K生命の保険が満期になった。訪問してくれて、「満期で下りてくるお金で、別の保険に…」と切り出してきた。そこへ、家人が登場。
「実は、息子がこの4月から生命保険会社に就職しまして、満期で下りてくるお金は、息子の方へ…」K生命さんは、新たな保険への勧誘を即座に諦めました。
「保険の外交員とのやりとりが面倒なとき用の、うまい手を考えたものだな」だって?実は、事実なのです。息子は、新入社員の研修中。現在の研修内容は、「営業」、つまり生命保険のセールス。特に暑いこの夏、毎日汗だくで保険の勧誘…。大変ですよ…90%以上は門前払いなのだそうです。それでも歩き続けなければ、辞めるしかない。辞めてしまえばお先は見えない。
K生命さんは、新規の保険勧誘は諦めたが、満期の保険の受け取りについての業務がある。とりあえず家に入っていただいた。
汗だくなので、冷たいものを飲んでいただこうと、家人自慢の「梅黒酢」を出させていただいた。南高梅をカナヅチで叩いて軽く割る。グラニュー糖と黒酢を入れ、2週間ほど置いておくと「梅黒酢」の出来上がり。水で割り、氷を浮かべていただく。但し、「酢」ですから…飲める人と飲めない人がいる。家人はそんなことはお構いなし。自分が好きだから、みんなが好きだと思い込んでいる。
さて、K生命はこの梅黒酢を飲むか? まず、片手でコップを持ち、無言で一口飲んだ。飲む前に、「いただきます」とかなんとか言うのが礼儀じゃないのか?このあたりの研修が足りないぞ、K生命さん!
一口のんだ後は、テーブルの上に置いたまま…やはり、梅黒酢は無理だったか?「お金と時間をかけ、心を込めた一品なのに、K生命が帰った後、残りを捨てなければならない。もったいないなあ。だから、酢を飲めるかどうか確認してから出せば良かったのに…」というケチなことを考えたりしました。
結局、話が終わる頃飲み干してくれました。よかったよかった。しかし、「美味しかった」とか、「まずかった」とかの感想がなかった。
茶道では、「結構なお手前で」と、言うことになっております。感想を述べるのが礼儀というもの。まして、我が家自慢の、「梅黒酢」ですから…。お世辞でもいいから、ポジティブな評価をしていただきたかったが。
コップの場合、茶の湯と違って両手で持ったり、飲む前に回したりはしなくてもいいので簡便…しかし、心は茶の湯の心でお願いしたいもの。
「利休の七則」というものがある
1 茶は服のよきように
2 炭は湯の沸くように
3 夏は涼しく、冬は暖かに
4 花は野にあるように
5 刻限は早めに
6 降らずとも雨の用意
7 相客に心せよ
これが茶の湯だという。これが全てだとも。自然体のままで季節感を大切にし、「もてなし」と「しつらえ」を基本とせよということでしょう。
「飲む前に茶碗を回す」というお茶席の作法は、七則のどこに該当するか?「刻限は早めに」とは関係なさそう。「相客に心せよ」という気遣いの裏がえしでしょう。
主人(茶を点てる人)は、茶碗の一番美しい絵柄の部分を客に向けて出します。客(飲み手)が、その一番美しい絵柄に口を着けて飲むのは失礼にあたる。よって、茶碗を回して、美しい絵柄をずらし、絵がない部分に口をつける。
そこまで考える!茶の湯は奥が深いといわれるが、「心遣い」に底はないということでしょう。
官も民も、「新人研修では徹底的に茶の湯を叩き込む」…これをやったらいいですよ。人の暮らしは、「心遣いのやりとり」です。
息子は、保険の勧誘が契機で「甘味処」の御主人と顔なじみになった。「保険の話はするな」と釘を刺されてはいるが、時折、休憩で立ち寄るという。御主人が、「おう、来たか!」と、お茶と甘納豆を出してくださるのだそう。
「お茶を飲む前に、茶碗を回せ」と教えてあげなければなりません。そうしたら、御主人が「おう、茶道を嗜むのか!」と感激して契約が取れるかも。
気がかりは、息子は非凡な面があるので、親のアドヴァイスを勘違いして、茶碗を縦に回すと…お茶は自分にかかる。甘味処への出入り禁止でしょうかねえ…。その前に、熱い…。
「実は、息子がこの4月から生命保険会社に就職しまして、満期で下りてくるお金は、息子の方へ…」K生命さんは、新たな保険への勧誘を即座に諦めました。
「保険の外交員とのやりとりが面倒なとき用の、うまい手を考えたものだな」だって?実は、事実なのです。息子は、新入社員の研修中。現在の研修内容は、「営業」、つまり生命保険のセールス。特に暑いこの夏、毎日汗だくで保険の勧誘…。大変ですよ…90%以上は門前払いなのだそうです。それでも歩き続けなければ、辞めるしかない。辞めてしまえばお先は見えない。
K生命さんは、新規の保険勧誘は諦めたが、満期の保険の受け取りについての業務がある。とりあえず家に入っていただいた。
汗だくなので、冷たいものを飲んでいただこうと、家人自慢の「梅黒酢」を出させていただいた。南高梅をカナヅチで叩いて軽く割る。グラニュー糖と黒酢を入れ、2週間ほど置いておくと「梅黒酢」の出来上がり。水で割り、氷を浮かべていただく。但し、「酢」ですから…飲める人と飲めない人がいる。家人はそんなことはお構いなし。自分が好きだから、みんなが好きだと思い込んでいる。
さて、K生命はこの梅黒酢を飲むか? まず、片手でコップを持ち、無言で一口飲んだ。飲む前に、「いただきます」とかなんとか言うのが礼儀じゃないのか?このあたりの研修が足りないぞ、K生命さん!
一口のんだ後は、テーブルの上に置いたまま…やはり、梅黒酢は無理だったか?「お金と時間をかけ、心を込めた一品なのに、K生命が帰った後、残りを捨てなければならない。もったいないなあ。だから、酢を飲めるかどうか確認してから出せば良かったのに…」というケチなことを考えたりしました。
結局、話が終わる頃飲み干してくれました。よかったよかった。しかし、「美味しかった」とか、「まずかった」とかの感想がなかった。
茶道では、「結構なお手前で」と、言うことになっております。感想を述べるのが礼儀というもの。まして、我が家自慢の、「梅黒酢」ですから…。お世辞でもいいから、ポジティブな評価をしていただきたかったが。
コップの場合、茶の湯と違って両手で持ったり、飲む前に回したりはしなくてもいいので簡便…しかし、心は茶の湯の心でお願いしたいもの。
「利休の七則」というものがある
1 茶は服のよきように
2 炭は湯の沸くように
3 夏は涼しく、冬は暖かに
4 花は野にあるように
5 刻限は早めに
6 降らずとも雨の用意
7 相客に心せよ
これが茶の湯だという。これが全てだとも。自然体のままで季節感を大切にし、「もてなし」と「しつらえ」を基本とせよということでしょう。
「飲む前に茶碗を回す」というお茶席の作法は、七則のどこに該当するか?「刻限は早めに」とは関係なさそう。「相客に心せよ」という気遣いの裏がえしでしょう。
主人(茶を点てる人)は、茶碗の一番美しい絵柄の部分を客に向けて出します。客(飲み手)が、その一番美しい絵柄に口を着けて飲むのは失礼にあたる。よって、茶碗を回して、美しい絵柄をずらし、絵がない部分に口をつける。
そこまで考える!茶の湯は奥が深いといわれるが、「心遣い」に底はないということでしょう。
官も民も、「新人研修では徹底的に茶の湯を叩き込む」…これをやったらいいですよ。人の暮らしは、「心遣いのやりとり」です。
息子は、保険の勧誘が契機で「甘味処」の御主人と顔なじみになった。「保険の話はするな」と釘を刺されてはいるが、時折、休憩で立ち寄るという。御主人が、「おう、来たか!」と、お茶と甘納豆を出してくださるのだそう。
「お茶を飲む前に、茶碗を回せ」と教えてあげなければなりません。そうしたら、御主人が「おう、茶道を嗜むのか!」と感激して契約が取れるかも。
気がかりは、息子は非凡な面があるので、親のアドヴァイスを勘違いして、茶碗を縦に回すと…お茶は自分にかかる。甘味処への出入り禁止でしょうかねえ…。その前に、熱い…。