「 313 chigiri ちぎり」
秋田県大館(おおだて)市の国指定伝統工芸「大館曲げわっぱ」は、
樹齢200年以上とも言われる秋田の宝「天然秋田杉」を原材料としています。
この曲げわっぱの製造過程で出る小さな端材をリプロダクトしたブローチです。
「ちぎり」という名前は、木材加工や家具製作で用いられる部材、
「契(ちぎり)」の形に由来しています。
秋田杉の質感や香りを感じていただけるよう、
ひとつひとつ手作業でつくり、蜜蝋と植物油だけで仕上げています。
*https://nanakamado.theshop.jp/items/48453536 より
ミナトファニチャー秋田県能代市富町14-16
秋田県能代市。木都と呼ばれた木の街で注文家具を作っています。手作業にこだわり、木組みで作る注文家具です。
製材屋さん、銘木屋さんが近くにあるため立派な一枚板も手に入ります。
お客さまのイメージに近づける為に、模型やイメージCGで、ご提案をさせていただいています。お気軽にご相談ください。きっとお客さまのイメージしている家具が見つかるはずです。
*https://www.chilchinbito-hiroba.jp/shop/05_04_0009/ より
WAPPA PROJECT(仮訳)
秋田の地域産業とクリエイティビティから生まれる新たな産業
日本の東北地方に位置する秋田県は、2013年4月に秋田公立美術大学が誕生するなど、地域の伝統・文化を活かして世界へ発信できる人材の育成に力を入れ、近年伝統工芸の分野で注目を集めている。
大館曲げわっぱは秋田県を代表する伝統工芸の一つだ。古くから大館市で生産され、わっぱの「わ」は「輪」。木材の板を熱湯に浸し、柔らかくしてから曲げて円筒状にする。
原料となる天然秋田杉は、厳しい寒さの中で緩やかに成長するため年輪が密になり、まっすぐで美しい柾目が魅力。一目見てそれとわかる独特の繊細な木目が、おおらかな曲線を描いて「輪」となり、接着面を縫いとめる赤茶色の桜皮が目を楽しませてくれる。
杉の持つ防腐効果で食べ物が傷みにくく、吸湿性にも優れているため、曲げわっぱの米びつや弁当箱は米飯と抜群に相性が良い。最近、日本では市販のお弁当に代わって自分で弁当を手作りするのがブームになっているが、これが追い風となり、いまや大館曲げわっぱの弁当箱は、生産が追いつかないほどだという。
このような状況の中で、秋田県出身の3人がこの伝統工芸に新たな価値を生み出し、現代の生活に溶け込むプロダクトの開発を進めるべく「WAPPA PROJECT」を設立した。石山拓真氏は大館出身のクリエイターたちによるアートプロジェクト「ZERODATE(ゼロダテ)」のプロジェクトリーダー。ZERODATEは、DATE(日付)を「ゼロ」にリセットし、新しい大館を創造するという活動だ。秋田市出身の田宮慎氏は角度を変え、ときに形を変えながら地域の魅力を可視化させ、事業や商品を内外に発信していくcasane tsumuguの代表で、「WAPPA PROJECT」のブランディングや市場開拓を担う。そして注文家具屋ミナトファニチャーを営む湊哲一氏は商品デザインと制作を担う。湊氏は秋田杉を中心とした木材産業が盛んな能代市出身。「木に関わる仕事をしているのに、故郷に関わっていない。何かできないかと調べたらゼロダテの存在を知りました」と話す。
湊氏が考案したWAPPA PROJECTの「Wa MIRROR」は大館曲げわっぱを二重巻きにすることでフレームに現代的なボリューム感を与え、釘や接着剤に頼らず、複数のわっぱに鏡をはめ込んで作られている。曲げわっぱ部分の製作は地元の大館工芸社が製作。シンプルかつ優美な「Wa MIRROR」は、2013年度グッドデザイン賞を受賞した。
人・地域・資源などのつながりを目指すWAPPA PROJECTの象徴ともいえるのが、わっぱを作るときに生じる端材を活用したブローチ「chigiri」だ。身につけられるものを作りたいと考えていた湊氏が、木材の割れを防ぐための木工ちぎりに着想を得た。中央から左右に広がる蝶々の形をとるため、英語では「バタフライ・キー」と呼ばれる。日本語で「ちぎり」には契り(縁、約束)という意味も込められているという。彼はシャツに付けられたchigiriを指し「これを身につけているとよく人から話しかけられる」と言う。そして、そこから秋田杉やわっぱの話になる。「日本の人も海外の人も、まずは『chigiri』を通して秋田杉の香りや手触りの温かさ、秋田の地域産業のストーリーに触れてもらいたい」と田宮氏は言う。
彼らは、海外にもストーリーが伝えられるように情報を多言語化して発信することも目指している。すでに彼らの取り組みに共感した台湾の会社は、継続的に台湾での販路開拓をサポートしてくれている。
WAPPA PROJECTでは、クリエイターたちの情熱が地域資源や伝統が持つ力強さと組み合わせて未来の新しい工夫を作成していく。 大田祥子
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