ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第16次支援活動<気仙沼市・登米市>(その8)

2013-10-19 23:32:39 | 能楽の心と癒しプロジェクト
じつは明日の早朝から、東松島市および陸前高田市で第17次となる活動に出発致します! ああ。。はやく16次活動の報告を書かなきゃ。。

さてそのうちにプロジェクトのメンバーも起床してきまして、朝食後宿を後にして次の公演地、気仙沼市の反松公園住宅にお邪魔させて頂きました。



こちらの仮設はピアニストの御子柴さんや、昨日鹿折の仮設で一緒に活動した村上緑さんのどちらもご縁があってご紹介頂き、活動させて頂けることになりました。

自治会長さんにご挨拶して、ちょっと早かったのですけれども集会所を開けて頂き、また昨日と同じく市民の起業家ボランティアさんも集合しておのおの準備をしていると。。年輩の住民さんが覗きにやって来られました。聞けば今日の能の催しをまったくご存じないとのこと。。チラシは自治会長さんに事前に郵送してありますが、まさか宣伝がなされていない。。? その場合は集会所から出て仮設住宅の駐車場ででも上演してお客さんを呼び集めようか、などと出演者で話し合ったりもしましたが、それより気になったのはこの住民さんの次のお言葉で。。

「今日はなあにやんだ? もうイベントも多くて、みんな少し飽きてるんだ。。これから先の見通しもねえってのに、一緒に歌いましょう、なんて言われてもなあ。。」

。。震災から2年半も経って、ボランティアさんもめっきり減ったと思ったら、イベントはまだ続いているのだとわかったまでは良いのですが。。慰問のイベントも、住民さんの立場に立ってやるべき、というのはJIN'S PROJECTさんの報告会でも出ていた話題ですが、上演する方も手探り、住民さんも出演者に気を遣い。。という状況は、まだ続いていたのか。ぬえは震災の年の夏頃までの話と思っていました。あの頃はイベントもずいぶんひどいのもあったみたい。。

しかし今日は太鼓のOさんが懇切丁寧に我々の活動を説明してくださって、住民さんも「能? そりゃ珍しいな。。じゃ仲間を呼んでくるから」と集客にお手伝い頂けることになりました。

そうしているうちに住民さんも集まって来られました。どうやらチラシはちゃんと配布頂いていたようです。こちらは ぬえが装束を着るまでずっと一緒に遊んでいた小学生の住民ちゃん。



朝10時開演の今回の上演曲は『龍田』でした。はじめての場所では大概有名な『羽衣』を上演するのですけれども、この日は起業家ボランティアさんが昨日に引き続いて支援活動をされるので、昨日とは違った曲の方がよいかなと。



終演後は恒例の囃子の体験会と装束の着付け体験コーナー。







そして、起業家ボランティアさんたちの支援活動が続きます。











ぬえたちは急いで次の公演地である登米市に向かって出発しなければならなかったため、あとは起業家ボランティアさんにお任せして出発しましたが、いや大歓迎といえる温かいお見送りを頂きました。

起業家ボランティアさんの支援活動も大盛況で、とくに米倉さんの「足ツボマッサージ」は順番待ちの行列ができて、午後までずっと活動していたそうです。で、その米倉さんからあとで報告を頂きまして、住民さんも「最初は能なんて難しいかと思ったけど、良い人ばかりで安心した。楽しかった」(大意)と言って頂いたみたい。気仙沼で仮設の活動は久しぶりでしたが、2カ所の仮設で大変歓待して頂きました!

(撮影:前島吉裕)