にっこりとしている人が歩み来る 山鳩暮風
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これは川柳のつもり。575にはなっている。
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わたしはどきどきしてしまう。わたしに何の用だろう? ともかくわたしもにっこりとする。二人が立ち止まる。立ち止まるまでの時間が、美しい永遠の時間を提供する。
ふたりは同時に「あなたに逢いたかったよ」の水鉄砲を発射する。水が足下に落ちて爪先を濡らす。そんな空想に遊ぶ。
人生の中でそんなシーンが何度か訪れていたかもしれないが、それはしかし、どんなドラマをも惹起しないで終わった。それで結局は老いて老いた。
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やはり落選に相当する作品のようだ。入口が塞がれていては、奥まで進めないからだ。
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にこりせよわたしに人が歩み来る
これだったらどうだろう? やっぱり川柳にはならないか。ううん、やはりなりそうにはないようだ。