<2017 大阪工芸展>(2)のブログの後、私はニュートラムから地下鉄・中央線に乗り換えて、「本町」まで帰ってきた。
本来は、本町で地下鉄・御堂筋線に乗り換えて、家に帰る予定だった。
ところが本町に着いたとき、私の中に、ある不安がフッとよぎった。 「ポケットに入れた鍵は、ちゃんとあるかしら?」
私はポケットに手を入れて、鍵を探った。
「無、無い!」
私は愕然としたが、ここは落ち着かなければ!と思い、ホームの空いていた椅子に坐って、リュックサックの中を丁寧に、何度も
何度も捜した。
でも、やっぱり鍵は見つからなかったのだ。
鍵が見つからなくなったのは、ついこの間に続いて、もう2度目だ!
落し物が続いていた私は、その日、鍵と携帯については、細心の注意を払っていた(つもりだった)。
なのに…。
暢気な私も、この時ばかりは、ショックでよろけそうだった。
絶望的な気持ちに襲われたが、何とか気持ちを奮い立たせて、本町の駅長室に行って、事情を話した。
駅長室におられた駅員さんが、地下鉄とニュートラムの遺失物係に電話してくださったが、まだ届いていないとのこと。
工芸展のあった「ATC・ITM館」の電話番号も教えてくださったので、電話してみたが、そこにも届いていなかった。
鍵を落とした可能性がある場所は、地下鉄・ニュートラムを除くと、工芸展のあった建物内と、写真を撮って歩いた港周辺という
ことになる。
建物内ならまだしも、外ということになれば、誰かが見つけて届けてくださるだろうか?
不安は増すばかりだったが、本町でじっと待っていても仕方がない。
そう思った私は、再び地下鉄・ニュートラムに乗って、来た道をとって返し、立ち寄った所をたずねてみることにした。
ニュートラム・トレードセンター駅でトイレに行ったので、まずそこに入ってみたが、そこには無かった。
そこで、事情を言って改札を出してもらい、ATC・ITM館に向かった。
そして一番先に、食事をしたカフェに行ってみることにした。
私はカフェに入って、店員さんたちがおられた奥のカウンターに向かって歩いていった。
すると、なんと、カウンターの中から男性の店員さんが笑みを浮かべながら、私の方に向かって、「これでしょう!」と、鍵を高く
掲げてくださったのだ。
そのときの私の喜びと安堵の気持ちは、言いようのないものだった!
私はお店の方に心からお礼を言い、鍵を受け取って外に出た。
外に出た私は、「今度こそ認知症対策を考えなければいけないな!」と強く思いながらも、沈みかけている夕陽を見ると、私の
中に、「写真撮りたい病」が、ムクムクと頭をもたげてきた。
私は、夕陽に照らされた<さんふらわあ号>から始めて、沈む夕陽や海の様を、次々にカメラに収めていった。
夕陽が沈んだ後の情景。
ここまで撮って、私はやっと、もう帰ろうという気になった。
その途端に、写真を撮っているときには忘れていた疲れが、どっと出てきた。
私は、鍵をなくしたショックと、鍵をなくしたお陰で夕陽を見られた幸せ?がないまぜになった複雑な気持ちで、疲れた身体を
奮い立たせて、帰路についたのでありました。