≪フジコ・ヘミング ソロ・リサイタル≫が、コロナの感染者が急拡大している最中の11月15日(日)に、フェスティバルホー
ルで開催された。
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プログラムの表紙を飾る絵も、フジコ・ヘミングさんご自身のもの
私は友人のKさんと一緒に参加したのだが、チケットを取ったのはずっと以前の、コロナが収まっている時期だった。
15日前から現在に至るまで、大阪の感染者の数は急上昇している。
それに、フェスティバルホールは、大阪で一番座席数の多いコンサートホールだ。
さらに、フジコ・ヘミングさんのコンサートということで、ほぼ満席になるだろうことは、容易に想像できた。
怖くないと言えば嘘になるけれど、私たちはもちろんマスクをし、喋らないで聴くことだけに集中して、終わったら(夕食な
どはとらずに)まっすぐ帰るということで、出席を決めた。
会場は一番前の席だけが空けてあって、あとはごくわずかの席を除いて、ほぼ人で埋まっていた。
開演時間になり、フジコ・ヘミングさんが登場された。
男性の方の助けを借り、ご自身も杖をつかれて、彼女らしい独特の衣装に身を包んで。
彼女の正確な年齢は知らないけれど、80歳をかなり過ぎておられると思う。
それに足を骨折されたことを契機に、歩くのが不自由になられていることは知っていたので、その登場の姿を見てもあまり
驚きはなかった。
ただただ、彼女ご自身にとっても私たちにとっても、満足のいく素敵な演奏が最後まで行われますように!と、祈るような
気持ちだった。
しかし、私のそんな心配や祈りが全く不要なものだったということは、すぐに分かった。
彼女がピアノの前に坐られ、一呼吸ついてから鍵盤にタッチされると同時に、彼女の以前と変わらぬピアノの音色が、会場
全体に響き渡ったのだ。
ある時は深く力強い音が、あるときは人の心を震わすような繊細な音色が、会場を満たした。
演目の多くは、彼女が得意とされるショパンやリストのものだったけれど、ドビュッシーやモーツァルトの曲も演奏された。
そして何より驚いたのは、アンコールで、ベートーヴェンの「テンペスト」の一楽章を弾いてくださったことだった。
感染の心配をしつつだったが、フジコ・ヘミングさんの、変わらぬ美しいピアノの音色に身を委ねることができたのは、本当
に幸せだった。
あれから一週間くらい経つけれど、今のところ、発熱も咳も無く過ごしている。
たぶん、感染はしなくて済んだと思って、安堵している。
<11月17日の中津駅前でのスナップ写真>
コンサートとは全く関係ないのですが、17日に駅前に出たとき、あまりにお天気が良く、周りのものが光って見えたので、
思わず撮ったスナップ写真です。
~向かいのビルをクッキリと映したピアスタワー~
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街路樹のケヤキも輝いていた。 街中に植えられたオタフクナンテンも紅葉して。