アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

良き報酬は金にあらず

2020年06月09日 | Weblog
 10数年前から、現在なお、朝の仕事は、「迷惑メールの削除」です。「迷惑メール」のフォルダーへ、振り分けても振り分けても、毎日20通は来ます。半数は「詐欺メール」あとの半数は、「大人の関係を目的とした人妻専門のサイトです。セフレはもちろん不倫関係や一度だけの関係など目的にあった人妻を探すことができます」というアレ。時折、「おめでとうございます!毎週10万円を稼ぐモニターにあなたが選ばれました」というアレも混じります。
 注意を要するのは、「詐欺関係」ですね。Amazonやら楽天やら、三菱UFJやら、実在する会社を名乗って、アクセスさせようとします。ちょっと見ただけでは、本物か詐欺かの区別が付きません。
 落とし穴まで用意してあります。迷惑メールを送りつけないでもらいたいと思う人用に、「▼配信停止はこちら http://sagidayo.tokyo/bdia/sagistop/ 」。ここへアクセスしてしまうと、罠にはまるわけで、集中攻撃されます。くわばらくわばら。
 「オレオレ詐欺」から始まった、一連の「振り込め詐欺」。メディアを使った啓発も効果がありません。この度の一律交付金(10万円)では、警察官が戸別訪問で「10万円、だまされないで」というビラを配ってました。
 この「振り込め詐欺」および類似した詐欺は、日本、韓国、中国にほぼ限定されているのだそう。つまり、欧米では成立しずらい詐欺。
 詐欺師側に突かれているところは、「家族の情愛」「性善説」「徳を感じて恩を返す」「仁義忠孝を尊ぶ」でしょう。これは、儒教の教えです。詐欺師側は、儒教の教えとしては知らなくても日本人相手なら、「ここを突けば騙せる」ということを知っている。儒教精神は欧米へは浸透していないため、欧米ではここを突かれても簡単には騙されない。よって欧米では、振り込め詐欺の発想も湧かないし、だまされる人もいない。まあそんなところでしょう。
 「家族の情愛」「性善説」「徳を感じて恩を返す」「仁義忠孝を尊ぶ」…日本人が基本的にわきまえていなければならないものでした。それが次第に失われていることに危機感をいだいていました。ところがそれを逆手に取って、「詐欺」をはたらく輩がいる。憤懣やるかたないです。
  だまされないためには・・・
 「家族は他人だよ」
 「人間は、みな腹黒い」
 「徳なんて感じなくてもいいし、恩がえしなどもってのほか。鶴でもあるまいし」 「仁義?ヤクザじゃないんだから。忠孝?ネズミじゃないんだから!(チュウー公)」と、教えるといいことになります。これでは家族も社会も崩壊です。
 「足る以上の、お金をほしがる」…これを人の心から排除し、儒学の教えの流れをくむ日本人の心の基盤を取り戻さなければなりません。出ました!ハチドリの一滴!
  「ヴェニスの商人」…アントーニオ、バサーニオ、シャイロック…懐かしいでしょう!で、裁判の場面。
 バサーニオの恋人ポーシャが、男性の裁判官に変装して(この発想がシェークスピア!)・・・
 「証文の通り、肉1ポンドを切り取るがいい。その際に例え一滴でもキリスト教徒の血を流せば、シャイロックよ、お前の土地と財産はヴェニスの国家に没収される」・・・シャイロックは絶句して逃走。 
 そしてポーシャは、次のセリフで締めます。「良き報酬は金にあらず、満ち足りた心にあり」
 と、いうわけで、シェイクスピアもここを突いています。
 …「満ち足りた心」というと、老子の「足るを知る」です。アンティークマンの座右の銘、「裸にて生まれてきたに何不足」もここです。
 シェイクスピアさんとか老子さんと、アンティークマンを同列に語るなって?失礼いたしました。つい、満ち足りた心になっておりまして…。