第219回 2019年4月2日 「海・空・大地を器の中に~沖縄 やちむん~」リサーチャー: 佐藤藍子
番組内容
沖縄の海のエメラルドグリーンを取り込んだ人気の皿は、沖縄の伝統的な焼き物「やちむん」に、新風を送り込んだ。琉球王国に始まるやちむんが、今は南国らしい色や柄が特徴の普段使いの器となっている。全国から集まった陶芸家たちが、オリジナリティ溢れるやちむんを作っている現場を、佐藤藍子さんがリサーチ。海の色を表現した皿だけでなく、白地に空の青が映えるお椀、土の質感がそのままのカップなど手作りの器の秘密に迫る。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201904021930001301000 より
1.壺屋焼窯元「育陶園」
沖縄の海のエメラルドグリーンを取り込んだ人気のリム皿を作る工房です。
リム皿の「リム」とは、お皿の一段上がった縁の部分のこと。
その縁があるお皿のことを「リム皿」と言います。
リム皿のリム部分の幅もお皿によって様々ですが、総じてリム皿にお料理を載せると、お料理が映えとても美しく見えます。
更に実用性も兼ね備えているため、使いやすく重宝します。
300年以上も壺屋でやちむんを作り続ける「育陶園」さんの定番は「唐草文様の器」です。
「彫」ではない、新しい唐草模様を表現しています。
「育陶園」では他にもの2つのブランドを手掛けています。
「guma guwa」(ぐまーぐわぁー)は、シンプルで使い勝手のよい形で繊細な女性の手にも馴染みやすい軽さと薄さと持ちやすさがあり、手に取るたびにほっこりし、毎日の暮らしを心地良くしてくれる器です。
「時を味わう」をテーマにした、モダンで大人かっこいい「やちむん」を目指した器やシーサーを展開しています。
「Kamany」とは、「窯の根」のこと。
先人の手仕事に敬意を込めた“原点を忘れないものづくり”を軸にしています。
「育陶園」本店 沖縄県那覇市壺屋1-22-33
ノモ陶器製作所[読谷村/野本周さん]
野本周さんは、真鍮から作られている釉薬を使って「海の色を表現した皿」を焼いている作家さんです。
「陶芸 城」(ぐすく)で修行した後に独立、やちむんの文化が深く根付く読谷村で「ノモ陶器製作所」を立ち上げました。
野本さんは、釉薬の調合から成形、仕上げ、焼き上がりまで、全ての工程を一人でこなしています。
野本さんの代表作は何と言っても 「オーグスヤー(沖縄の緑釉)」を使った透明感のあるグリーンが美しい器です。
まるで光を帯びたような美しさが魅力です。
野本さんが作る器は、オーソドックスな形のものが中心で、日常使いにちょうど良い、程良くシンプルで飽きのこないデザインになっています。
陶器工房 壹[読谷村/壹岐幸二さん]
京都出身の壹岐幸二(いきこうじ)さんは沖縄県立芸術大学の一期生です。
沖縄県立芸術大学への入学を機に沖縄へ移住しました。
後に師となる大嶺 實清先生の最初の授業で、「沖縄のやきものを見せてやろう」と連れて行かれた博物館の蔵で、琉球王朝時代の「卵の殻のような白い」沖縄の古陶に出会い、感動。
大学卒業後は、研究生の時代を経て「大嶺工房」で修業し、琉球陶器の神髄を追求しました。
そして、平成8(1996)年「陶器工房 壹」を設立しました。
「陶器工房 壹」では、壹岐さんが窯を仕切り、奥様が絵付けを担当。
数名のお弟子さん、パートさんと共にひとつの作品を生み出す工房スタイルを取っています。
壹岐さんの代表作と言えば、端正な形状と白化粧にコバルトで大胆な絵付けを施したオリジナル食器です。
学生時代に博物館で見た王朝時代の「卵の殻のような白」に通じる作品です。
また、琉球王朝時代よりも更に前、約400年前に現在の那覇市で焼かれていた「湧田焼」を現代的にアレンジした「mintama(みんたま)」シリーズもあります。
沖縄の陶芸を突き詰めていくと必ずといっていいほど「湧田焼」にぶつかります。
「白化粧」が沖縄に入ってきたのは18世紀後半。
薩摩の影響が強いのに対し、「湧田焼」はそれ以前の16世紀から17世紀くらいのもの。
「湧田焼」は効率良く生産するために、器の中央部を無釉にして重ね焼きをしていました。
その中心部には「点打ち」が出来ます。
壹岐さんは、この中心部の点打ちの意匠をそのまま「目玉」=「mintama(みんたま)」(沖縄の方言)に見立てて、色の種類を増やし、「mintamaシリーズ」を生み出しました。
陶器工房 壹 沖縄県中頭郡読谷村長浜925-2
陶房「土火人」[うるま市/山田義力さん]
山田義力(やまだよしりき)さんは、沖縄生まれ沖縄育ち。
山田さんも大学生の時に大嶺實清さんの授業を受け、大嶺實清先生を師事。
沖縄の大地を感じさせる、砂まじり、小石まじりの土の質感がそのままのカップを作っていらっしゃいます。
陶房「土火人」(つちびと)の陶器の特徴の一つが、斑模様の器です。
陶器の中に満天の星空が広がっているように見えます。
翡翠色をした器も特色の一つ。
光沢が漂いつつも、どこか素朴な風合いとグラデーションが魅力的です。
陶房「土火人」 沖縄県うるま市川崎151
*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Okinawa/yamuchin より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます