小兵力士の翠富士関が千秋楽の今日も肩透かしの技を見事に決めた。実に見事に決まった。胸が空いた。これで三賞のうちの一つがもらえることになった。インタビューのにっこり顔がよかった。すがすがしかった。晴れ晴れとしていた。今場所はこの技を繰り出して5勝を上げているらしい。彼は新入幕の力士。堂々たるものだった。見ているこっちまで元気旺盛となった。
ファンになりそう。
小兵力士の翠富士関が千秋楽の今日も肩透かしの技を見事に決めた。実に見事に決まった。胸が空いた。これで三賞のうちの一つがもらえることになった。インタビューのにっこり顔がよかった。すがすがしかった。晴れ晴れとしていた。今場所はこの技を繰り出して5勝を上げているらしい。彼は新入幕の力士。堂々たるものだった。見ているこっちまで元気旺盛となった。
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死者舎弟は我が肉体を住所とす 一つ暮らしの夜な夜なの夢 薬王華蔵
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新聞の読者文芸にこの作品を投稿していたら、めずらしく入選していた。
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弟は死んでいるので肉体を持たない。住所がない。で、、兄の僕の肉体を住所としている。肉体は10畳ほどもあるから、二人で共同生活しても狭いということはない。座布団を二つ、湯飲みを二つ用意しておけばいい。
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昼間は互いのことをそれほどに意識していないらしいが、夜になるとそうでもなくて、夢舞台を展開する。それも毎晩となる。どうもこのところは二人で一人の暮らしぶりらしい。
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弟が生きている間は、よく口論をした。仲違いもした。しかし、いざ死なれてみると口論も仲違いもできない。両者ぴったり寄り添っているしかなくなったらしい。守ってもくれているのだろう。助けてもくれているのだろう。夢に現れて、存在感を見せて来る。
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その実は、一人芸なのだろう、きっと。ただ一方的に兄が弟を恋しく思っているだけのだろう。だからだろう。夢に呼び出しをしているのだろう。弟とはよく仏教の話をした。話をし出すと延々と続いた。白熱した。共感共鳴した。それができなくなって、寂しがっているのだろう。
あの人に思われている。思われているんじゃないかな。そんなふうに自分勝手に想像をたくましくしてみる。すると、嬉しくなる。
フィクションなのに嬉しくなる。それからしばらくどんどん嬉しくなって来る。
おかしな男だ。
「あの人」などといえる具体的な人がいるわけでもない。あくまでも仮定法の仮定だ。「仮定的あの人」だ。顔もない。身体がない。声もない。笑いもない。
一人でいたくないのだろう、きっと。誰かに思われていたのだろう。思ってくれる人がほしいのだろう。その人を「あの人」と呼んで、声を掛けてしたしく思ってみたいのだろう。
ともかくおかしな男だ。
ほんとうのところは、誰からも思われていないという恐怖感に耐えているのだ。それがそんな奇妙な言動を起こさせるのだ。
いやいや、これまでなんだかんだと述べてきたが、この男は、つまり、誰かを思っていたいのだ。思うという行動そのことを火にしてあたたまりたいのだ。それで架空の「あの人」なんかを登場させてきて、逃げ切りを図ったみたのだ。
人が人を「思っている」、人が人に「思われている」、そのどちらに回っても、人は生きる勇気を二倍にも三倍にもすることができる。
1月24日、日曜日。雨の音はしていない。上がったのかなあ。気温は低くない。
まもなく8時。腹が減ったよ。これから朝ごはん。
今日は何をしようか。何をしてもいいから、嬉しくしていよう。楽しくしていよう。
土がまだ湿っているだろうから、畑には出ていけそうもない。たぶん、読書をして過ごすことになりそう。