おっはおっはようございます。やっと雨になっています。夜明け方は嵐していました。風の勢いが強いので、音が空を舞っていました。夜中に雨がたっぷり降ったようです。土の乾きはおさまったでしょう、これでともかく。畑の夏野菜たちがよろこんだでしょう、きゃあきゃあきゃあ、ああ嬉しいああ嬉しいと声を立てて。
今日のわたしの即興詩 「夏風」
風よ/今日わたしはあなたに/初めて出遭う/昨日も一昨日もそうだった/どうしてこうも/遇うごとに初めてのことなのだろう
ふたりは/たがいに今日を初めて生きています/だから一億年先の未来に/またもう一度出遭っても/それは今日なのです
今日の中に一億年先も/それからその反対の/一億年前も/包含されているのでありました/今日という一つの現在に
風よ/風よ/風よ/一億年先も無用にしてしまった風よ/一億年前も無用にしてしまった風よ/今日という一つの現在を吹いている風よ/涼しい夏風よ
文字は考えるための道具。これで考えている。考えるということは、それを目にして、己を見るという作業。これをしていると、<いまおれは生きているんだなあ>という実感に遭遇する。淡いけれど。淡い泡のようなものだけど。泡が消える。でまた泡を吐く。ブログという泡を吐く。泡は海の底からぷくぷくしながら海面へ辿り着く。そこで消えてくれる。
1
室内の気温27℃。湿度70%。凌ぎやすい。それで、目がゆるんでいる。眠くなっている。5時起きだったから、いまになって、緊張の糸がゆるんでいる。
2
新聞に一通りざっと目を通した。一段落した。寝てもいい。いいご身分だ。まだ午前中なのに、このていたらく。老人とはいいものだ。こんなにいいなら、はやくなればよかった。
3
そうなのだ、<よくぞ老人になりにける>だ。窓の外を白い蝶々が行く。蝶々もふらりふらりしている。
4
老人の生活の半分はいいこと、半分はよくないこと。老醜と老人臭を振りまくのはよくないこと。朝早く勤めに出ていかなくていい。ここはいいところ。
5
軽々としていられることはいいこと。無責任でいられるのもいいこと。ほんとは社会的責任があるんだろうけど。後続の人たちに愛情を注ぐという役割があるんだろうけど。
6
村の長老の顔をするのはよくないこと。頑固なのはよくないこと。威張り散らさないで身を退く。ご隠居さんになる。一人を愛する。これでいいのだろう。
7
どこからか風鈴の音。ちりんちりりん。風鈴は全体が口。口でもっぱら風を食って、それを心地よい響きに作り直して、大空に返す。そうやって暑い夏を、涼しくする役目に、就く。たいしたもんだ。
(か)
雨が降り出しそう。降り出しそうだけど、降り出さない。じれったい。曇ったり晴れたりする。今は、曇り空。雨の飴をくれそうで、くれない。やきもきする。ふん。
一雨来てくれないと田に水を張れない。ダムの貯水量もずいぶん減っているらしい。我が家には田圃はない。米作りはしたことがない。家の周囲の畑に野菜を育てている。これをして余生を楽しんでいる。畑の土もやはりカラカラに乾いている。雨が欲しい。日々、井戸水を汲み上げて水遣りをしているが、井戸の水だって涸れてしまいかねない。
(お)
朝方、庭に咲いていたテッポウユリを切り花にした。仏壇にお供えする。一輪だけだけど。部屋中いい匂いが満ちる。虫ならずとも引き寄せられてしまう。
このいい匂いはなんのため? 虫を寄せるためだけ? ユリにはいろいろ仲間がいるが、このテッポウユリは、いい匂いを放つという技を磨き上げた。技によって魅力を増し加えた。花の形は細長く、しかも横向き。雌蘂はしっとりと濡れている。その周りに複数の雄蘂が取り囲む。
花を飾って美しがるけれども、これは植物の生殖器なのである。ここで交配をする。そして種を残す。子孫を残さないという意思選択はしない。自ずからにして残す仕組みだ。ここもふしぎである。
(え)
「愛名(あいみょう)は犯禁(はんきん)よりもあし」と道元禅師は、禅の修行に励む人たちを、窘(たしな)めておられます。「愛名」は「名利に愛着すること」「天狗の鼻を長くすること」です。「犯禁」は「してはならないことをすること」「戒めを破ること」です。
社会生活を送っていて、禁を犯したら、罰せられます。刑の執行を受けます。愛名には、しかし、それがありません。むしろ、勲功を立てたものは褒められ、勲章すらも与えられます。でも、禅の道では、愛名は犯禁よりも悪いことだ、と禅師は叱っておられます。「おれは、えらいんだぞ」の競争をするために、人間を生きているのではないはずです。この罠に落ちては仏道が歩めないということを、弟子たちに示されているようです。
(う)
ホウレン草がこんなにも好きなのに、畑で育てるのが下手です。種を蒔いてもなかなかうまく育ってくれません。どうしてなんでしょうね。
先日、友人宅へ行ったら、ちょうど友人の奥さんが畑からホウレン草を引いて、ゆさゆさ胸に抱くようにして帰ってこられました。それがとても立派だったのです。緑滴っていて生き生きしていました。わっ、ほしいなあと思いましたが、ぐっと怺えました。我が儘を言うべきではないと考えたからです。あれは、その日の夕食の卓に列んだだろう。友人はきっと舌鼓を打っただろうなあ。
(い)
朝ご飯は今日もお粥にしました。家内に作ってもらいました。喉の通りがいいですね、粥は。ほうれん草のお浸しが添えてありました。醤油を垂らした鰹の削り節を載せました。ホウレン草が大好きです。漫画映画のポパイのようです。ポパイのように食べたらすぐに元気盛り盛りに力瘤が膨れてきたりはしませんけれど。
家内は、目医者さんに行くと言って出掛けて行ってしまいました。一人でゆっくり朝ご飯して、最後にお茶碗を洗って、後片付けを済ませました。これも嫌いじゃないのです。
(あ)
8時半の朝ご飯。だから、3時間近くは畑にいたことになります。畑にいるとあれやこれやとするべきことが見つかります。それであれやこれやに従事していました。こっとりことりこっとり、と。気儘に。命令されてするのであれば、嫌気が差すのでしょうが、こっちが見つけてしている野良仕事ですから、何をしていても楽しいのです。少なくとも嫌ではありません。