<熊谷守一(モリカズ)氏>の絵は、以前からテレビなどで見ていて、好きだった。
今、「香雪美術館」で氏の展覧会が行われている。
20日(木)、友人Oさんと観に行った。
Oさんとは、阪急御影駅で待ち合わせた。
私は一旦梅田に出て、梅田から阪急の特急電車に乗った。
私が座席に坐ってしばらくすると、4人の中年女性が大きな旅行カバンをガラガラ引きながら入ってこられ、前の座席にドカッと
坐られた。
それぞれのトランクをズラリと前に並べ、その中の一人が、スマホでお孫さんとべらべらと喋っておられる。
その様子が余りに迫力があったので、ちょっと悪い気もしたけれど、写真を撮らせてもらった。
それはさて置き、御影駅で落ちあった私たちは、住宅街の緑を楽しみながら、香雪美術館に向かった。
ちっちゃなモミジの葉の緑が、何とも美しい! 木の間の太陽を撮りたかったのだけれど‥
香雪美術館は、住宅街の中にあるこじんまりした美術館で、展示作品も多すぎず、ゆったりと作品を鑑賞できる。
この日の展覧会もそうで、熊谷作品(絵画・書・焼き物など)をじっくりと鑑賞することができて、幸せだった。
今回は、香雪美術館が展覧会を記念して出した、熊谷氏の小冊子を買って帰った。
(いつもだったらその中から、好きな氏の作品を写真に撮って載せさせてもらうのだが、今はマンション工事のため上手く写真
が撮れないので、残念ながら止めました。)
熊谷氏の絵は、写生をもとにした一応具象画だが、非常に単純化された面白い絵(色彩も素敵!)で、見ていてホッコリする。
それは、氏の作品が、
「ハエとか蚊とかが世の中にいなくなったら、世の中はずい分つまらなくなると思う。」
「長い間生きてはきましたが、私の場合は、ただ長生きしたということだけです。
ふつうの人は、いろいろ考えたり無理をしたり、だましたりだまされたりしているからくたびれて、そう長生きはできないの
でしょう。
私が丈夫なのも、何もしなかったからかもしれません。」
という言葉にも表れている<氏の謙虚な姿勢>や、(今回の展覧会の表題になっている)「お前百まで わしゃいつまでも」の
言葉でも伺える<氏のユーモア精神>によって、創り出されたからかも知れない。
彼は文化勲章の授章者に推挙されたときも、私などはお国の役に立つようなことは何もしておりませんから…と、受賞を辞退
されたとのこと。
展覧会を見終った私たちは、美術館のそう広くないお庭の佇まいを、しばらく楽しんだ。
ここでも、溢れるような新緑が美しかった。
精力的に咲いていた馬酔木の花と、ツバキの新芽。 そして、クスノキの春モミジ。
その後私たちは、Oさんが捜してくださっていた和食のお店「和楽」に行くために、阪急電車をまたいで山側に上って行った。
「和楽」に行くまでに、深田池という小さな池があった。
その水面の様。
「和楽」は建物も落ち着いていてお料理もとても美味しかったが、もうここからは写真は撮らなかった。(ひとりだと、暇に任せて
バシャバシャ撮るのだけれど‥。)
写真の代わりに、Oさんとのお喋りを大いに楽しんだ。
食事が終わると場所を変えて、コーヒーを飲みながら、更にアレコレ語り合った。
この日は、熊谷守一氏の素敵な作品の鑑賞と、友との忌憚のないお喋りで、とても楽しい一日になった。
<追記> Oさんは俳句をされている。
先日(と言ってもかなり前だが)Oさんは沖縄に行かれたので、その時のことが話題に上った。
Oさんは気恥ずかしげに、その時詠まれた俳句のひとつを教えてくださった。
「 海鳴りを 抱く墓域や デイゴ咲く 」
いかにも沖縄らしい情景の中に、沖縄が置かれてきた辛い過去(だけではなく現在もだが)の歴史を、えぐるように
詠まれた素晴らしい句だと思った。
心覚えのためにも、ここに書かせていただくことにしました。