「みずたたき(とろろ)」
主な伝承地域 奥羽山系・北上山系地域
主な使用食材 みず、味噌、みりん、醤油、砂糖、のり、ねぎ
歴史・由来・関連行事
秋田県との境にある奥羽山系は寒さが厳しく雪が多い地域であるが、豊かな山の幸にめぐまれており、春は山菜、秋はきのこ、また川魚などを活かした郷土料理が多く存在する。「みず」はイラクサ科ウワバミソウ属の植物で、山地の水のきれいな沢沿いなどに群生する山菜である。葉の色は濃い緑色で、茎は根元にいくほど赤みがある。秋には葉の根元に「むかご」という小豆のようなこぶができ、それも食べることができる。「みず」は正式名を「ウワバミソウ」といい、名前の由来は、ウワバミ=大蛇がいそうな湿地に生えているからと言われている。
「みずたたき」は、根元の赤い部分をたたいたり刻んだりしたものに味噌、しょうゆなどで味をつけたもの。すり鉢ですったものは「みずとろろ」とも言う。茎は水分が多くて柔らかく、独特のぬめりとしゃきしゃきした食感が特徴。味にくせがないのでさまざまに調理でき、料理の幅がひろい。「みず」は刻んだりたたいたりすりつぶすことで粘りやとろみが出るが、茎が赤く色づくほどその粘りは強くなる。5月から10月まで長い期間収穫することができるので重宝する山菜であるが、特に春から夏がおいしい季節である。地元では6月のやわらかい時期に収穫したものを、さっと湯通しするか「みずたたき(とろろ)」にしてから冷凍保存しておくこともある。
食習の機会や時季
「みず」は5月から10月の長い期間収穫することができるが、特に春から夏がおいしい。地元では6月のやわらかい時期に収穫したものを冷凍保存し、他の時期に食す人もいる。
飲食方法
みずの根の赤い部分の皮をむき、棒でたたいてから包丁で粘りが出るまで刻む。味噌、みりん、醤油、砂糖を混ぜたもので和え、のりとねぎを刻んで乗せる。すり鉢ですったものは「みずとろろ」という。「みず」はほかにもおひたし、汁の具、和え物、浅漬け、煮物、炒め物などにも使われる。また、「みず」の実は漬物にされる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
岩手県は郷土料理を伝承する人や団体を「岩手県食の匠」として認定しており、「みずたたき(とろろ)」についても「岩手県食の匠」がいる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_25_iwate.html より
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