新年おめでとうございます~~ (^.^)
旧年中は「ぬえの能楽通信blog」をご愛顧賜りましてまことにありがとうございます。
まず昨年を振り返って、昨年の ぬえは、舞台では『歌占』『氷室』を東京で、そして伊豆の薪能で『嵐山』を勤めさせて頂きました。成果としては、まあどの舞台も まずまず、と言ったところでしょうか。悔いが残る舞台がなかったのが救い。そして、この3番の能すべてが チビぬえとの共演の舞台だったのも、これは初めての経験でしたね。稽古も大変だったけれど、お互いに良い経験だったと思います。ましてや チビぬえは「下リ端」「天女之舞」と はじめて覚えることだらけでしたが、どれもまあ よくこなすことができたようです。
どの舞台も失敗はないように取り組んではいたのですが、伊豆の「狩野川薪能」では子ども創作能の指導から当日の後見までこなしながらのシテですので、これは絶対に舞台上で間違えられない、という思いは強く持って勤めさせて頂きました。おかげさまでとくに瑕瑾もなく勤めることができましたが、この舞台はなんと言っても 綸子(りんず)ちゃんという、伊豆の地元在住の、すばらしい才能を持った子方と出会えたために成就できた成果だと思いますね。彼女も稽古で苦しんでいたし、その到達点として、たった一日しかない晴れ舞台を ぬえが傷つける事はさらに許されないです。ところが結果としてはそんな不安はなかった。お互いに相乗効果で より良い舞台を目指す方向へ自動的に一致していったのでしょう。なんとしても ぬえにとっては忘れられない舞台でした。
このときの写真撮影がまた、ぬえには忘れられない思い出です。「狩野川薪能」では、予算の関係でどうしても写真撮影・ビデオ記録には予算がまわらず。。昨年はついに ぬえが東京近郊在住で ぬえを応援してくださっている能楽カメラマンさんに、なかばボランティア状態での撮影をお願いする事態になりました。
ところが、わけても山口宏子さんという能楽カメラマンさんが、それはそれは親身になって ぬえのお願いに応えてくださいまして。それどころか、薪能に向けて ぬえが子どもたちを指導している場面から撮影してあげる、とのありがたい申し入れまでも頂きました。それはつまり山口さんが自費で伊豆にお出でになり、場合によれば宿泊までしなければならない事も意味するわけで。。山口さんには頭が下がるほどの献身的なご協力を頂きました。改めまして深く御礼申し上げます。
結果、山口さんが撮影してくださったのが、再掲になりますがタイトルの画像です。『嵐山』でシテ(ぬえ)と子方二人(綸子・チビぬえ)が一緒に写っている、この曲を象徴する1枚ですが、まあ。。よくあの状況でこんなアップの画像が撮れたものだと感心するほどのアングルで、ぬえのこれまでの舞台写真の中でもピカいちの出来映えですね。稽古の段階から密着して取材して頂けたからこその成果。この画像は山口さんに大きく引き延ばして頂きまして、額に入れて ぬえ家に飾ってありますし、また山口さんが撮影してくださった写真は楽屋や稽古での子どもたちの笑顔のアップがたくさん! これらは子どもたちに配られましたが、わはは~~、今年の ぬえ宛に子どもたちから届いた年賀状は、み~んな山口さんの写真ばっかりだ!(^◇^;)
伊豆の子どもたちとは、例年 ただ稽古、稽古で当日を迎えるわけですが、昨年はみんなうち揃って、「子ども創作能」の主人公のお墓に参詣して舞台の成功を祈念したり、地元・大仁で開催される盛大な花火大会に出かけたり。。信頼関係も育ったのではないかと思います。
そういえばこの「狩野川薪能」はテレビ放映されました! 発起人で総合プロデュースも勤められる大倉正之助さんの追跡ドキュメンタリー番組での、ほんの一部の場面での紹介だったのですが、上演曲はほぼすべて網羅されて(一瞬づつ)放映されましたし、あまつさえ子どもたちのインタビューまで!! これも薪能のエポックメイキング的な事件でしたですね~。