ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆の国市・子ども創作能~みんな、よくやった!(その4)

2011-08-10 01:48:49 | 能楽
控室となったのは地区の集会施設。そこで余裕を持って着替えをして、子どもたち(と、その介添えの保護者)は徒歩で花火大会の会場へ。面白いですね~。普通の街並みを、浴衣や袴や、そうして主役の子は装束を着けて歩いて会場に向かうのですから。徒歩ではわずか2~3分ほどの距離でしょうが、なんだかとっても面白い光景でした。もちろん太刀など、歩いて会場に向かうのには不向きな道具類は ぬえが車で会場に運びました。

会場に着くと、ほかのイベントの時間が押しているかと思いきや、意外や進行はスムーズのようでした。今回のイベントではこれが非常に重要で、花火の打上の前のイベントですから、時間が押してくると打上が遅れる…これは大変~。市民に愛される子ども能でありたいのに、もし花火が遅れることになったら、逆に市民に嫌われちゃいますね。

がしかし、子ども能の出演の前のイベントも早く終わり、主催者としてはオンタイムで次のイベントを始めるおつもりでしたので、なんだか出演前にずいぶん時間の余裕がありましたし、それに従って心の余裕も持てたと思います。主催者からは少し前に ぬえにメールが入りまして、「子ども能を観るために市長さんもすでにステージ前にスタンバイしていますよ~」ですって。よお~し、やるか~

こうして子ども能が開演しました。んん~?なんだなんだ? お稽古よりも数段大きな声でみんな謡えていますよ? 野外ということもあり、今回は子ども能始まって以来のピンマイク着用だったのですが、その数が主役と準主役の二人分しかない、とわかったのが公演の前日。ぬえはそれを公演当日に子どもたちに伝えて、とくに立ち方の役の子はマイクがなくても客席に声が届くようにがんばらなくてはならない、と言いましたが…ん~、これならピンマイクそのものが要らなかったかも。地謡にはスタンドマイクが揃えられましたが、こちらもマイクは要らなかったかもなあ。

そのうえ型は、とっても切れ味が鋭かった。ちょっと子どもとは思えないほど迫力がありましたよ~。今回は主役もそうですが、立衆に当たる武士の役の子の頑張りが印象的でした。スポットライトを浴びる野外のステージで、子どもたちの気合いはキラキラと光り輝いてをりました。

なんと言っても責任感、ですね。役を演じる責任。お客さまの前に立つ責任。これがしっかりと子どもたちの中に芽生えたのが嬉しかったです。

こうして子ども能、今年の第1回目の公演が終わりました。控室に戻った子どもたちに ぬえは「300点」という評価をあげました。それだけの成果はあったと思います。急いで着替えて子どもたちは花火鑑賞へ。ぬえは…装束があれば仕方ないですが、一人で片づけると1時間近く掛かっちゃう。なんとか片づけを終えて、もう一度河川敷に行って…少しだけ花火を観ましたが、子ども能のOBやOGも応援に駆けつけてくれて、しばし同窓会のようにもなりました。

出演を終えた子どもたちを連れて市長さんに挨拶をして、直接お褒めの言葉を頂いたり、子どもたちに夜店のスナックを買ってあげたり。ん~最後まで楽しい思いをしましたが、後ろ髪を引かれながら東京に帰りました。

改めまして、みんな~、良くやったね~

タイトル画像は「静岡新聞」に載った子ども能の様子。いつも報道頂きましてありがとうございます!