第109回 2015年11月24日 「北の大地 あたたかな器~北海道 札幌・江別の焼き物」リサーチャー: 芹那
番組内容
土のあたたかみを感じさせるマグカップや、大地に生きる野草の美を封じ込めたような絵付けの皿が今、大人気だ。これらのイッピンは、北海道の札幌市・江別市で作られた。いずれも地元で採れ、赤レンガの材料となる粘土を使っている。故郷への愛情がこもった器なのだ。土の風合いを生かす成形のワザとは?草花が器に溶け合うかのような絵付けのヒミツとは?北の大地が生んだ、知られざる焼き物の魅力を、芹那がリサーチする。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201511241930001301000 より
北海道の街は、煉瓦造りの建物が目立っています。
「北海道庁旧本庁舎」の他、平成26(2014)年夏にできた、北海道庁赤れんが庁舎前の歩道「札幌市北3条広場(アカプラ)」も、
「江別のれんが」が使われています。
江別市は札幌市の西隣にあります。
千歳川が石狩川に合流するという水運に恵まれた所で、消費地の小樽や札幌に近く、また「野幌粘土」が採掘できることから、明治24(1891)年頃から煉瓦の製造は始まりました。
現在、国内で煉瓦を製造しているのは、江別市内の3社と、他は愛知県や広島県くらい。
その中でも江別は厳しい寒さでも耐えうる強度を誇り、世界的にも高いレベルだそうです。
「江別のれんが」は平成16(2004)年に北海道遺産に認定されました。
1. 米澤煉瓦
昭和14(1939)年創業。
地元の粘土を使い、1日に1万~2万個を製造しています。
取り扱っている煉瓦の種類も30種類以上だそう。
窯は徐々に温度が高くなるようにトンネルの様になっていて、ヒビ割れが防ぐことができるんだとか。
75m程の釜の火を3月から12月上旬まで落とさず、1200℃近い温度で50時間かけて焼き上げています。
「丈夫なれんがは高温で焼ける原料が必要。 野幌の原料は鉄分を多く含んでいて、赤い色を出すのにも適している。」(米澤照二社長:談)
2. 陶芸家・山田雅子さん
北海道・札幌市などでは、そのレンガの土を使った器が注目されています。
山田雅子さんは、北海道を拠点に活動されている陶芸作家。
陶芸用としては少々扱いにくい「野幌粘土」にこだわり、土の特徴を生かした、自然で温かみがあり、料理映えするシンプルな器に
こだわっています。
「鎬(しのぎ)」と呼ばれる表面の縞模様も、ご自身の手によって一本一本削り、浅さなどを全て一定にすることで綺麗に模様としています。
ざらりとした素朴な風合いは、褐色の素地に白化粧を施した「粉引(こひき)」ならでは。
映画 『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』で使用されたことから、ファンの方も沢山いらっしゃいます。
映画に出てくるかぼちゃのポタージュで使われた器
3. 陶芸家・新林祐子さん
陶芸家・新林祐子さんも地元のレンガ土を生かし大地に生きる野草の美を封じ込めたような作品を制作されています。
新林さんは、平成7(1995)年に「なな窯土裕陶房」を開窯しました。
「ナナカマド(七竈)」は、北海道江別の木であり、7回カマドに入れても燃えないしぶとさと花や実の華麗さに引かれて窯名としたそうです。
*http://atmarymead235.seesaa.net/article/446664116.html より