あの音と音楽に心が満たされました。
そこはかとなく湧き出る音にゾクゾクし、多彩な色彩にワクワクし、終始音楽の中に流れていた歌にのせられました。
彼の演奏は私にはピアノを感じさせません。
ピアノで表現している感覚が聴いているとなく、ピアノだけれど歌を聴いているようでもあり、ピアノなのにオーケストラのようでもあり、一人で弾いているのにアンサンブルを聴いているようでもあり。
たった一台のピアノを一人で弾いているのに、そう聴こえない凄さがあります。
プログラムもとても良かったです。
ブラームス:ピアノソナタ第1番
J.S.バッハ/ブラームス:シャコンヌBWV1004
~休憩~
シューベルト/リスト:さすらい人
水車小屋と小川
春への想い
街(白鳥の歌から)
海辺で(白鳥の歌から)
シューベルト:さすらい人幻想曲
J.S.バッハ/ブラームス:シャコンヌBWV1004
~休憩~
シューベルト/リスト:さすらい人
水車小屋と小川
春への想い
街(白鳥の歌から)
海辺で(白鳥の歌から)
シューベルト:さすらい人幻想曲
さすらい人幻想曲のために組んだ曲目かと思うくらい、そこへ到達する過程がとても充実し、自然な流れで聴けました。
最初のブラームスで歌が流れ始め、祈りのようなシャコンヌ、「海辺で」でピアニスティックになり始め、「さすらい人幻想曲」で来た!でした。
なんてヴィルトゥオーゾなシューベルト。
そのような曲ではありますが、リストではなくシューベルトでそれを聴けた面白さ。
シューベルトにこのように脚光を当てることは簡単なことではなく、なんて上手く考えられたプログラムだろうと思いました。
最初にブラームスのソナタがあったことも、後半のリスト編曲の歌曲を活かしたと思います。
構築性がありオーケストラ的な作品で始まった中にも、予告のように歌があり、歌曲王シューベルトの本物の歌曲をリストが編曲した作品があり、最後にピアニスティックな予想外のシューベルトという感じで、裏切り方が最高!
今回は近くで聴いてみようと思い、パイプオルガンの前の席で聴きました。
以前にもガブリリュクやブレハッチをそこで聴いて、思ったより聴きやすかったのでそうしました。
端の席でしたが、細やかな音色の変化がとてもよく聞こえてきました。
前回3階の一番前で聴きましたが、今回の方が聞こえてくるものが多く良かったです。
腰から上がよく見える席でした。
華奢な人だと思っていましたが、肩周りや鎖骨下が結構がっしりしていました。
速いパッセージは余計な動きが全くありませんでした。
逆に頭が結構動いていた時にもの凄く音が膨らんでいき、どうしてそうなるのかと不思議に思いながら何度かジーッと見てしまいました。
首の後ろが固くなると音が鳴りにくかったり、手が開きにくかったりするので、あのそこはかとなく鳴る音は、首の後ろや背中の皮が突っ張らないように弾いているのもあるのでは、と思いました。
ちょっとマニアックな聴き方・・
聴き終えたばかりなのに、またすぐ聴きたくなってしまいました。
彼の音楽には魔力があります。
でも、12月にデュオでまた聴けます
ソロとは違う魅力が聴けることを楽しみにしています。
ソロでは、来年11月30日にサントリーホールが決定しているそうです。
来年の楽しみが既にあるなんて、嬉しすぎ
アンコール
サン=サーンス(ニーナ・シモン編):オペラ「サムソンとデリラ」から デリラのアリア「あなたの声に私の心は開く」
ストラヴィンスキー(アゴスティ編):バレエ「火の鳥」から フィナーレ
シューベルト/リスト:万霊節の日のための連祷 S.562-1
リスト:「超絶技巧練習曲集」から 第12番「雪かき」