8
100年経ったら、しかし、わたしの住んでいるところは、どうなっているのだろう。人が住まなくなって森になっているのだろうか。我が集落も人口減が確実に進んでいる。空き家が増えた。お年寄りが一人で暮らしている家も多くなった。そうでなくても、向こう三軒両隣、高齢者高齢者である。この高齢者が死んでしまえば、何処も此処も空き家空き家になって行くだろう。
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100年経ったら、しかし、わたしの住んでいるところは、どうなっているのだろう。人が住まなくなって森になっているのだろうか。我が集落も人口減が確実に進んでいる。空き家が増えた。お年寄りが一人で暮らしている家も多くなった。そうでなくても、向こう三軒両隣、高齢者高齢者である。この高齢者が死んでしまえば、何処も此処も空き家空き家になって行くだろう。
7
やがてお返ししなければならなくなる時が来る。刻々と近づいて来ている。わたしのものだ、としてきたのが、そうではなくなるのである。家も土地も、所有しているのだが、所有権をほどなく放棄する。(正確に言えば、家も土地も、女房殿と共同所有になっている)ほどなく、というが、明日かも知れない。今夜かも知れない。スケジュール表には載っていないが、早晩必ず来る。此処を死んで去って行かねばならない。裸で生まれて来たので、自己所有といっても、あくまで仮の取り決めに過ぎないのだ。元の無所有になる。原点に戻って行く。だから、執着はしていない。
6
炬燵で寛いでいる。珈琲を淹れてもらった。砂糖は要らない。娘が昨夜夕食後に焼いたクッキーをおいしく頂いた。乾し葡萄入りだった。丁度いい甘さだった。珈琲は好きな方である。一度、癖になったことがあった。一日に何杯も飲まねば気が済まないようになっていた。でも、修正が効いた。その後、珈琲を飲む習慣がなくなった。でも、ときどきこうして淹れてもらう。やはりおいしい。ほっとする。
日が幾分か長くなったようだ。もうすぐ夕方6時になるのに、まだ外は、祇園山の頂が見えるほどには、明るい。風が吹いている。今夜辺り冷えて来るかもしれない。
5
野良仕事をしたというよりは、畑と野菜に遊んでもらったようなものである。
この老爺は人様と気軽に遊べない性質である。だから、中々人の中には入らない。人に合わせようとして、合わせきれない。疲れる。野菜となら気楽に遊んでいられる。いつまででもそうしていられる。それでうまい具合、リフレッシュができる。
この老爺は、一人遊びしか出来ない。大人になっていないのである。社会人としては、これでは失格である。
4
そこへいい具合にお客さんが来られたので、収穫物を差し上げることにした。あらたに、大根、白菜、九条葱、チンゲンサイ、山東菜、高菜も畑から引いて加えた。冬野菜はこれから薹が立つ。花を咲かせる。腐って行く。食用にするには、もうほぼ限界点に来ているのである。だから、もらって頂く人がいい人なのである。
ブロッコリーも、今年は順調に大きく育っている。これも1ダースほど収獲した。車に積んで、親類の処へ行き、これらの数種類のセンジャーモン野菜かれこれをお届けして回った。親類の家の玄関の前に籠ごと置いて来ただけなんだけど。
3
その後、小葱の畑へ回り、庖丁で根元近くから摘んできて、日の射し込むベランダに運び、これもまた辛抱強く枯れ葉を落として、揃えた。けっこうな時間を要した。野菜市場に売りに行ってもいいほどに青々と勢いよく育って立派である。ぷりぷりして弾んでいる。施肥を怠らなかったお陰だろう。小葱は刻んで冷蔵庫に保存しておく。お昼のうどんやラーメンや、朝の味噌汁に加える。重宝する。
2
これを大きな竹笊に入れて運んで来る。風がけっこう吹いて畑中は寒いのである。そして風の当たらないベランダで、笊から下ろす。庖丁で株元を切って、土を落とす。丁寧に枯れ葉を落として、揃える。水洗いする。後は、水が切れるまでお日様に乾かしておく。この一連の作業をした。日向ぼっこも兼ねていた。時間がたっぷりある老人の遊びである。義務ではない。命令されているわけでもない。
1)
午後からしばらく畑に出て遊んだ。成育していたホウレン草を収穫した。ホウレン草は手で掴んで掴み上げても、持ち上がらない。しっかり根を土の奥深くへ下ろしている。葉が細くて嫋やかだから、株元で簡単に切断されてしまう。だから小さなスコップを使って根ごと掘り上げてやらねばならない。手が真っ黒に汚れる。小さな丸い椅子に座りながら、ゆっくりこの仕事をこなした。
わたしの今日の即興詩 2 「ポルカ」
1) 遊んで遊んで遊んであげて/遊んで遊んで遊んでもらう/春の小径があたたかい
2) おぶっておぶっておぶってあげて/おぶっておぶっておぶってもらう/古いお城の石畳
3) 見つめて見つめて見つめてあげて/見つめて見つめて見つめてもらう/青い目の色空の色
4) 踊って踊って踊ってあげて/踊って踊って踊ってもらう/ポルカの曲は疲れない
5) 誘って誘って誘ってあげて/誘って誘って誘ってもらう/街へ野原へ何度でも
6) 教えて教えて教えてあげて/教えて教えて教えてもらう/楽しい暮らしの暮らし方
7) さわってさわってさわってあげて/さわってさわってさわってもらう/生きているのよほんとうよ
*
これは時間が掛かってしまった。1時間は掛かったかなあ。ロシア民謡ふうかなあ。曲つけたら踊れそう。
わたしの今日の初めての即興詩 「立春」
1) わたしの首のスカーフに遊ぶのは光の右手/スカーフはくすぐったくてたまらない
2) わたしの胸のセーターに遊ぶのは左手の方/セーターはくすぐったくてたまらない
3) わたしの腰のスカートに遊ぶのは風の右手か/スカートはくすぐったくてたまらない
4) わたしの脚のソックスに遊ぶのは左手の方/ソックスはくすぐったくてたまらない
5) わたしの髪の黒髪に遊ぶのはたくましい指/黒髪はくすぐったくてたまらない
6) わたしの春の立春に遊ぶのはわたしの思い/立春はくすぐったくてたまらない
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童謡ではなさそう。いろっぽ過ぎそう。こんなニューミュージックってないのだろうか。切ないバイオリンの音色に合いそう。