(か)
後は寝るばかりよ。寝るばかりよ。わたしが寝るまでを導いてくださいました善意宇宙さまに、お礼を申し上げます。わたしは傲慢の申す通りに一日を傲慢に過ごしました。一日の我が傲慢をお許し下さいませ。
(き)
去年の梅酒をお湯割りにして飲んでみた。上品極まるあじわいだ。香もいい。甘すぎない辛すぎない。ウイスキーもワインも焼酎も、敵わない。1年寝かしただけで、こんなに、いい出来上がりに到着するのか。
(く)
もっとましな生き方はないか。へ、ありませぬ。もっとましな生き方などはありませぬ。今日過ごしたわたしの生き方で、わたしは最高でありました。不平を宿さないでいると、それはいつも最高の味わいとなりまする。
(け)
不平を抱けるほどの我か。その句を掲げておりますと、大概の傲慢が尻尾を垂らしまする。頂くものを頂いている我が身で、その我が身の過分すぎる暮らし方で、不平は抱けるはずはないのであります。
(こ)
不平を抱けるはずもない人間で有りながら、それでも傲慢といっしょに連れ添って暮らしておりまするから、不平は口をついて出て来るのであります。申し訳のないことであります。ぶつぶつぶつぶつ、蟹の口元の泡ののような傲慢と不平の数々であります。