サイクリングに出るのもよさそう。菜の花の咲き始めた城原川の川土手を南へ南へと下って行く。千代田に出て蓮池に出て、諸富に至る。ずっと川土手を走って行ける。自動車が来ないので安全だ。城原川はこの辺りで筑後川と合流をする。筑後川ももう下流だ。川幅が大きい。もうすぐ行くと木工芸の盛んな大川だ。工場や店舗が建ち並ぶ。作曲家古賀政男記念館がある。「影を慕いて」は名曲だ。
行きはよいよい帰りは恐い、だ。長い長い坂道を上って帰ることになる。途中でスタミナが切れて何度も自転車を降りる。
真夜中２時に目を覚まして、６時半までお絵描きに専念して、それからまたベッドに潜り込んで２時間ほど眠った。朝ご飯は久しぶりに納豆ご飯にした。今日はなにをしようか。１０年ほども前に描いていた絵が見つかった。薔薇を描いていた。やや大きめの画用紙に。空いていた額に入れてみた。家内にも見てもらった。ちょっと自慢げに。１０時半。このまま絵を描いて過ごしてもいいな。
いかにも、いかにも、立春にふさわしい。いい天気だ。風が少しある。畑の小松菜の細長野葉っぱがゆうらりゆらり揺れている。日の光が部屋の中にも射し込んで、ほっかりあたたかい。ベランダで洗濯物がスローテンポで回っている。空に浮かんでいるのは眩しい目の雲たち。みなマフラーを流している。ヘリコプターが飛んで地響きがしている。もう通り過ぎた。みいんなみんな静かになった。
おはようございます。悪夢を見て息苦しくなって目が覚めた。もう寝られない。あんな夢はごめんだ。外へ出て思いっきりバケツの水を身に浴びて洗い流してしまいたくなる。己の悪行が己に悪夢を見させたのであろう。慚愧する。悔いて、声に出して詫びる。夜中の廊下をうろうろ歩き回る。落ち着きを得た後、炬燵に座る。ふたたび仏画を描き直し始めた。やり直しだ。デッサンだけで２時間が経過した。描いては消し描いては消す。そろそろ４時半になる。手を止める。新聞が玄関の郵便受けに投げ入れられた音がして、立ち上がって取りに行った。
外に出てみた。雨は止んでいる。空気があたたかい。ああ、そうだった、今日はもう立春だった。
