おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

しらかばの木

2020年03月08日 | 不思議な音の国
「不思議な音の国」は物語形式になっています。

ひとつの物語が1冊を通して繰り広げられるのではなく、章ごとに短い話が書かれているというものです。

「不思議な音の国 上巻」に<しらかばの木>という曲があります。
おそらくこの教本の中で一番悲しい話です。

大きな丘の上にぽつんと立つ美しいしらかばの木。その木はとても寂しそう。
どうしてそんなに悲しいの?とメロディー姫。
するとしらかばの木は、大嵐で一番大きな木に雷が落ち大火事になり、皆いなくなってしまった。
自分はその時まだ土の中にいた種だったから助かったけれど、他の木はもうこの丘では育たない。だから、自分は生まれてからずっと一人だと。

するとメロディー姫は「寂しくないようにできるだけしらかばの木さんのところに来る」と。
そして仲間にしらかばの木さんの歌を作ってくれるようお願いします。そうすればみんなにこの悲しい話が伝わり、しらかばの木の周りに木や花を植えに来てくれるからと。

このようなピアノ教本がかつてあったでしょうか。

この話は子供にするのはかわいそうで本の通りには話せないでいます。本当に泣きそうになった子もいて、刺激が強いかと思い、それからは嵐が来てみんな飛ばされていなくなってしまった、と話しています。
悲しい話で終わらず、想いを寄せた仲間がしらかばの木が寂しくならないように助けてあげようとする気持ちも描かれています。

このページの挿絵には、しらかば木の下に小さな草のようなものが2つ描かれています。
ほぼ全員が「これなに?」とききます。「今はひとりぼっちだけど、みんなが植えてくれた木や花がこれから大きくなってこの木にも仲間ができるんじゃない?」と話します。

イリーナ先生は、このように仰っています。
「 If they can cry at someone’s sadness, they will become good humans! Life is not only about happiness and laughter. That’s what really missing in a lot of method books, where most of the pieces are in major keys for a very long time and children do not make any emotional connection. 」

誰かの悲しみのために泣くことができたら良い人になれる。人生は幸せと笑いだけではない。それは多くの教本に欠けていて、とても長い期間ほとんどの曲が長調で子供たちは感情を結びつけることができない。

「不思議な音の国」は奏法を身に付けるだけではなく、音楽を通して人を思いやる気持ちも育む、そんな教本です。

ドイツの平和村の元代表ヤコブ氏がこうお話しされていました。

「戦争や紛争を解決する方法を平和村は知っている。それは、様々な国、宗教の子供たちが皆で助け合うこと。それを知ってほしくて平和村に連れてきている。一滴一滴を集めたら大きな河になる。一滴を増やすことが役割」

今日のレッスンであるお母様がお子さんにこう話されていました。
「音楽は気持ちを表す、それを聴いた人も同じ気持ちになる。元気な音楽なら元気になる。悲しければ悲しくなる。」

いつもレッスンに興味なさそうにしていらしたので、もう教室に入って頂かなくてもいいかと思っていました。
まさかこの言葉をこの方から聞くとは・・


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