1年4ヶ月目の転勤、多分同期入行の大卒450人の中で一番早かったと思う。
しかも前任者は、業務を投げ出し失踪。そのまま退社。
その後釜。
転勤前に支店長から食事に誘われ、事情を説明されて激励されていたが
当時は、ピンと来なかった。 しかし、本当に大変なことになった。
毎日毎日、課長代理に怒鳴られ、課長に怒鳴られ、それを見ている副支店長に、だめなやつとまた怒鳴りつけられ、支店長にもよく怒られていた。
朝から、夜帰るまで 怒鳴られ続ける毎日。
特に、課長代理には、業後9時、10時から居酒屋に連れて行かれ、酔った勢いでずっと罵声を浴びせられていた。 自分は勧められても、飲みもの、つまみに一切手をつけず、ひたすら下を向いて黙って聞くしかなかった。
仕方がないから耐えるのみ、何もできない自分が悪いのだからそうするしかなかった。 辛くてもそれは仕方がない、弱ければ負ける。 そう思っていた。
若手行員からも、女性行員からもみんなから白い目で見られ冷たくされた。 一人殻に篭っていた。
前の支店では、銀行でも、周辺の飲食店でもみんなに好かれ良くしてもらっていた。 転勤のときは、いろいろな人が送別会を開いてくれ、荷造りもできないほどだった。 新幹線のホームには、多くの人が見送りに来てくれた。
そんな状態から、一気にどん底へ落ちたようだった。
しかし、どん底のその状況が、自分にとっては本当に良かった。
それまで、サラリーマン、銀行員などをなめて馬鹿にしていたから。 並みのショックでは目が覚めなかったと思う。 ラッキーだった。
それから、必死になり仕事を覚えていった。
数ヶ月もすると数字が挙がるようになり、周りが手の平を返したようになって行った。 仕事を理解し自信を得た。
みんな優しく接してきたが、本性を知っている自分には関係のないことだった、以前、変わらず接してくれた人を除いて。
地獄のような体験だったが、今ではあの経験に感謝している。大きな分岐点になった。
その後、ビジネスマン、渉外、営業の仕事を自信を持って続けられるようになったのはあの異常な体験があったからだと思っている。
自分では中々気づかないことを教えてもらった。 本当に深いところで。