小田原周辺のマイナースポットや些細な出来事を少しずつ
小田原の端々



小説を読むのが好きでジャンルを問わずに乱読している。小説を選ぶ際には書評や文学賞などを参考にしていて、昨年読んだ直木賞受賞作の小説の中に小田原が舞台として登場していた。 2006年に刊行された三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」は第135回直木賞を受賞した小説。以降、本屋大賞を受賞するなどの人気作家の代表作の中に小田原がほんの少しだが登場する。先日、「まほろ駅前多田便利軒」の中に描写されている小田原の各所へと出かけた。大まかなストーリーは割愛するが、便利屋を営む主人公が夜逃げをした依頼人を探しに東京から小田原へと訪れるシーンが9ページほど描かれている。小田原東インターチェンジで小田原厚木道路をおりた主人公は「酒匂川を越えたところで、ガソリンスタンドに入った」とある。酒匂川を超えるための橋は飯泉橋・小田原大橋・酒匂橋などあるが普通に考えると小田原東インターチェンジ下りてすぐの国道255号沿いを飯泉橋方面へ渡ったものと推測される。酒匂川を超えたところのガソリンスタンドに該当するのがダイヤ昭石小田原飯泉橋SS。小説中ではガソリンスタンド店員に周辺の地理を尋ねているが現在は店員の姿はほとんど見えないセルフのスタンドになっている。酒匂川を越えたところにあるガソリンスタンドから主人公は「大雄山線というローカル線と私鉄の箱根急行線に挟まれて、細い三角州状の住宅地はあった」場所へと向かう。作中では小田急線は箱根急行線として描かれているのでとりあえず小田急線と大雄山線が交差する場所へ。大雄山線五百羅漢駅の北側、扇町5丁目付近で小田急線と大雄山線が交差している。 2つの路線に挟まれ三角州状の住宅地に該当する場所は交差部分周辺の半径200mほどの場所と考えられる。作中の描写では「マンションと古いアパートの電灯が、暗い畑の向こうに青白く延々と連なっている。踏みこんだら二度と帰れぬ、燃える夜の森のような光景だった」と描かれている。とりあえず該当エリア内で畑を探すと五百羅漢駅西側の一画にしかない。小説中の大仰な描写にぴたりと当てはまる場所はなかったが、手前が畑で三角州状の住宅地というとこのアングルが一番近いと思われる。小田原の中でも特別に何か有名な観光スポットがある訳でもない扇町5丁目付近が何故小説に登場したのか定かではないが、作者の三浦しをんさんの母方が小田原の人なので扇町5丁目周辺になにか土地勘があったのかもしれない。今回の探索もなかなか楽しかった。

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