦しんでこられた。
しかしあることから、葉っぱに絵を描いて、それをカッターで切って、一つの作品に仕上げることを思い付かれる。
そしてできた作品をSNSにアップされると、徐々に注目を集めるようになり、今では“切り絵アーティスト”として活動され
ているのだ。
私は以前たまたま見た「徹子の部屋」に彼が登場されたのを見て、その精緻でしかも夢のある作品に感嘆した。
小さな葉っぱに細かく絵を描かれ、それをカッターで切っていかれる。
そうしてできた、リトさんの作品。
私は、「徹子の部屋」の時も今回も、リトさんの作品の素晴らしさに感嘆すると同時に、リトさんが、マティスの切り絵に
深く心を動かされたことを、感動を持って納得した。
そしてマティスは、自分の作品の集大成として、ひとつの<礼拝堂>をつくられる。
設計から全て自身で手掛けられた、この礼拝堂。
私はクリスチャンではないけれど、一度でいいからこの礼拝堂に入り、マティスが創り出された、この清らかで温かい
世界に、わが身を置きたいと強く願っている…。
礼拝堂外部
その内部は…
ラストで一気に持ってかれました(笑)
一方で、こんなシリーズもございます
マティスMatisse カットアウトTheCut-Outs展 バーチャルツアー その(1)at MoMa NY
https://blog.goo.ne.jp/onscreen/e/6cafa7a4fed620d71528c6f9d24ee11f
その(1)〜 その(10)まであります
ご参考まで