「みちのくの小京都 岩手 遠野」
柳田国男の「遠野物語」の舞台となった土地として、誰もが一度は聞いたことがある地名ではないだろうか。
カッパ、ザシキワラシ、オシラサマ、雪女…。
遠野物語は、遠野出身の佐々木喜善が語った遠野に伝わる多くに民話に興味を持った柳田が、明治末期にまとめあげたものだ。
この著作によって民間伝承は民俗学までに引き上げることになった。
民話の故郷へ向かうには、東北新幹線の停車駅や空港がある花巻から乗り換えて岩手県の山々に囲まれた内陸部に入る。遠野物語では「花巻より十余里の路上に町場三ヶ所あり」と紹介されている。当時は足を運ぶのも困難な土地であったようだ。
物語に登場するカッパ淵、キツネの関所などを思い浮かべると、途中の景色も何となく不気味な雰囲気を感じてしまうのも不思議なものだ。
昔話の伝承者である語り部による方言が豊かな昔語りは、今も伝承されており、観光客でも「とおの昔話村」などで聞くことができる。
今は古参道跡しか残っていないが、遠野物語にも登場する信仰の山、早池峰山にも時間があったら登ってみたい。
同じような東北の風景の中でも「ここだけは別のような気がする」のは、やはり遠野物語の影響だろう。
=岩手県の小京都・遠野市の観光ポイント=
「女性に人気」の観光地
昔話や民話好きの女子に人気。「遠野物語」の世界観も各所にある。
デンデラ野
遠野市の山口地域に広がるデンデラ野は「姥捨て伝説」として知られる観光地。かつては「連台野」と呼ばれており、これが訛って「デンデラ野」になったとされる。「遠野物語」では六十歳を過ぎた老人達をこのデンデラ野に追いやる風習があり、老人達はここで自給自足の生活をしていたと言われる。現在は田園が広がっており、遠くに見える民家や自然豊かな恵みなどのどかな景観が広がっている。
遠野ふるさと村
遠野の昔ながらの自然を再現した、体験型テーマパーク。遠野の風情が残る古民家をいくつも移設しており、時代劇などの撮影現場としても頻繁に使われている。古民家のほかに、木工、陶芸、炭焼きなどの昔ながらの生活を体験できる建物も併設されている。季節ごとに「どべっこ祭り」などの伝統行事を体験できるイベントが企画されている。
カッパ淵
遠野の河童伝説発祥の地である「カッパ淵」。常堅寺裏を流れる小川の淵には河童が棲んでいて、人々にいたずらをして驚かしていたという伝承が残っている。岸辺にはカッパ神を祀った祠があり、子持ちの女性がお乳が出るようにと願かけをすると叶うといわれている。
伝承園
民話の地、遠野にある、かつての農家の生活様式を後世に伝える施設。ここでは昔話や伝承行事、民芸品の制作などを体験することができる。また養蚕もしており、毎年、おしら様祈願祭が行われる。イベントとして語り部による遠野の昔話を常時開催(有料・要予約)。園内には遠野の郷土料理を堪能できる食堂の他、「遠野物語」の話者を勤めた佐々木喜善記念館や御蚕神堂(オシラ堂)といった施設がある。
とおの物語の館
遠野で語り継がれている昔話の世界を、映像や音声によって体感できる博物館。シアターや映像ライブラリー、絵本コーナーもあり、大人も子供も楽しめる設備が充実。かつての造り酒屋の蔵を利用した劇場「遠野座」では、語り部による昔話や、郷土芸能などが鑑賞できる。
などなど。
京都の影響を受けた伝統の「お祭り」が今も続く
遠野さくら祭り 4月21日~5月5日
「南部氏遠野入部行列」など